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Entry 2018/08/28
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映画『ゆれる人魚』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【ポーランド発のグロテスクな人魚姉妹とは⁈】

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

今回ご紹介するのは美しい伝説の生き物を主人公にした、ポーランド発の映画『ゆれる人魚』(2015)です。

アンデルセンの童話『人魚姫』に依ったストーリーながら少々グロテスクで哀しい、大人のためのおとぎ話です。

映画『ゆれる人魚』の作品情報


© 2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE

【公開】
2018年(ポーランド映画)

【原題】
The Lure 

【監督】
アグニェシュカ・スモチンスカ

【キャスト】
キンガ・プレイス、マルタ・マズレク、ミハリナ・オルシャンスカ、ヤーコブ・ジェルシャル、ジグムント・マラノウッツ、カタジーナ・ヘルマン、アンジェイ・コノプカ、マルチン・コバルチク、マグダレーナ・チェレツカ

【作品概要】
1980年代、共産主義下のポーランド。海から陸へあがってきた美しい人魚の姉妹がたどり着いた先は、ワルシャワの80年代風ナイトクラブでした。

妖艶で野生的な魅力を放つ美少女の2人は一夜にしてスターとなりますが、姉がハンサムなミュージシャンに恋をしたことから少しずつ様子がおかしくなっていきます。2人が駆り立てられる残虐な行為とは…。

監督は長編映画デビュー作となるポーランドの女性監督アグニェシュカ・スモチンスカ。

独特な映像美とデザインで魅了する『ゆれる人魚』は2016年サンダンス映画祭、ワールドシネマコンペティションドラマ部門審査員特別賞をはじめ、世界各国の映画祭で数々の受賞。

映画『ゆれる人魚』のあらすじとネタバレ


© 2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE

姉のシルバーと妹ゴールデンの人魚姉妹は地上に上がります。

ナイトクラブのシンガー達に連れて行かれたシルバーとゴールデンはオーナーに紹介されるのですが、そこで人間の足から人魚の尾に変身してみせます。

歌が得意な彼女達は、そのナイトクラブでディエットのシンガーとして働くことになります。

デパートに買い物に行ったり、煙草を吸っていたり、新しい生活に胸をときめかせる2人。美貌と変身が人気を博し、一夜にしたスターになりました。

そんな中、姉のシルバーはバンドメンバーの1人でハンサムな若者ミーテクに恋をします。

姉の様子を心配な面持ちで見守る妹のゴールデン。なぜならミーテクが他の女性と結婚してしまえば、シルバーは海の泡となって消えてしまうからです。

ゴールデンはある日、抑えていた衝動を解放し、人間を襲って食べてしまいます。

2人は肉食の人魚なので、人間も食べるのです。殺人事件のことを聞いたシンガー達により2人は追放されてしまいます。

以下、『ゆれる人魚』ネタバレ・結末の記載がございます。『ゆれる人魚』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
しかし再びクラブに舞い戻ったシルバーとゴールデン。

ミーテクに人魚と愛し合うことはできないと言われたシルバーは、自分の人魚の尾と人間の下半身を交換する移植手術をすることに決めます。

尾を捨てれば声を失うことからゴールデンは止めようとしますが、シルバーの固い決意に何も言えなくなってしまいます。

人間に変わったシルバーに少し心を動かされたミーテク。

しかし、いざ愛し合おうとした時シルバーの結合した部分から見える血に恐れおののき、去っていきます。

そしてその後ミーテクは他の女性と結婚してしまいます。

結婚のパーティーに出席したシルバーとゴールデン。

ゴールデンはこのままではシルバーが泡になって消えてしまうため、姉にミーテクを食べるよう説得します。

ミーテクの元に行き抱きしめ合い、一度は彼を食べようと口を開きますができなかったシルバーは、穏やかな笑みを残したまま泡となって消えてしまいます。

そばで見ていたゴールデンは、悲しみのあまりミーテクに襲いかかり首元を食いちぎった後、海へ去っていきます。

映画『ゆれる人魚』の感想と評価


© 2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE

ブロンドの髪に穏やかな表情が印象的な姉のシルバー。黒髪でセクシーな妹のゴールデン。

対照的な2人の姉妹のルックスは、美しくも観るものを捕らえて離さないような不吉な魅力を持っています。

美しい人魚のシルバーとゴールデン姉妹ですが、彼女たちの尾びれはヌメヌメとした大蛇のようなルックスで少々グロテスクなもの。

80年代風のディスコのセットがアンダーグラウンドの雰囲気を醸し出し、すべてのシーンが幻想的で初期のデヴィッド・リンチ作品を彷彿とさせます。


© 2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE

また本作はミュージカル映画です。監督をはじめスタッフの多くが1970年代後半生まれで、彼らが子供時代に体験した旧東欧文化への深い郷愁がたっぷりと込められているそうです。

ポーランドのインディーズ・ミュージックシーンに君臨するヴロンスキ姉妹が手がけた特徴的なサウンドは現代的でありながらどこか懐かしさを感じさせるものばかり。奇妙なその世界観はどの映画でも感じたことのない、浮遊感を味わえます。

アンデルセンの悲哀に満ちたおとぎ話『人魚姫』をベースにした『ゆれる人魚』ですが、肉食の人魚と聞いて想起させられるのはギリシア神話に登場するセイレーン。

半身は女性、半身は鳥、後世では魚の姿をしていたとされており、その美しい歌声で船乗りたちを魅了する伝説の怪物です。

歌声に魅惑された船乗りたちは船の遭難、難破にあい、挙句の果てにはセイレーンに食われてしまったと言います。

少女から大人の女性へと成長する過程は、とても繊細でその時の少女にしか分からない衝動を秘めているもの。

人魚姫のような純真無垢さ、セイレーンのような凶暴性も時には持ち合わせている、『ゆれる人魚』はそんな思春期の少女たちの心を人魚をメタファーにして描いていると言えます。

初めての恋、初めての経験、刹那的な青春のひと時はいつか泡になって消えてしまう。初めての傷は残酷なものだけれど、少女たちも胸に純粋なままではいられない“何か”を秘めています。

大人のためのダーク・ファンタジーは、これまでに通ってきた甘く苦い日々を思い起こさせることでしょう。

まとめ


© 2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE

現代の“The Lure”は“誘惑する”の意。

五感に訴えかける独特の映像で脳と心を誘惑する作品『ゆれる人魚』。

次回はデヴィッド・ボウイの楽曲を用いた作品を手掛けると噂されている新進気鋭の女性監督アグニェシュカ・スモチンスカ。

彼女の世界観をたっぷりとご堪能ください。

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