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映画『エレノアってグレイト。』あらすじ感想と評価考察。スカーレット・ヨハンソン初監督作は“年の差を超えた友情”を描くヒューマンドラマ

  • Writer :
  • 松平光冬

悪気のない嘘から始まるハートウォーミングドラマ

俳優スカーレット・ヨハンソンが長編初監督を務めた映画『エレノアってグレイト。』が、2026年6月12日(金)より新宿バルト9ほか全国順次ロードショーされます。

ヨハンソンが自身と家族のルーツであるユダヤカルチャーを背景に、嘘をきっかけに出会った老婦人と母を亡くした学生の友情を描くヒューマンドラマの見どころをご紹介します。

映画『エレノアってグレイト。』の作品情報


(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2026年(アメリカ映画)

【原題】
Eleanor the Great

【製作・監督】
スカーレット・ヨハンソン

【共同製作】
ジョナサン・リア、キーナン・フリン、トルーディ・スタイラー、セリーヌ・ラトレイ、ジェサミン・バーガム、カラ・ダーレット

【脚本】
トリー・ケイメン

【撮影】
エレーヌ・ルバール

【編集】
ハリー・ジャージアン

【キャスト】
ジューン・スキッブ、エリン・ケリーマン、ジェシカ・ヘクト、リタ・ゾーハー、キウェテル・イジョフォー

【作品概要】
俳優スカーレット・ヨハンソンの長編監督デビュー作。とある嘘をきっかけに出会ったパワフルな老婦人と、母を亡くした女子学生の友情を軽やかに綴ります。

脚本は、これがデビューとなるトリー・ケイメンが、自身の祖母や家族の歴史を下敷きに執筆。

主な出演者は『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』(2025)のジューン・スキッブ、『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(20)のエリン・ケリーマン、『それでも夜は明ける』(2013)のキウェテル・イジョフォー。

映画『エレノアってグレイト。』のあらすじ


(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ニューヨークに暮らす老婦人エレノアは親友のベッシーを亡くし、心にぽっかりと穴が空いたような毎日を過ごしていました。

そんなある日、お茶会に参加するつもりがホロコースト生存者の自助グループの会に迷い込んでしまったエレノアは、そこでホロコーストの記憶を語っていたベッシーの半生を、その場しのぎで話しはじめます。

激動の半生に感銘を受けたジャーナリスト志望の学生ニナとの新たな友情に心躍らせるエレノア。しかし彼女の嘘は、ひとり歩きをはじめ……。

映画『エレノアってグレイト。』の感想と評価


(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

自身のルーツに立ち還ったスカーレット・ヨハンソン初監督作

2025年の第97回アカデミー賞授賞式でのアカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞発表の際、プレゼンターとして登場したスカーレット・ヨハンソンとジューン・スキッブ。

ハリウッドメジャー大作に出演を重ねるヨハンソンと、2014年の『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』で84歳でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の最優秀女優賞にノミネートされたスキッブが、なぜ一緒のステージに?と思った方もいたでしょう。

その理由は、本作『エレノアってグレイト。』にあります。

2020年に、ヨハンソンは自身の高祖叔父とその家族がワルシャワ・ゲットーで亡くなったことを知ります。そんな折、キャリア的にほぼ新人のトリー・ケイメンによる、95歳でフロリダからマンハッタンへ大陸横断の移住をした自身の祖母や家族の歴史をベースとした脚本を目にし、感銘を受けます。

自ら監督としてケイメンの脚本を映画化することを決意したヨハンソンは、自身のルーツでもある、悲しみを背負いながらも懸命に生き永らえてきたユダヤ同胞たちへのリスペクトも盛り込み、主人公のエレノア役に、『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』で93歳で初主演を務めて脚光を浴びたスキッブを抜擢したというわけです。

スキッブの演技についてヨハンソン監督は、「非常にプロフェッショナルで、提案にも柔軟に対応してくれた。常に並外れたワンテイクで応えてくれる」と称賛。『テルマがゆく!~』で軽妙なテルマおばあちゃんを演じたスキッブは、本作でもパワフルで明るいエレノアを好演しています。

(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

悲しみが紡ぐつながり

ニューヨークに暮らすエレノアは、ルームメイトで長年の親友ベッシーを亡くしたのを機に、娘リサや孫マックスと同居することとなります。

ある日、リサの勧めで同年代の友人を作るためにお茶会に参加したエレノアですが、間違ってホロコースト生存者の自助グループの会に迷い込んでしまうことに。退出もままならなくなったエレノアは、その場しのぎにホロコースト生存者だったベッシーの人生を語ってしまいます。

大学のレポート作成のために会に参加していた学生ニナは、エレノアの話に感銘を受け個別インタビューを申し込んだのをきっかけに、交流が始まります。

(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

結婚によりユダヤ教に改宗したエレノアと、亡き母親がユダヤ人だったニナ。ユダヤ人という共通点を持つ彼女たちにもう一つ共通するのが、悲しみや孤独を背負っているという点です。  

あまりにも過酷なベッシーの半生を自分のこととして語ったエレノアの嘘は、裏を返せばそれは、亡き親友をいつまでも忘れたくないという思いでもあります。

ニナはそうした実情を知らないながらも、母の死を機に父のロジャーと折り合いが悪くなり、孤独を感じる自身の境遇とエレノアを重ねていくのです。

悲しみが他者を紡ぎ、癒しへとつながる過程を丹念に描く一方、エレノアの行為が実は旧約聖書の教えともつながるという展開は、ユダヤカルチャーに即した実に巧みな構成といえます。

まとめ


(C)2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ホロコースト生存者は、家族を失い「なぜ自分だけ生き残ったのか」という罪悪感に陥り、詳細を語りたがらない人が多いといわれますが、本作のベッシーはその典型ともいえます。

ちなみにベッシー役のリタ・ゾーハーや、ホロコースト生存者の自助グループ会員として出演するキャストは、実際のホロコースト生存者でもあります。

終戦から80年を経て、例外なく高齢である生存者の数は年々減っています。ホロコーストという負の記憶を語り継ぐことは、戦争という過ちを犯さないという警告でもあります。

しかしエレノアがついた悪気のない嘘は、やがてニナを通じて人気ニュースキャスターでもあるロジャーも知るところとなり、大きな騒動に。

はたしてエレノアとニナの、年の差を超えた友情の行方やいかに?

映画『エレノアってグレイト。』は、2026年6月12日(金)より新宿バルト9ほか全国順次ロードショー。

松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューのほか、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)


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