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台湾映画『進行曲 マーチングボーイズ』あらすじ感想と評価解説。実話を基に“マーチング”を通じて描く魂震える青春と“時代の影”

  • Writer :
  • 桂伸也

2026年10月23日(金)より映画『進行曲 マーチングボーイズ』はシネマート新宿ほか全国公開!

1990年代の台北を舞台に、廃部寸前の名門高校マーチングバンド部員たちの青春を実話ベースで描いた感動作『進行曲 マーチングボーイズ』。

本作は、ムー・セン、リウ・ユーレン、ユー・ジェエンら次世代を担う台湾の若手実力派キャストが集結し作り上げられました。

父親の重圧から逃れるためにマーチングバンドへ入部した主人公が、個性豊かな仲間たちと音楽を通じて固い絆を結びながら挫折を乗り越えて成長していく姿が瑞々しく描かれています。

熱い人間ドラマと圧巻のブラスバンド演奏が国内外で高く評価され、数々の映画賞も受賞しました。青春の葛藤と情熱がリアルに胸に迫る、まさに「今観るべき」珠玉の部活映画です。

映画『進行曲 マーチングボーイズ』の作品情報


(C)2025 Marching Next Media. All Rights Reserved.

【日本公開】
2026年(台湾映画)

【原題】
進行曲

【英題】
Marching Boys

【監督】
ジャン・ルイジー

【キャスト】
ムー・セン、リウ・ユーレン、ユー・ジェエン、リー・リーレン、マー・ジーシアン、ホアン・ディーヤン ほか

【作品概要】
社会的な重圧に悩む男子高校生たちが、マーチングバンド部の活動に青春をかける中で成長していく姿を、実話をもとに描いた青春ドラマ。作品を手がけたのは、『角頭 彷徨人』(2021)やテレビドラマ「We Best Love 永遠の1位/2位の反撃」などのジャン・ルイジー監督。

キャストには若手俳優ムー・セン、『セデック・バレ』(2011)のマー・ジーシアンらが名を連ねています。ムー・センは台湾のアカデミー賞といわれる「台湾金馬奨」で新人俳優賞にノミネートされました。

映画『進行曲 マーチングボーイズ』のあらすじ

台湾屈指の進学校である建国高校に通うジャン・ハオは、医学部進学を望む父親の期待を強い重圧ととらえ、悩みながら高校生活を送っていました。

そんなある日、彼はふと興味を持った学校内のマーチングバンド部の活動に興味を持ち、父親に内緒で入部する。

そこには天才肌ながら自由奔放な性格の問題児リウ・ジーチュワンや、責任感が強いが裏の顔も見える優等生の部長タイチェンらが。

ジャンは彼らと反発しながら、いつしか共に上を目指そうと部活動に励み初めていましたが……。

映画『進行曲 マーチングボーイズ』の感想と評価


(C)2025 Marching Next Media. All Rights Reserved.

軍隊の行進から「魅せる」パフォーマンスへ

本作は部活動を通じた少年たちの成長を描きながら、マーチングバンドという文化そのものが変化していく過程をひとつのドラマとして見せています。

物語の序盤で描かれるマーチングバンドは、演奏される曲は軍歌が中心で、カラーガードや模倣銃を使った演技など、軍事的なパフォーマンスを思わせる要素が強く残されています。

ところが、主人公ジャン・ハオたちが「もっと上を目指したい」と動き始めることで、その表現は次第に変わっていきます。このイメージは、2002年の映画『ドラムライン』を彷彿するような展開やビジュアルイメージも感じられます。

従来の型を守るだけではなく、観客に「魅せる」ことを意識した演奏や演技へと変化していくのです。

そこには伝統を重んじる世代から、新しい価値観を求める若者たちへと主導権が移っていくような構図があります。医学部への進学を望む父親の期待を背負っていたジャン・ハオが、自らマーチングバンド部に入り、その魅力に惹かれていく姿も、その変化を象徴しているでしょう。


(C)2025 Marching Next Media. All Rights Reserved.

もちろん、彼らの行動は必ずしも穏当なものばかりではありません。ときにはルールを越え、過激ともいえる方法で状況を変えようとします。しかし、それは停滞した環境を動かすための、いわば「荒療治」と見ることもできます。

そして重要なのが、親や教師といった上の世代との対立が、単純な世代間闘争で終わらないことです。

伝統を守ろうとする側と、変化を求める側が衝突しながら、やがて互いを理解する方向へ進んでいく。その過程が、ジャン・ハオ、自由奔放なリウ・ジーチュワン、責任感の強い部長タイチェンという三人の関係を軸に描かれています。

公式設定でも、この3人はそれぞれ異なる個性を持つ部員として描かれています。

マーチングバンドという集団競技の特性も、この物語にうまく作用しています。

個人の技量だけでは成立せず、全員が同じ方向を向いて初めてひとつの音楽とパフォーマンスになる。ばらばらだった少年たちが、衝突を繰り返しながら次第にひとつの集団へ変わっていく姿は、まさに本作そのものの構造と重なっています。

まとめ


(C)2025 Marching Next Media. All Rights Reserved.

本作を興味深いものにしているのは、こうした青春ドラマの背景に、1990年代の台湾という時代そのものが刻み込まれていることです。中でも象徴的なのが、日本の人気漫画『SLAM DUNK』の影響です。

登場人物の一人であるリウ・ジーチュワンが自らを「流川」と名乗る場面も含め、劇中には日本のポップカルチャーが台湾の若者文化に浸透していた時代の感触が漂っています。

こうした文化的な影響を取り込むことには、本作が単なる懐古趣味ではなく、外から入ってきたさまざまな文化が、台湾の若者たちの新しい感性を形作っていった時代の一断面をしている意味を感じ取ることができるでしょう。

そして、この『SLAM DUNK』のイメージは終盤でもう一度効いてきます。クライマックスでジャン・ハオとリウが見せる姿には、同作の最終盤を想起させるような構図が置かれています。

ファンサービスとも見えますが、ひとつの時代を象徴する文化が、次の世代の青春へ受け継がれていくイメージとしても受け取れます。

そう考えると、『進行曲 マーチングボーイズ』は、単なる「青春部活映画」にとどまりません。青春の熱量を正面から描きながら、その背景にある文化と時代の変化まで映し出した作品であるといえるでしょう。

2026年10月23日(金)より映画『進行曲 マーチングボーイズ』はシネマート新宿ほか全国公開!



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