「友情」か「殺意」か。2人の男の歪んだ友情を描く東野圭吾の問題小説『殺人の門』が映画化!
東野圭吾の人気小説『殺人の門』は、“親友”の人生を狂わせ続ける男・倉持と、その悪意から逃れられない“親友”・田島の幼少期からの歪んだ関係を描くサスペンスです。
倉持と田島。2人の一連の関係を描いた小説が、山﨑賢人と松下洸平のW主演で映画化されることになりました。
お坊ちゃま育ちで気弱な田島を松下洸平が演じ、田島を人生懸けて追い詰める倉持を山﨑賢人が演じています。手掛けたのは、金井紘監督です。
田島は倉持によってどんなことをされたのか。殺意はいつかれ芽生えたのか。2人の関係が暴かれていきます。映画『殺人の門』は、2027年2月19日(金)全国公開!
映画公開に先駆けて小説『殺人の門』をネタバレ有りでご紹介します。
小説『殺人の門』の主な登場人物
【田島和幸】
裕福な歯医者の息子。
【倉持修】
和幸の小学校からの同級生。
【江尻陽子】
アルバイト先で知り合った和幸の初恋の相手。
【上原由希子】
セールス先の老人の近所に住む、美人で心優しい女性。
【トミさん】
和幸の祖母の世話をしていた家政婦。和幸の父と肉体関係があった。
小説『殺人の門』のあらすじとネタバレ

東野圭吾『殺人の門』(角川文庫)
田島和幸は裕福な歯科医院の息子です。父健介は歯医者を営んでいて、母峰子は祖母と折り合いが悪く、寝たきりだった和幸の祖母の世話は、家政婦のトミさんがしていました。
トミさんは医院に出入りする税理士の男ばかりか、父の健介とも関係を持っていました。偶然にその現場を見てしまった和幸は、少なからずショックを受けます。
和幸が小学5年生になった時、同じクラスになった倉持修と親しくなりました。
修は口がうまく相手を自分のペースに巻きこむことができ、和幸の知らない世界を知っているという刺激的な人物でした。
ある日、修に賭け五目並べのガンさんを紹介された和幸。賭けに負けてお金に困り、祖母に小遣いをねだりに行って、祖母が死んでいるのを発見しました。ですが、和幸は祖母の手から財布を盗んでしまいます。
そのとき、開くはずのない祖母の目が明いて、和幸を睨んでいたように思えました。嫌な気持ちになった和幸は祖母の葬式で吐いてしまいます。
その後「歯科医院の母が祖母を毒殺した」という噂が近所に流れます。殺人の噂がたち、歯科医院の経営も苦しくなり、両親が離婚。父の元で暮らす和幸のもとに、「呪いの手紙」のチエーンレターが届きます。
それは、中に書いてある人物に「殺」と書いた呪いの葉書を送り、自分が呪いたい人物の名前を書いた手紙を3人に出せというものでした。
和幸は気になりつつも放置。ですが、和幸の元に「殺」と書かれた葉書が次々と届きました。それは、誰かが「呪いの手紙」に和幸の名を書いたということでした。
一方、父は、古鳥が鳴く歯科医院を続けながら酒におぼれるようになりました。毎晩のように飲み歩き、ホステスの志摩子に貢ぎ続けたあげく、嫉妬した志摩子の恋人にモンキースパナで頭を殴られます。
一命はとりとめた父ですが、怪我の後遺症で右手が動かなくなってしまいました。細かい手仕事が多い歯医者の休業を余儀なくされた父は、更にのんだくれます。志摩子は店をやめて行方不明となっていました。
その様子を見て、和幸は「呪い」の手紙を思い出し、呪われたことを実感。やがて和幸は中学生になりました。それとともに、歯科医院は廃業となり、引越しが決まりました。荷物を整理する際、和幸は診療所で毒薬を手にいれます。
学校を転校する和幸に、仲良くなった木原という友人ががサイン帳をくれました。そのサイン帳には、呪いの葉書と同じく、「和幸」を「和辛」と間違えて書いている修のサインが入っていました。
和幸は転校先でいじめられ、修の毒殺を計画し、修に会いに行きますが、インチキ五目並べのこと、呪いの手紙をお金に変える方法を意気揚々と語る修に殺意が喪失しました。
やがて和幸は高校生になりました。アルバイト先で知り合った江尻陽子に惹かれる和幸でしたが、修が現れ、3人でお茶をしてから陽子の様子が一変。アルバイトの最終日、陽子は修が恋人であると仄めかしました。
一方、ホステスの志摩子を見つけた父が包丁を研いだのを知った和幸は、志摩子に対する父の殺意を知ります。父を追いかけた先で、父の殺人を期待したのですが、父は志摩子の言い訳に丸め込まれてしまい、ヨリを戻したようでした。
しばらく経ち、新聞に江尻陽子の自殺が載りました。
和幸は陽子の母からの電話で陽子が妊娠していたことを察し修を呼び出しますが、彼は陽子とは会っていないし、妊娠のことは関係ないと言います。嘘をついていると確信した和幸は、修に罰を与えようと誓うのでした。
一方、志摩子との和解をした父は、また志摩子に貢ぎ始めます。和幸は志摩子に、家にばお金がないので別れるようお願いし、不甲斐な父への殺意が湧きました。
ある日、父が包丁と共に消えていました。あわてて志摩子のマンションへ行く和幸。
そこで何もない部屋にボーゼンと胡坐をかいている父を見た和幸は、拾った包丁を振りかぶるのですが、父が笑いながら泣いているのを見て、殺せなくなりました。
その後父は失踪し、その日を最後に会うことはありません。
小説『殺人の門』の感想と評価
本作は、東野圭吾による人間の強い殺意と歪んだ人間関係を描いた長編心理ミステリー小説。
小学生からの約30年間にわたり、主人公・田島和幸が同級生の倉持修に人生を狂わせ続け翻弄されて殺意を募らせていく姿が描かれます。
物語の中で田島は、倉持修という人物を通じてさまざまなトラブルに巻き込まれていきます。
小学生の頃は「呪い」の手紙が舞い込むようにされたり、高校生になると初恋の女性を横取りされます。社会人になってしばらく離れていたのに再会した倉持から詐欺のような怪しい仕事を紹介され、危ない仕事の片棒を担がされました。
また、倉持から紹介されて結婚した女性は、とんでもない浪費癖のある曲者でした。
読んでいくうちに、倉持は田島に「世の中とはこういうものだ」と教える存在であることに気が付きます。過酷な経験を与え、その経験の中で田島の気持ちの中では「この相手なら殺してもよいのではないか」という感情が育っていきます。
ですが、その気持ちをぐっと抑える別の気持ちもあり、作者はこのような矛盾した気持ちを持つのが人間であるのだろうと示唆しているようです。
矛盾した気持ちを持ちながらも、最後には怒りを抑えることが出来なくて、田島は感情のままに行動を起こしました。
読者としては田島に殺人者になってほしくないのですが、これまでの倉持の行いをみれば言語道断。ここまで酷い目にあわされて、それでも倉持を友人とするのは、お人よし過ぎるのではないでしょうか。
田島の倉持に対する気持ちの変化を辿っていけば、人間の心理も詳細にわかってくる作品でした。
映画『殺人の門』の見どころ

(C)2027「殺人の門」製作委員会
小説『殺人の門』の主人公は田島和幸ですが、彼の人生に深く関わり続ける倉持修もまた主人公と言えるでしょう。
金井紘監督によって小説が映画されますが、気弱な田島和幸に松下洸平、彼を親友としながらも窮地に追い込む倉持修は山﨑賢人が演じます。
‟歪な友情”の果ての2人の男性の行く末は、人間の心の複雑さを明確に表しています。
これは許されることなのかと、原作者からのメッセージがきこえてくるような衝撃的なラストシーンでした。
繊細な感情描写に定評のある松下洸平と山﨑賢人が演じる、田島と倉持の‟歪な友情”の結末をお見逃しなく。
田島目線で見るなら、倉持は明らかに‟疫病神”です。
この疫病神に「キングダム」シリーズで剣一筋で大将軍にのし上がろうとする青年を演じている山﨑賢人が扮します。
正義感あふれる爽やか青年から一転、悪役ともいえる重要人物を演じるにあたって、彼の新しい魅力も発見できるのではないでしょうか
美的な悪魔、疫病神を演じる山﨑賢人に注目です。
映画『殺人の門』の作品情報

(C)2027「殺人の門」製作委員会
【日本公開】
2027年(日本映画)
【原作】
東野圭吾『殺人の門』(角川文庫)
【監督】
金井紘
【キャスト】
山﨑賢人、松下洸平、佐藤浩市、浅田美代子、江口のりこ
まとめ
東野圭吾の小説『殺人の門』をネタバレ有りでご紹介しました。
主人公・田島和幸と、彼の人生に深く関わり続ける倉持修との関係を赤裸々に描き、人間の心の奥底に潜む「殺意」をテーマに描かれた心理ミステリーです。
疫病神のように田島にくっついて彼の幸せをぶち壊す倉持に対して、殺意を感じた時も明確にわかるようになっています。ですが、それを実行に移せるのかと疑問に思うことでしょう。
果たして人の好い田島は口の上手い倉持にはぐらかされて、何度も彼を許してしまいます。
殺意を抱くのも人間なら、許してしまうのも人間です。本作はそんな裏表のある人間の心理を詳細に表した、長編ミステリーでした。
映画ではどのようにこのあやふやな心理状態に決着をつけられるのかと期待は高まります。
東野圭吾の名作を描く映画『殺人の門』は、2027年2月19日(金)全国公開!























