キュートでカオスな宇宙でブラックユーモアが炸裂するクィアなSFアドベンチャー
レズビアンが治める星、惑星クリトポリス。
王家に生まれながら、内気なプリンセス・サイラは、23歳の誕生日に賞金稼ぎの恋人・キキに「愛が重すぎる」と突然フラれてしまいます。
落ち込んで引きこもっていたサイラに、“ストレート・ホワイト・メイリエンズ”にさらわれたキキからSOSが届きます。
残された時間は24時間。元カノを救うため、銀河を巡る大冒険へ!
クィアな作り手による、クィアなSFアドベンチャーアニメ『レズビアン・スペース・プリンセス』。
監督・脚本を務めたのは、ミュージカルコメディアン、テレビ司会者、声優と幅広く活躍し、クィアな物語を描いてきたリーラ・ヴァーギースと、A24作品『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(2023)に参加経験を持つプロダクションデザイナー、アニメーターのエマ・ハフ・ホブス。
映画『レズビアン・スペース・プリンセス』の作品情報

【日本公開】
2026年(オーストラリア映画)
【原題】
Lesbian Space Princess
【監督・脚本】
リーラ・バーギース、エマ・ハフ・ホブス
【製作】
トム・フィリップス
【キャスト】
シャバナ・アゼース、バーニー・バン・ティエル、ジェマ・チュア=トラン、アンティ・ドナ、リチャード・ロクスバーグ、ジョーダン・ラスコポロス、マデリーン・サミ、クウィーン・コング
【作品概要】
クィアのクリエイターであり、パートナー同士のリーラ・バーギース、エマ・ハフ・ホブスが、コメディとアニメーションを融合させた作品を作りあげた『レズビアン・スペース・プリンセス』。
リーラ・バーギースは、クィアな物語と文化的多様性をユーモラスに描き、ミュージカルコメディアン、テレビ司会者、声優としても活動しています。
エマ・ハフ・ホブスは、映像作家、アニメーター、プロダクションデザイナーとして活動し、A24作品『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(2023)にも参加しました。
映画『レズビアン・スペース・プリンセス』のあらすじとネタバレ

レズビアンが治める惑星クリトポリスの内気なプリンセス・サイラ。
王家のものは皆、伝説の武器〈ラブリュス〉を呼び出す力がありますが、サイラは何度挑戦しても呼び出すことができません。
そんなサイラに初めて恋人ができます。それは、賞金稼ぎのキキ。自分とは正反対のキキに恋して舞い上がるサイラでしたが、「愛が重すぎる」とたった2週間で振られてしまいます。
初めてパーティでシングルゾーンから抜け出せると思っていたサイラは、打ちひしがれ引きこもります。
そんな、サイラのもとに“ストレート・ホワイト・メイリエンズ”からキキを誘拐した、無事に返してほしければ、ラブリュスを持って来いと言うのです。
キキはネットの掲示板を見て、パリピの惑星“Sクラブ17”を目指し、初めて惑星クリトポリスを飛び出し、大冒険の旅へ。
映画『レズビアン・スペース・プリンセス』の感想と評価

キュートでカオスな宇宙で、ブラックユーモアが炸裂するクィアなSFアドベンチャー『レズビアン・スペース・プリンセス』。
レズビアンを主人公にした映画は、性的に消費されたり、カムアウトに主軸を置いていたり。そんなステレオタイプをぶち破る、ありのままの完璧ではない私の成長物語というのが本作の魅力の一つです。
主人公のサイラは、レズビアンが治める惑星クリトポリスのプリンセスです。
しかし、今まで描かれてきた完璧なプリンセス像とはかけ離れています。内気で引きこもりのオタク、それがサイラです。
完璧ではないからこそ、サイラを観客は愛おしく思い、自分自身を重ね、その成長ストーリーに勇気をもらえます。
ダメな私を好きになることだけではなく、本作はパートナーがいなくてはいけないという呪縛からも解放してくれます。
誰かを好きになること、それは素敵なことです。しかし、好きな人がいなくてはいけない、恋人がいない自分は不完全か?というと、そうではないのです。
また、サイラの元カノのキキも、サイラと同様に、完璧な人間ではありません。
好きすぎるあまり、盲目になっていたサイラは、終盤になってキキの自分勝手さに気づき、きちんと恋を終わらせるのです。
誰もが恋して盲目になったり、ふとしたことで盲目になっていた自分に気づいたりします。
そんな等身大の姿をパワフルなアニメーションと共に描く本作は、クィアによるクィアのエンパワーメントムービーといえるでしょう。
まとめ

近年、クィアな作り手による、クィアを主人公にしたジャンル映画が増えてきました。
ミュージカル映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』(2025)や、スリラー映画『ハイポ』(2025)、さらにドラァグクイーンによるパーティ会場を舞台にしたゾンビ映画『Queens of the Dead』(2025)など。
クィアな登場人物によるアニメーション映画であり、スペースオペラという意味で本作も、その系譜にあるといえるでしょう。
惑星クリトポリスは、レズビアンが国を治めているほか、他の惑星でも女性の立場が強くなった世界であることが本作では明示されています。
だからこそ、ストレート・ホワイト・メイリエンズは肩身が狭くなったと恨み節を言っているのです。
そのような立場の逆転現象を通して現代社会を風刺している点は、グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』(2023)に通じる視点と言えるでしょう。
性器の形をしたペットや、子宮から武器のラブリュスが登場するなど、突き抜けたコミカルさも本作の魅力です。































