『名もなき生涯』『ツリー・オブ・ライフ』『天国の日々』のテレンス・マリック監督作品『ソング・トゥ・ソング』。
ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンと豪華キャストを迎え、男女の交錯する恋愛模様を美しい映像と音楽で映し出すラブストーリー。
メインの豪華キャスト陣に加え、リッキー・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどミュージシャンたちも出演し、多彩な音楽とともに映画を彩ります。
名作を生み出してきた巨匠テレンス・マリックと、アカデミー賞を3度受賞した名カメラマン、エマニュエル・ルベツキが織りなす美しい映像と音楽がエモーショナルな世界観を作り上げる美しくも切ないラブストーリーをご紹介します。
映画『ソング・トゥ・ソング』の作品情報
【日本公開】
2020年(アメリカ映画)
【原題】
Song to Song
【監督・脚本】
テレンス・マリック
【キャスト】
ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、ホリー・ハンター、ベレニス・マルロー、ヴァル・キルマー、リッキ・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、ジョン・ライドン、フローレンス・ウェルチ
【作品概要】
音楽の街、オースティンを舞台にルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンといった豪華キャスト陣がそれぞれの幸せ、人生について模索する姿を演じます。
その脇にはケイト・ブランシェット、ホリー・ハンター、ベレニス・マルロー、ヴァル・キルマーなど名優が顔を揃えます。更にリッキ・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、ジョン・ライドン、フローレンス・ウェルチといった有名ミュージシャンらも出演。
監督を務めるのは『シン・レッド・ライン』(1998)、『ツリー・オブ・ライフ』(2011)など多数の名作を手がけたテレンス・マリック。カメラマンには『ゼロ・グラビティ』(2013)などで3度のアカデミー賞を受賞したエマニュエル・ルベツキ。
映画『ソング・トゥ・ソング』のあらすじとネタバレ
音楽の街、オースティン。フリーターのフェイ(ルーニー・マーラ)は成功した大物プロデューサーのクック(マイケル・ファスベンダー)と密かに付き合っていました。クックに誘われてパーティにやってきた売れないシンガーソングライターのBV(ライアン・ゴズリング)は、そこでフェイに出会い、惹かれていきます。
優しく、ありのままのフェイを受け入れてくれるBVと付き合いつつも、どこかで愛を信じられていないフェイはクックとの関係も続けてしまいます。
クックは恋愛をゲームかのように楽しみ、フェイを支配したがります。そしてBVと付き合う前にクックと付き合っていたこと、ずっと前から2人は知り合いであったことをBVに言うよ
うフェイに迫ります。
その一方で、クックはビジネスパートナーとしてBVを勧誘し、共に曲の製作を始めます。
フェイは過去のことは言えず、ただBVに「クックを信用しない方がいい」と伝えます。怪しむBVにクックは「俺を信用しろ」と言います。
しかし、クックはBVが製作した曲を自分名義で売り出し、権利を自分のものにしていたのです。
騙され、利用されたことを知るとBVは怒り、クックは俺のおかげで売れたと相手にしません。
そうしてクックとBVは決別し、BVは次第にフェイに対しても猜疑心を持ち始め、過去のクックとの関係について嫉妬し始めます。
BVの疑いの目に疲れつつも、BVと共にいたい気持ちの中で揺れ動くフェイ。フェイを信じられなくなったBVはもう無理だ、別れようとフェイに告げるのでした。
映画『ソング・トゥ・ソング』感想と評価
大人になりきれない、青春を引きずった大人たちの恋愛劇を描いた『ソング・トゥ・ソング』。主に描かれているのはフェイ(ルーニー・マーラ)、クック(マイケル・ファスベンダー)、BV(ライアン・ゴズリング)、ロンダ(ナタリー・ポートマン)の4人の恋愛模様ですが、その中でもフェイに注目して見ていきましょう。
フェイは16〜17歳位の頃にクックに出会ったと言っています。冒頭のフェイの独白では刺激的な恋じゃないと盛り上がれない時があった、というようなことを言っています。フェイにとってクックは成功者で、世間のこともあまり分かっていないフェイに世界を見せてくれる存在だったのではないでしょうか。
そして支配したがるクックと共に欲望のままに身を任せる関係性に溺れていたフェイにとってBVは真逆の存在であったと言えるでしょう。
優しいBVに対し、フェイは時折「愛が分からない」と言っています。そしてクックとの真実をBVに言えない後ろめたさから罪悪感を抱いている様子が伺えます。
BVの愛にこたえる資格が自分にはないとどこかで思い、クックとの関係に逃げたりするフェイの姿に共感を覚える人もいるかもしれません。
フェイが結婚し、子供産んだ姉たちのようになれない自分を嫌悪し、泣きながら父親に謝るシーンがあります。それは大人になりきれない、愛を信じられない自分に対する罪悪感と葛藤の現れなのかもしれません。
“愛”という不確かなものを前にして戸惑ったり、時にその温かみにほっとしたり…フェイは孤独と絶望、葛藤の果てに愛すること、愛されること、そのシンプルな答えにたどり着きます。
“これでいい”“これだ”そう思えるまでフェイは長い旅をしました。フェイの長い旅は観客である私たちにも“愛”とは“人生”とはと突きつけてきます。
まとめ
愛を信じきれないフェイ、愛しすぎるあまり疑心暗鬼になるBV、ゲームのように恋愛をし本気の恋をしないクック、クックと出会い愛と憎悪の果てに絶望するロンダ。それぞれの不器用な恋愛模様を美しい映像美で彩るエモーショナルなラブストーリー。
また、ミュージシャンらが本人役で出演し、音楽とともに語るそれぞれの人生観も4人の登場人物らの葛藤とあいまって観客に問いかけてきます。
4人の登場人物らの答えを探す旅と共に観客も旅をし、観終わった頃には少し世界が違って見えるかもしれません。