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Entry 2020/02/17
Update

【フレディ・M・ムーラー特集】映画『山の焚火』など代表作が劇場上映!デジタルリマスターで蘇る

  • Writer :
  • 大塚まき

スイスの巨匠フレディ・M・ムーラーの伝説の傑作。
35年の歳月を経てデジタルマイスターでスクリーンに蘇る。

映画史に燦然と輝くフレディ・M・ムーラー監督の“山”映画の三部作「マウンテン・トリロジー」が特集上映されます。

代表作『山の焚火』と合わせて、2本のドキュメンタリー映画『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』(1974年)と『緑の山』(1990年)は、2020年2月22日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開です。

監督:フレディ・M・ムーラーのプロフィール

参考:フレディ・M・ムーラー特集マウンテン・トリロジーの公式Twitter

レディ・M・ムーラーは、1940年、スイスの山岳地帯ニトヴァルデン準州ベッケンリートに六人兄弟の末っ子として生まれます。

ウーリ州アルトドルフで少年時代を過ごし、1959年にチューリッヒの美術工芸学校に入学し製図を学ぶ。その後、写真専攻に変更、映画制作にも興味を抱く。1962年、8ミリによる短編映画『マルセル』を発表。

その後、短編や中編のドキュメンタリー映画を発表し、国際的な評価を得ます。

1969年オムニバス映画の一篇としてSF作品『スイスメイド─2069篇』(1969)を監督。

この頃、渡英しロンドンで教鞭をとります。帰国後1972年、『エイリアン』(1979年)で有名になる以前の画家H・R・ギーガーとの親交から、彼の創作イメージの過程を探ったドキュメンタリー映画『パッサーゲン』を発表。

1974年、『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』を発表しロカルノ国際映画祭国際批評家賞を受賞。

1979年、初の劇映画『灰色の領域』を制作。1985年には『山の焚火』を発表し、ロカルノ国際映画祭金豹賞およびエキュメニカル賞を受賞するなど高い評価を受けます。

1990年「マウンテン・トリロジー」を構成するドキュメンタリー作品『緑の山』を発表。

その後、『最後通告』(1998)でひさしぶりに劇映画に取り組み、モントリオール世界映画祭でアメリカ・グランプリ賞を受賞。

2006年の『僕のピアノコンチェルト』では、実在の天才少年ピアニストのテオ・ゲオルギューが主役を演じ、アカでミー賞外国語映画部門にノミネート、世界各地の映画祭に招待された。2014年、自身の母が75歳の時に記した自伝に基づく劇映画『Love and Chance』(原題:Liebe und Zufall)を発表し、映画制作からの引退を発表しました。

マウンテン・トリロジーについて


映画『山の焚火』
ダニエル・シュミットやアラン・タネールらと並び、1960年代後半に起こったスイス映画の新しい潮流“ヌーヴォー・シネマ・スイス”の旗手として知られる、フレディ・M・ムーラー監督。

代表作である『山の焚火』は、1985年に発表され、ロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)を獲得し、世界にムーラーの名を轟かせました。

本作はスイス国内では25万人を動員し、スイス映画アカデミーよりスイス映画史上最高の一作に選定され、大きな話題を呼びました。

本特集では、『山の焚火』と合わせて「マウンテン・トリロジー」を構成する2本のドキュメンタリー映画『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』(1974年)と『緑の山』(1990年)を同時上映します。

ムーラーが生まれ育ったスイス・ウーリ州の山岳地帯を舞台に、人と自然、そしてまるで現代を予知したかのような今日的問題を描き出します。

映画『山の焚火』の作品情報


映画『山の焚火』

撮影のピオ・コラーディは、本作の屋外での複雑な移動撮影、屋内での少ない光源の撮影などで見事に美しい映像を撮り上げました。

本作を手掛けたのち、『緑の山』『最後通告』『僕のピアノコンチェルト』などといったムーラー監督作の撮影を担当しています。

音楽のマリオ・ベレッタは、本作で耳の聞こえない少年の置かれた状況を画面の中の動作から生じる音によって効果的に作り出しました。

【製作】
1985年(スイス映画)

【監督・脚本】
フレディ・M・ムーラー

【キャスト】
トーマス・ノック、ヨハンナ・リーア、ロルフ・イリック、ドロテア・モリッツ、イェルク・オーダーマット、ティッリ・ブライデンバッハ

映画『山の焚火』のあらすじ


映画『山の焚火』

広大なアルプスの山腹。人々から隔絶された地で、ほぼ自給自足の生活を送る4人家族。

10代半ばの聾啞の弟は、その不自由さゆえに時に苛立つこともあるが、姉と両親の愛情を一身に受け健やかに育ちます。

ある日、草刈り機が故障したことに腹を立てた弟は、それを投げ捨て父の怒りを買います。

家を飛び出し山小屋に隠れ、一人で生活をする弟。そこに食料などを届ける姉。二人は山頂で焚火を囲み楽しい時間を過ごすが、やがて姉の妊娠が発覚します…。

映画『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』の作品情報


映画『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』

変わりゆく山岳地帯に住む山人たちの生き方と精神世界に迫るドキュメンタリー。

1973年から1975年にかけて丁寧に撮影された本作には、対象となる地域だけでなく、民俗学的なテーマや、共同体の閉鎖性など『山の焚火』に直接的に繫がる多くの要素が詰まっています。

【製作】
1974年(スイス映画)

【監督】
フレディ・M・ムーラー

映画『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』のあらすじ


映画『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』

ムーラーの故郷でもあるスイスのウーリ州を舞台に、本作は地域によって三つのパートに分かれています。

長いトンネルを抜けた先にある第一部の舞台はゲシェネンの渓谷。トンネル建設によって自然環境のバランスが崩れ、長年営まれてきた牧畜経営の破綻する運命が示されます。

第二部の舞台シェーヒェンの渓谷では、伝統的な高原の牧畜経営が維持され、直接民主制によって多くの政治的選択が行われています。

第三部の舞台マデラーナー渓谷のブリステンでは、牧畜経営だけでは共同体の運営が難しいため、住民の半数はよそへ働きに出ており…。

映画『緑の山』の作品情報


映画『緑の山』

アルプスの山間で持ち上がった放射性廃棄物処理場の建設計画を巡り、土地と自分たちのルーツを守ろうとする反対派と賛成派に分かれた住民たちを追ったドキュメンタリー。

さらに本作は、政治家、地質学者、医学者など様々な立場の人々の話から、一過的で限定された地域の問題にとどまらず、時間の尺度としては人間の寿命をはるかに超えたスケールの問題を提起しています。

ムーラーはこの作品を「子どもたちと子どもたちの子どもたち」に捧げており、次世代に対して責務を負うべき大人たちに、今日にも通じる問いを突きつけます。

【製作】
1990年(スイス映画)

【監督・原案】
フレディ・M・ムーラー

映画『緑の山』のあらすじ


映画『緑の山』

1988年、NAGRA(ナーグラ:国立放射性廃棄物管理協同組合)はニトヴァルデン準州ヴェレンベルクに原子力発電に使われた核の最終廃棄物処理場を建設する計画を発表し、地域住民の抗議団体が形成されます。

支持者と反対派にインタビューを敢行。

リサーチと議論は、直接影響を被る人々、ヴェレンベルクで数世代にわたって暮らしてきた家族に焦点を当てます。

彼らは、放射線の危険性を目前にし、今や自身のルーツと生活の地を奪われることに直面し…。

まとめ


映画『山の焚火』

フレディ・M・ムーラー監督は、マウンテントリロジーについて以下のようにコメントを寄せています。

山人たちの日常生活には、魔術的でアニミズム的な思想の糧が、きわめて現実的かつ合理的な思考と共存しながら根付いている

フレディ・M・ムーラー監督が捉えた“山”の人たちの魂がどのようにスクリーンに映し出されているのか、スクリーンでご覧ください。

マウンテン・トリロジーである『山の焚火』『我ら山人たち─我々山国の人間が山間に住むのは、我々のせいではない』『緑の山』は、2020年2月22日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショーです。

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