Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2017/09/23
Update

映画『二コトコ島』『石と歌とペタ』あらすじとキャスト!感想レビューも

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

ユーモラス、かつソリッド!しりあがり寿、岡田利規ら各方面の表現者たちから絶賛をされる唯一無二の映像ワールド。

知られざる奇才といわれる大力拓哉と三浦崇志コンビ監督の代表作である、映画『二コトコ島』&『石と歌とペタ』が遂に、10月14日(土)より、イメージフォーラムにて劇場公開されます!

1.大力拓哉&三浦崇志監督の作品とは


『ニコトコ島』

2007年に映画『タネ』にてデビューして以来、コンビを組みながら作品を発表し続けてきた大力拓哉と三浦崇志監督。

イメージフォーラムフィルムフェスティバル2009で大賞を受賞や、第62回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門に招待された『ニコトコ島』は、細緻で大胆な構図によるモノクロームのビジュアルが印象的な作品です。

監督ら自身が出演も果たし、大阪弁の不可思議なモノローグが続く中、3人の男がフェリーに乗って謎の島を旅するという物語です。

予告編では登場人物たちが、「山とは何なのか?」などの詩的で奇妙な掛け合いの会話は、一見、他愛の無い言葉のやり取りをした後に「僕ら、もしかして何にも分かってないんちゃうん」という台詞が映画全体を貫く通奏低音のように印象的です。

また続いて流れる映画『石と歌とペタ』は、第7回ローマ国際映画祭で招待上映された作品。『ニコトコ島』とは打って変わり、軽快な音楽とビビッドなカラー作品でセンスを見せいます。

物語は「石」と「歌」、そして全く正体不明の「ペタ」と名乗る者たちが“どこかへ向かう”ロードムービー。

「石」「歌」「ペタ」と名乗ってはいるものの、やはり監督自身らがそのまま登場しています。

森に行き、草原を走り、まるで子どものように遊び続ける彼らは、どこに向かっていくのか? 「死ぬときは死ぬもんなあ。もっと遊ばななあ」という劇中の台詞からも分かる通り、今作は彼らの見せる青春映画なのかもしれません。

海外の高い評価にもかかわらず、国内では映画祭以外ほとんど上映されてこなかった2作品が遂に一般公開されるのです。

世界でも類を見ないオリジナリティを発揮し続けている大力拓哉&三浦崇志監督の作品特徴は、引き延ばしたような無為の時間に遊びながら、「ひとはなぜ生きるのか」「死とは何か」という根源的な問いを軽やかに問い続けます。

2.大力拓哉&三浦崇志監督のプロフィール

大力拓哉(左) / 三浦崇志(右)

ともに1980年大阪府出身で、2人は小学校からの幼なじみです。

2007年に『タネ』がイメージフォーラム・フェスティバルにて入賞。

2008年に第4回シネアストオーガニゼーション大阪 (CO2)助成作品として、中編『僕達は死んでしまった』を製作します。

また同年に自主製作した中編『ニコトコ島』は、イメージフォーラム・フェスティバル2009にてグランプリの大賞を受賞、第62回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門「Filmmakers of the Present」に選出されます。

2009年に制作をはじめた『コロ石』(2010)は、パリのポンピドゥー・センター(国立美術文化センター)で上映されます。

『石と歌とペタ』(2012)は、第7回ローマ国際映画祭「CINEMAXXI」コンペティション部門で上映されました。

その後も毎年新作を製作しながら、唯一無二の世界を常に発信し続けています。

大力拓哉&三浦崇志フィルモグラフィー (全て共同監督)

映画『コロ石』予告編

『僕の心の中には、いつも雨が降っている』 (2005/34 分/カラー/DV)
『タネ』 (2007/50 分/モノクロ/DV)
『僕達は死んでしまった』 (2008/55 分/モノクロ/DV)
『ニコトコ島』 (2008/47 分/モノクロ/DV)
『コロ石』 (2010/61 分/モノクロ/DV)
『石と歌とペタ』 (2012/60 分/カラー/DCP)
『Road Movie』 (2014/61 分/モノクロ/DV)
『今日も順調』 (2015/116 分/カラー/DV)
『ほなね』 (2016/72 分/カラー/DV)
『Monologues』 (2016/34 分/カラー・モノクロ/DV)

3.映画『ニコトコ島』の作品情報

【公開】
2008年(日本映画)

【脚本・監督】
大力拓哉、三浦崇志

【キャスト】
松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志

【あらすじ】

『ニコトコ島』

大力・松田・三浦の3人は船に乗ります。彼らは“どこか”へ向かいます。

ある島に到着した3人は、どこへ向かうでもなく、おしゃべりしながら岩山や森を歩き続けます。

誰か1人が死んでも彼らは歩き続けます…。

映画『ニコトコ島』予告編

4.映画『石と歌とペタ』の作品情報

【公開】
2012年(日本・フランス合作映画)

【脚本・監督】
大力拓哉、三浦崇志

【キャスト】
松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志、中尾広道

【あらすじ】

『石と歌とペタ』

石と歌とペタの3人は、出会い、一緒に旅をします。

“目的地があるから迷う”ということに気付いた3人は、目的を「いろんなところへ行く」に変更します。

話したり、遊んだり、歌ったり、夢を見たりしながら、3人の現実と非現実の狭間の旅は、終わることを知らない…。

映画『石と歌とペタ』予告編

5.映画『二コトコ島』&『石と歌とペタ』の感想レビュー


『二コトコ島』

漫画家のしりあがり寿は『ニコトコ島』を観た際に次のような感想をコメントで語っています。

「「デジタル」とか「パソコン」の時代に、すごく手作り感あふれる映像で、一つの画面の中にちっちゃーな事から、大きな事まで、くだらなーい事から、大切な深ーい事まで入っていて、それがユーモラスに語られて長い時間飽きさせない。素晴らしいとおもいましたね。新鮮なスタイルの作品で、「オレもああいうの作ってみたい」と思う人がこれからどんどんでてきそうな、新しい可能性を感じました。」

演劇作家で小説家でもあるチェルフィッチュ代表の岡田利規は、『二コトコ島』と『石と歌とペタ』を併せた感想を、次のようにコメントとして語っています。

「『ニコトコ島』も『石と歌とペタ』も、出てくる三人組は生半可なこどもみたい。もしくは、生半可な原始人。退屈さとたわ むれる、ということだけをしている。それだけをして生きているような、夢を造形した映画。わたしが彼らから目が離せ なかったのは、たぶん羨ましかったからなんだろう。
意味の無い、目的の無い、価値の無い、その自由。
彼らの生半可さは挑発的で、かつ魅惑的だ。」


『石と歌とペタ』

しりあがり寿と岡田利規の2人とも、この映画についての感想を的確に述べているように感じます。

大力拓哉と三浦崇志のコンビ監督が制作した『ニコトコ島』と『石と歌とペタ』が、それだけ観る者に想像を促すような一般的とは“異なるズレ”があるからでしょう。

それは予告編からも観てとれる独特な雰囲気や間合いのリズムを映画全体に引き延ばされているからです。

そこで観客はこの“異なるズレ”を自分なりに静かに共感としていくからです。

挑発的で魅惑的、可能性という自由があるのかもしれませんね。

まとめ


『石と歌とペタ』

大力拓哉と三浦崇志のコンビ監督が制作した『ニコトコ島』と『石と歌とペタ』を劇場で見られる貴重な機会です。

また、漫画家のしりあがり寿、演劇作家の岡田利規も絶賛する唯一無二の映像ワールド!

ぜひ、10月14日(土)より劇場公開されます。お見逃しなく!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】映画『国宝』あらすじ感想と結末の評価考察。吉沢亮×横浜流星の艶やかな女形が魅了する圧巻のエンターテイメント

映画『国宝』が描き出す、歌舞伎の世界で生きる主人公の壮絶な人生ドラマ 李相日監督が、『悪人』(2010)『怒り』(2016)の作品に続いて、吉田修一作品3作目となる『国宝』を映像化。 歌舞伎役者として …

ヒューマンドラマ映画

映画『ポルトガル、夏の終わり』ネタバレ考察とラスト解説。ロメールや清水宏のヴァカンス映画を彷彿させる

世界遺産の街で、家族が過ごす最後の夏 映画『ポルトガル、夏の終わり』が2020年8月14日(金)より、全国順次公開されています。 ポルトガルの世界遺産の街・シントラに家族を呼び寄せた女優、フランキー。 …

ヒューマンドラマ映画

死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実|ネタバレあらすじと結末の感想評価。名優アル・パチーノが「安楽死」問題について問う

第68回ゴールデングローブ賞主演男優賞ほか多数の賞を受賞した社会派ドラマ! バリー・レヴィンソンが監督を務めた、2010年製作のアメリカの社会派ドラマ映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真 …

ヒューマンドラマ映画

映画『新宿スワン』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も【綾野剛×沢尻エリカ共演】

演技派で知られる綾野剛。いよいよ、2017年1月21日から『新宿スワンⅡ』の公開されます。 今回は前作『新宿スワン』をご紹介。監督は園子温。 ベルリン国際映画祭での受賞経験を持つ園子温監督の新たなチャ …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】映画『浮草』あらすじ感想と結末評価。小津安二郎監督が丁寧に紡ぐ旅回り一座の濃密な人間模様

旅回り一座の座長をめぐる人々の絆 『東京物語』(1953)の名匠・小津安二郎が、旅回りの一座の人間模様を描くセルフリメイク作品です。 主演は二代目中村鴈治郎。京マチ子、杉村春子、若尾文子が共演します。 …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学