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Entry 2017/12/09
Update

映画『オリエント急行殺人事件』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 桃から生まれた尻太郎

密室の中で起こった殺人事件。列車の中に犯人が潜んでいる。果たして誰なのか?またその動機は。

謎が謎を呼ぶ難解な事件に名探偵ポアロが挑む!豪華キャストで映像化されたアガサ・クリスティの原作『オリエント急行殺人事件』をご紹介します。

1.映画『オリエント急行殺人事件』の作品情報


(C)2017Twentieth Century Fox Film Corporation

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原作】
アガサ・クリスティ

【原題】
Mujer on the Orient Express

【監督】
ケネス・ブラナー

【キャスト】
ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、デイジー・リドリー、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ウィレム・デフォー、ルーシー・ボーイントン、レスリー・オドム・Jr、デレク・ジャコビ、トム・ベイトマン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ジョシュ・ギャッド

【作品概要】
アガサ・クリスティの不朽の名作小説『オリエント急行の殺人』をジョニー・デップらハリウッドの豪華俳優陣を起用し映画化した作品。

シェイクスピアの舞台俳優として有名なケネス・ブラナーが監督を務め、主演エルキュール・ポワロを演じています。

2.映画『オリエント急行殺人事件』あらすじとネタバレ


(C)2017Twentieth Century Fox Film Corporation

「この世には善か悪しかなく、その中間は存在しない」と言う名探偵のエルキュール・ポアロ。

彼はエルサレムで盗難事件の真犯人を暴き出し、すぐにイギリスでの事件解決の依頼を受けてオリエント急行に乗り込みます。

高級な車内と料理、行き届いた接客と贅沢な旅路が続いていたが、途中天候が荒れてしまい、雪山に雷が落ちたことで発生した雪崩に列車は巻き込まれ脱線し、立ち往生を余儀なくされてしまいます。

そんな状況の中、さらに乗客のひとりである富豪ラチェットがナイフで12箇所も滅多刺しにされ、命を落とす殺人事件が起きてしました。

オリエント急行に乗っていた人間は全員で16人。
ポアロとブーク、殺されたラチェットを除いた容疑者は13人でした。

1、ヘクター・マックイーン
ラチェットの秘書であり、金銭管理も任されている。
いつも酒を飲んでいる。

2、エドワード・マスターマン
ラチェットの執事。ガンで余命が短い。

3、ハバート夫人
陽気でおしゃべりなアメリカ人。男を誘惑するような態度を見せる。

4、ドラゴミロフ公爵夫人
ロシアの貴族。メイドのブラッシングを虐待と言い放つほどの愛犬家。

5、ヒルデガルデ・シュミット
ドラミゴロフ公爵夫人のメイド。あまり感情が表情にでない。

6、ピラール・エストラバドス
宣教師。常に宗教的観点から発言をする。

7、メアリ・デブナム
バグダッドで家庭教師をしていた女性。アーバスノットと親しい。

8、ゲアハルト・ハードマン
教授であり、人種差別的な発言が目立つ。

9、マルケス
自動車販売の仕事をしている。キューバで脱獄した過去を持つ。

10、ドクター・アーバスノット
元兵士の医師。数少ない黒人の枠を勝ち取り、医師の勉学に励んだ。

11、ルドルフ・アンドレニ伯爵
ハンガリーの貴族。魅力的なダンサーでもあるが、暴力的な面を持つ。

12、エレナ・アンドレニ公爵夫人
精神面に脆く、常に恐怖を解消する薬を常用している。

13、ピエール・ミシェル
オリエント急行の車掌。

死亡したラチェットを除く、15人の中に潜む殺人犯を暴いて欲しいとブークがポアロに依頼する。

ポアロはそれを承諾し、事件解決に挑み始めます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『オリエント急行殺人事件』ネタバレ・結末の記載がございます。『オリエント急行殺人事件』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ラチェットの遺体をアーバスノットが調べたところ、死亡推定時刻は0〜2時の間であることが判明しました。

ポアロはラチェットの部屋を捜索し、1時過ぎを指したまま壊れた時計、Hと書かれたハンカチ、パイプを掃除するハケ、灰皿の上で燃えかけになっていた紙を見つけます。

やがて、遺留品の中にあった燃えかけの紙に浮かんだ文字に注目したポアロ。

それをランタンの火で炙り出すと、文字が浮かびあがることを発見します。

そこには「小さいデイジー・アームストロングを忘れ」と書いてありました。

デイジー・アームストロングは、その昔、アームストロング大佐という富豪の誘拐された娘です。

アームストロング大佐は要求された20万ドルの身代金を支払うものの、理不尽にも娘の命は犯人によって絶たれてしまったのです。

この事件で妊娠していたアームストロングの妻ソニアに、絶大なショックを与え死に追いやります。

無実ながら犯人だと疑いをかけられ問い詰められたメイドも自ら命を断ちます。

また追い詰めたことで大きな批判を浴びた検事もその責任感から自死。

そして、アームストロング自身も傷心から拳銃を使い自死してしまった悲惨な事件でした。

この事件とラチェットの殺されたことに、何か因果関係があると考えたポアロはそれぞれに事情聴取を行います。

車掌のピエールのその時間は見張りをしていたので犯人を見逃すはずがないという証言もあって、全員のアリバイが証明されてしまいます。

しかし、持ち前の観察力と洞察力を駆使しポアロは推理を進めていきます。

まず、ラチェットの秘書である、ヘンリー・マックイーンがラチェットの金を横領していたことを暴きます。

さらにマックイーンがアームストロング事件で無実の罪で追い詰めた検事の息子であることも突き止めます。

Hと書かれたハンカチもヘンリー・マックイーンという名前で筋が通りポアロは詰め寄ります。

ポワロはマックイーンはラチェットが殺された夜、医師のアースバットと飲んでおり犯行は不可能で、やはり犯人ではありませんでした。

謎が謎を呼び、難航を極める操作にポアロは「今までありすぎるほど自信があった、しかし今は違う」と愛する女性の写真を眺めながら初めて弱音を吐いてしまいます。

それでも捜査を続けていき、さらなる真実を明らかにしていきます。

教授だと言っていたハードマンが、訛りからドイツ人ではないこと、使っていた拳銃から元警察であることを見抜きます。

さらにバグダッドで家庭教師をしていたメアリ・デブナムが実はデイジー・アームストロングの家庭教師であったことを見抜きます。

なぜ隠していたと問うポアロにメアリは、「事件と関係していると仕事がとれない」と答えます。

そんな風にメアリに事情聴取している最中でした。

ポアロは後ろから元軍人の医師ハードマンに発砲されます。

幸いにも銃弾はポアロをかすめただけでしたが、なお拳銃を向けたままハードマンはポアロに「ラチェットは私が殺した」と告げます。

しかし、ポアロはそれを信じませんでした。

今にも引き金を引きそうなハードマンでしたが、ブークが背後から襲いかかりポアロは一命をとりとめます。

線路を塞いでいた雪の除雪作業が終わりに差し掛かる中、ポアロは乗客全員を呼び出します。

そして、事件の謎を紐解いていきます。

まずポアロはひとつ目の仮説を言います。

それは乗客以外の第三者が現れて、ラチェットを殺害し去ったというものでした。

しかし、これには雪山で立ち往生している列車に乗り込める者など居ないとして、ブークが否定します。

ポアロは二つめの仮説を言い始めます。

それはポアロ、ブーク、殺されたラチェット以外の全員による犯行だというものでした。

そしてこれこそがこの事件の真相でした。

乗客は一人残らずアームストロング事件の関係者であり、復讐を全員で試みたのです。

ポアロが明らかにした乗客の実際の素性です。

1、ヘクター・マックイーン
アームストロング事件で無実のメイドを死に追いやってしまった検事の息子。

2、エドワード・マスターマン
アームストロング大佐の部下。

3、ハバート夫人
ソニア・アームストロングの母。

4、ドラゴミロフ公爵夫人
ソニア・アームストロングの名付け親。

5、ヒルデガルデ・シュミット
アームストロング家の料理人。

6、ピラール・エストラバドス
デイジー・アームストロングの乳母。

7、メアリ・デブナム
デイジー・アームストロングの家庭教師。

8、ゲアハルト・ハードマン
アームストロング家の自殺したメイドの恋人。

9、マルケス
アームストロング家の運転手。

10、ドクター・アーバスノット
アームストロング大佐に支援してもらった医師。

11、ルドルフ・アンドレニ伯爵
精神的に脆いエレナを支えようと犯行に加担した。

12、エレナ・アンドレニ公爵夫人
ソニア・アームストロングの妹。

13、ピエール・ミシェル
アームストロング家のメイドの父親。

事件の真相を明らかにしたあと、ポアロは「善と悪しかないと思っていたが、これは判断できない」といい、さらに“口止め”を促すように乗客に銃を渡します。

銃を持ったハバート夫人は「私がひとりでやった」と言い切り、なんと自らに銃を当てて引き金を引きます。

しかし、銃の中に弾は入っていませんでした。

無事、イギリスについたポアロは警察にひとつ目の仮説を説明し、また次の事件へと向かいました。

3.映画『オリエント急行殺人事件』感想と評価


(C)2017Twentieth Century Fox Film Corporation

映画「パイレーツオブカリビアン」シリーズのジャックや、『スターウォーズⅦ』のレイ。

さらに「007」シリーズのMなど、挙げればきりがないほどの他の映画でおなじみの俳優がオリエント急行に乗っているようで、もうそれだけで胸が熱くなります。

「この列車には、名優たちが必要だった」の言葉通り、それぞれが魅力的で役にハマりいくことで共感力が増し、どんどんと引き込まれました。

世界的な名作といっても本作は、リメイク作でもあることから過去作品との見比べが楽しいです。

それは同じ原作でも、人によって好きな映画の好みも変わるからです。

映画『オリエント急行殺人事件』(1974)

名匠シドニー・ルメット監督1974年版はサスペンス色が強い作品です。

この作品のポアロは大きく悩まずに、淡々と事件の真相に迫っていきますが、ブークも捜査に口を出すことが多くあり、そのトンチンカンな発言が面白いです。

まるで『名探偵コナン』の毛利小五郎のようなユーモアで、この作品がコナンの元ネタなのかもしれませんね。

ラストは復讐を遂げた充実感が色濃いのも特徴です。

テレビ映画『オリエント急行殺人事件 死の片道切符』(2001)

カール・シェンケル監督は、アガサの原作設定を現代的に多々変更した意欲作

ラチェットへの脅迫状がVHSだったり、アームストロング大佐がOS作りの天才になっていたりします。

原作を知っている数人で一緒に観ると、驚きの連続に盛り上がること間違いなしです。

この作品では「善と悪しかこの世にない」という台詞、朝食のふたつの卵、ヒゲなどポアロをバランスが命としている描写が数多くあります

ここが今の時代に『オリエント急行殺人事件』を映画する上での“肝”だと気がつきました。

善か?悪か?どちらでもあり、どちらでもない。

復讐すべきだったのか?罪を公にするべきなのか?

正解のない問題に、2017年版の『オリエント急行殺人事件』のポアロが直面することで、より一層人間のどうしようもない悲しみや切なさが浮かび上がり、上質な人間ドラマとして仕上がっています。

4.まとめ

魅力的な豪華なキャスティングが織りなすドラマは、トリックだけじゃない人間味溢れる作品になっています。

それはすでに原作を知っている人も、また、知らない人も楽しめる映画のはずです。

是非、映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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