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映画『私たちが光と想うすべて』あらすじ感想と評価レビュー。是枝裕和監督絶賛!インド初のカンヌ映画祭グランプリ作は“消えない光”の感動作|映画という星空を知るひとよ264

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第264回

大都会ムンバイと海辺の村ラトナギリを舞台に、ままならない人生に揺れる女性たちの友情を描く『私たちが光と想うすべて』。

本作は、インド映画史上初となる第77回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞したほか、100を超える世界の映画祭・映画賞にノミネート、25以上の賞を獲得した作品です。

映画『私たちが光と想うすべて』は、2025年7月25日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

本作において、新鋭パヤル・カパーリヤー監督は、光に満ちたやさしく淡い映像美と洗練されたサウンド、詩的で幻想的な世界観を紡ぎ出し、これまでのインド映画のイメージを一新しています。

果たして、どんな美しさなのか……映画公開に先駆けて、本作をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『私たちが光と想うすべて』の作品情報


(C)PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINÉMA – 2024

【日本公開】
2025年(フランス・インド・オランダ・ルクセンブルク合作映画)

【原題】
All We Imagine as Light

【監督・脚本】
パヤル・カパーリヤー

【出演】
カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム

【作品概要】
『私たちが光と想うすべて』は、仕事、恋、結婚など、ままならない人生に揺れる女性たちの友情を、光に満ちた淡い映像美と幻想的な世界観で描いた感動作です。

監督は、ムンバイ出身の新鋭パヤル・カパーリヤー。ドキュメンタリー映画『何も知らない夜』(2021)で、山形国際ドキュメンタリー映画祭2023インターナショナル・コンペティション部門大賞を受賞しました。

本作は、2024年・第77回カンヌ国際映画祭にて、インド映画として初めてグランプリを受賞。

映画『私たちが光と想うすべて』のあらすじ


(C)PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINÉMA – 2024

インドのムンバイで看護師をしているプラバと、年下の同僚のアヌ。

2人はルームメイトとして一緒に暮らしていますが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離がありました。

プラバは親が決めた相手と結婚しましたが、ドイツで仕事を見つけた夫から、もうずっと音沙汰がありません。

アヌには密かに付き合うイスラム教徒の恋人がいるのですが、親に知られたら大反対されることはわかっていました。

それぞれ心にやるせない悩みを持つ2人ですが、誰に相談するでもなく、その日その日を過ごしていました。

そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァティが、高層ビル建築のために住居の立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになりました。

揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、一人で生きていくというパルヴァティを村まで見送る旅に出ます。

神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、2人はそれぞれの人生を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇します──。

映画『私たちが光と想うすべて』の感想と評価


(C)PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINÉMA – 2024

新鋭パヤル・カパーリヤー監督が作り上げた『私たちが光と想うすべて』は、インド・ムンバイで看護師をして暮らす女性たちの友情を描いた物語です。

親の薦める相手と結婚した真面目なプラバと人生を楽しみたいと思っているアヌ。2人の相反する女性たちの生き方を繊細なタッチで映像化しています。

中でも注目は、恋人たちの洞窟での密会シーン。主人公の一人アヌには、イスラム教徒の恋人シアーズがいます。

インドは宗教やカーストの違いによる結婚が、伝統的に難しい国です。アヌは、親に話したら絶対反対されるとわかっているので、誰にも秘密にシアーズとの恋愛を続けます。

今もなお根強く残るしがらみに縛られ、恋人であることを公にはできない2人は、パルヴァティの故郷の海辺の街の洞窟で密会し、そこで、誰かが岩壁に書いたと思われる<自由>という文字を見つけました。

「正直に話したらもう会えなくなる」「とっても怖いの」。囁くように話す2人から、“自由に生きたい”という切実な願いと、社会や家族、伝統がもたらす重圧の間で揺れる2人の繊細な感情が映し出されます。

美しくもあり雄々しくもある大自然や人々が生きるために活動する街の様子も鮮明に描くなかで、このように不安や希望に揺れる心も丁寧に描写されているのです。

全編を通しても本作は、光に満ちたやさしく淡い映像美が終始画面を彩っています。繫華街のネオンやスマートフォンのライト、朝の太陽と夕陽、海の水面等々、多種多様な光がスクリーンから零れ落ちます。

洗練されたサウンド、そして夢のように詩的で幻想的な世界観が紡ぎ出され、これまでのインド映画のイメージが一新されたことに驚きを隠せません。

恋愛や生き様に悩みながらも、一筋の希望の光を見出そうとする彼女たち。一途に生きようとするその姿がじわじわと感動を呼び、世界中に光を届ける新たな傑作となることでしょう。

まとめ


(C)PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINÉMA – 2024

新鋭パヤル・カパーリヤー監督が生み出した幻想的な世界観の『私たちが光と想うすべて』。

ムンバイで働くルームメイトの主人公たちは、仕事や家庭、恋愛に悩みながらも、自分らしく自由に生きたいと願っていました。

作品のコンセプトは、主人公たちの友情ですが、大都会のムンバイの夜、海辺の村ラトナギリの洞窟や神秘的な森の描写は、光と影を上手に使って、幻想的な生活圏の雰囲気を醸し出しています。

そこには、主人公たちの未来への希望に通じるものを見出すことができるでしょう。

リアルな現実生活から逃れようと思う女性たちの心情を、巧みな映像で幻想的に描き出した本作に、映画監督・是枝裕和からも、「カンヌ映画祭で出会い、本当は自分だけの宝物にしておきたいけど、こっそりお勧めします。傑作です」と称賛の声が届きました。

映画『私たちが光と想うすべて』は、2025年7月25日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

なお、本作の公開を記念し、カパーリヤー監督が2021年に手がけた初長編ドキュメンタリー『何も知らない夜』も、2025年8月8日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で期間限定で公開されることも決定しています。

こちらもまた楽しみですね。

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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