映画『累-かさね-』は、9月7日(金)より全国ロードショー!
松浦だるまの『累』を土屋太鳳&芳根京子のNHK連続テレビ小説のヒロインがW主演で映画化。二人を繋げる男の羽生田役に浅野忠信。共演に横山裕、檀れい、村井國夫と実力俳優が集結しました。
美醜という強烈なテーマに演劇というものを大胆に絡めた女の情念の物語。またチェーホフの『かもめ』、オスカーワイルドの『サロメ』という劇中劇にも注目です。
映画『累-かさね-』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
松浦だるま
【監督】
佐藤祐市
【キャスト】
土屋太鳳、芳根京子、横山裕、筒井真理子、生田智子、村井國夫、壇れい、浅野忠信
【作品概要】
松浦だるま原作漫画「累」を『となりの怪物くん』の土屋太鳳と『心が叫びたがってるんだ。』の芳根京子のダブル主演で映画化。
監督には『キサラギ』の佐藤祐市、脚本家には『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐』の黒岩勉と俳優・制作者ともに一級のメンバーが揃った超大作です。
映画『累-かさね-』のキャストとキャラクター
淵累(芳根京子)
顔に大きな傷があり、それがコンプレックスになっている。
丹沢ニナ(土屋太鳳)
美貌の誇る女優、ある事情から活動に支障をきたしている。
羽生田(浅野忠信)
累の母親・澄世とも縁が深い芸能マネジャー。
烏合(横山裕)
新進気鋭の演出家。ニナの憧れの存在でもある。
富士原(村井國夫)
世界的な演出家。
映画『累-かさね-』のあらすじとネタバレ
淵累(ふちかさね)は大女優の渕澄世を母に持ちながらも、顔に大きな傷を持ち強いコンプレックスの中で生きてきました。
母の13回忌の法要の席で、かつて澄世と親しかったという羽生田という男から声をかけられます。
羽生田は澄世から遺されたある口紅の秘密を知っている男でした。
その口紅を塗って、口づけを交わすと12時間は顔が入れかわる。そのことを知っていた羽生田は累にある女優を引き合わせます。
それが圧倒的な美貌を誇る丹沢ニナでした。ニナはある事情から女優業に支障が出ていてることを伝えます。
羽生田は累の中に人にある、コンプレックスから来ている自分を認めてもらいたいという欲求、衆人環視の中で演技をしたいという欲求があることを見ぬき、ニナとの入れ替えを持ち掛けます。
ニナは羽生田に向かって累をその容貌から化け物と言ってのけ、自身が女優としての階段を上るために利用するだけだと言います。
それでも、自身の執念のような欲求に勝てなかった累はこの条件を承諾します。
映画『累-かさね-』の感想と評価
取り上げられた戯曲の意味
原作の丹沢ニナパートを拡大した映画版には、印象的な戯曲が劇中劇の演目として登場するアントン・チェーホフの戯曲『かもめ』とオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』。
前者では累=ニナは女優に憧れるニーナという女性を、後者ではすべてを欲しようとするサロメという女性を演じています。
どちらも、劇中での累=ニナの心情や世の中での立ち位置を分かり易くディフォルメする形で登場しています。
ニーナに至っては丹沢ニナの名前とかぶせています。
映画の中に舞台パートをメタファーとして描くことで、累=ニナの執念のようなものを浮き彫りにするに、うってつけの演出になっています。
もともと主人公の名前を逆さに読めば累(ヶ)淵になるのはお気付きでしょう。
これは女の情念がやがて怨霊となっていく怪談噺のクラシック。異常なまで膨れ上がる女の情念を堪能したい一作。
まとめ
2018年放送されたディーン・フジオカ主演のテレビドラマの本作『累-かさね-』の脚本家を担当したのは黒岩勉。
テレビドラマで『世にも奇妙な物語』『絶対零度〜特殊犯罪潜入捜査〜』『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐』など。
映画では近作で『黒執事』(2014)『悪と仮面のルール』(2018)。テレビアニメでは『ONE PIECE 〜ハートオブゴールド〜』、アニメ映画では『ONE PIECE FILM GOLD』。
どれもが視聴者や観客を楽しませた作品で、サスペンス作品や復讐劇もお手のものです。
原作者である松浦だるまの世界観を巧みに生かした若き女性の愛憎の様子は、まるで2010年公開のナタリー・ポートマン主演作品『ブラック・スワン』をどこか彷彿させるかもしれません。
映画『累-かさね-』は、9月7日(金)より全国ロードショー!