Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2018/09/23
Update

映画『スウィーニー・トッド』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。ティムバートン監督とジョニーデップおすすめ代表作ミュージカル!

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

ティム・バートン監督とジョニー・デップ主演のおすすめミュージカル映画!

トニー賞8部門に輝いたスティーブン・ソンドハイム作のミュージカルを奇才ティム・バートン監督がジョニー・デップ主演で映画化した『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

腕利きの理髪師の相棒はよく切れるカミソリ。そのカミソリが向くのは髭と、それから…。

今回は恐ろしくも哀しいミュージカル映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』をご紹介します。

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の作品情報


(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

【公開】
2008年 (アメリカ映画)

【原題】
Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street

【監督】
ティム・バートン

【キャスト】
ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター、アラン・リックマン、サシャ・バロン・コーエン、ティモシー・スポール

【作品概要】
『シザーハンズ』(1990)『チャーリーとチョコレート工場』(2005)でおなじみのティム・バートン監督がトニー賞を獲得した1979年の同名ミュージカルを映画化。

『スウィーニー・トッド』の作詞、作曲を手掛けたのは長年愛され続けるブロードウェイの金字塔『ウエスト・サイド物語』(1957)の作詞を手がけ、アカデミー賞、トニー賞、グラミー賞、ピューリッツァー賞、ローレンス・オリヴィエ賞の受賞歴を持つスティーヴン・ソンドハイム。

ゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)、ゴールデングローブ賞 映画部門 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)、アカデミー美術賞など多くの賞を獲得しました。

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』のあらすじとネタバレ


(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

19世紀、ロンドン。船から降りてくるのはアンソニーと白髪がひとふさ生えた怪しげな男。

彼の名前はスウィーニー・トッド。

トッドはかつてこの街でベンジャミン・バーカーとして理髪店を営み、愛する妻と娘と共と幸せに暮らしていました。

しかし彼の妻を狙う好色な判事、ターピンによってトッドは濡れ衣を着せられ、流罪の刑に処されていたのです。

トッドは復讐のためにフリート街の地を再び踏みました。

トッドが自分の店があった場所を訪れると、そこは寂れたパイ屋でした。

トッドは店を営むラヴェット夫人から彼の妻は自死し、1人娘はターピン判事に半ば軟禁状態で暮らしていることを知ります。

ラヴェット夫人はトッドに協力することに決め、彼女の店の2階を理髪店として彼に貸しました。

一方街を出歩いていた若い船乗りアンソニーは、怪しげな女性がうろつく屋敷の窓辺で美しい少女を見かけます。

彼女に一目惚れするアンソニーでしたが、彼女はターピン判事に幽閉されているジョアンナ。

アンソニーに気づいたターピンは彼にジョアンナには近づかないよう脅されます。

今までに何人もの若者がジョアンナに近づこうと試み、ターピンと小役人のバムフォードによって痛い目に合わされていました。

しかしアンソニーは彼女を必ず屋敷からさらうと決意を固めます。

ラヴェット夫人と共に市場に出かけたトッドは、イタリアから来たという理髪師ピレリが子供のトビーと毛生え薬を大人達に販売していました。

トッドはピレリの薬をいかさまだと見破り、髭剃り競争で彼を負かします。

その様子を見ていたターピンの腰巾着バムフォードは、近々店に行くと約束しました。

店に戻ったトッドの元へアンソニーが駆け込み、ジョアンナと駆け落ちするため助けが欲しいと訴えます。

了承するトッド。それから間もなく、ペテンを見破られたピレリがトビーと共に訪ねてきました。

ピレリはトッドが実はベンジャミン・バーカーだと知っているといい、役人にバラされたくなければ儲けの半分を渡すよう要求しました。

トッドは咄嗟に彼を殴り喉を剃刀で掻っ切りました。

ラヴェット夫人は主人を失った少年トビーの身の上を案じ、自分のパイ屋で働かせることにしました。

一方、ターピン判事はジョアンナに求婚していました。

ジョアンナがあまり嬉しそうでなかったことを懸念するターピン判事に、バムフォードは身なりを整え、無精髭を剃るよう提案します。

トッドの店にターピンがやってきて、トッドは彼を殺す機会が早く来たことに心を躍らせます。

獲物が自分の手にあることを喜び、ゆっくりと丁寧にターピン判事の髭を剃るトッド。

しかしその時、タイミング悪くアンソニーが駆け落ちの相談のため店に駆け込んできました。

ターピン判事は激怒しもう二度とこの店には来ないと言い放ちます。

以下、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』ネタバレ・結末の記載がございます。『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ラヴェット夫人はピレリの死体を刻み、肉の代わりにパイの材料として使うことを思いつきました。

トッドが理髪店にやってきた人々を次々と殺し、死体を地下室に運び、ラヴェット夫人はその死体を使ってミートパイを焼き、寂れていた店は繁盛します。

トッドは駆け落ちがバレて精神病院に送られたジョアンナを、かつら職人と偽らせてアンソニーにさらいに行かせます。

その後トッドは2人のことを記した手紙をターピンに出します。この手紙でターピンを再び店に誘い出そうとしたのです。

店が繁盛したラヴェット夫人はこのままトッドとトビーと共にどこかへ移り幸せに暮らすことを夢見ますが、復讐に燃えるトッドは気乗りしません。

その頃から店の周りに身なりの汚い女性がうろつくようになり、ラヴェット夫人は追い返します。

トッドの冷酷さに気がついたトビーは、恩人であるラヴェット夫人にトッドから守りたいと伝えます。

しかし彼の非道さに気付きながらも愛していたラヴェット夫人は複雑な思いでした。

トビーはラヴェット夫人がピレリの小銭入れを持っていたことに狼狽します。

死体を焼き続けている店の煙からは異臭がし、ある日店にバムフォードが苦情を伝えに来ます。

トッドは丁寧に招き入れるもののすぐに殺し、彼の死体は地下室に送られました。

そこにトビーがいたのはトビー。トビーはミートパイの材料が人肉だと気付き、地下室に通じている下水道を通って逃げました。トビーの後を追い、トッドとラヴェット夫人は店から離れます。

その頃、アンソニーはジョアンナをさらうことに成功し、彼女を船乗りに変装させて店に来ますがトッドがいません。

アンソニーはジョアンナを残してトッドを探しに出かけます。

そこへ例の身なりの汚い女性が現れたので、ジョアンナは咄嗟にトランクへ身を隠します。

そこへトッドが戻り、彼はすぐ浮浪者の女性を殺しました。

程なくしてターピンが店に到着。トッドはジョアンナがもうすぐ来るとターピンに伝え、身なりを整えるために髭剃りを薦めて、ターピンを椅子に座るよう促します。

トッドはついにターピンにその正体を明かし、首にカミソリを何度も突き刺しました。トッドはジョアンナに気がつきますが、結局見逃します。

地下室に降りたトッドは殺した浮浪者の顔を確認して驚愕します。その女性はトッドの妻だったのです。

トッドはラヴェット夫人が妻は自殺したと偽っていたことに怒り、彼女を焼却炉に放り込みました。

妻の死体を抱き寄せるトッドの背後に、隠れていたトビーがゆっくりと近づきます。

彼はラヴェット夫人の復讐のため、彼のカミソリで首を掻き切りました。

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の感想と評価


(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

ティム・バートンの念願の映画化

本作の演出を務めたティム・バートン監督は、学生時代に同名のミュージカルを鑑賞した際に感銘を受け、ずっと映画化する夢を抱いてきたのだそうです。

そんなこともり製作時にはスティーヴン・ソンドハイムも全面協力しています。

主人公ベンジャミン・バーカー/スウィーニー・トッドを演じるのは、バートン監督作品に欠かせないと言っても過言ではない、ジョニー・デップ

ラヴェット夫人を演じるのはヘレナ・ボナム=カーターです。

ジョニー・デップはバンドを組んでいた過去があるものの、その歌声はほとんど知られていませんでしたが、公開後はキャラクターに合った声だと評価されました。

また今は亡きイギリスの名優で「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生役でおなじみのアラン・リックマン、同シリーズのティモシー・スポール、ジェイミー・キャンベル・バウアーも出演しています。

作品の見どころはドイツ表現主義


(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

1920年代を中心に繁栄した映画のムーブメントであるドイツ表現主義。

暗くファンタジックな物語に人間の心の暗部や社会の闇を写した、荒削りな映像や陰影のコントラストが特徴的です。

このドイツ表現主義に大きな影響を受けているティム・バートン監督。

本作も色彩を抑えたダークな世界観に仕上がっています。

そのため作品で使われた血のりは色彩に溶け込むようオレンジ色に変えられたそう。トッドによる殺戮シーンは劇的に演出するため、1シーンにつき人間の総血液量を超える血のりが使われたそうです。

また衣装は全て手縫いであり、ラヴェット夫人のドレスの中にはヴィクトリア朝のカーテン布を探し出して作られたものも存在します。

スウィーニー・トッドを突き動かしたものは?


(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

主人公スウィーニー・トッドを殺人鬼へと駆り立てたものはたった1つの復讐心

彼の目を取り囲む影や髪に混じるひとふさの白髪が、彼が街を出てからどんな悲痛な思いをして過ごしてきたか連想させます。

1度死んだも同然のトッドを突き動かす燃える復讐心の刃は最後彼の首に向く。

愛する人を奪われた悲しみが負のエネルギーへ変わり、心を失った人間には悲劇が訪れます

トッドの共犯者であるラヴェット夫人もまた、トッドの正体を知りながらも彼を愛し、支えていたにも関わらず彼の犠牲になってしまいます。

曲の1つ1つや、恐ろしい劇的な演出が本作『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』を唯一無二のメロドラマにティム・バートン監督は昇華させています。

まとめ


(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

悲しみが憎しみへと変わる人の心、悪に支配され何もかも見えなくなった人間の末路、復讐や愛といった普遍的なテーマを音楽とゴシックな世界観に乗せて劇的に描く『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

ティム・バートン監督が長年映像化を夢見た本作は、強烈なインパクトを放ってカルト的人気を誇り続けています。

ハロウィンも近いこの季節、ぜひ今一度『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の世界をご堪能ください。

関連記事

サスペンス映画

22年目の告白キャストとあらすじ!映画舞台挨拶や試写会情報も

“すべての国民が、この男に狂わされる” 韓国映画『殺人の告白』を入江悠監督がリメイクしたクライムサスペンス映画『22年目の告白 私が殺人犯です』をご紹介します。 CONTENTS映画『22年目の告白 …

サスペンス映画

韓国映画『スウィンダラーズ』あらすじとキャスト。日本公開日はいつ?

韓国映画『スウィンダラーズ』7月7日(土)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー。 詐欺師だけをダマすという詐欺師5人と、エリート検事の攻防を描いた予測不可能なケイパームービー。 駆け引きと裏切りの …

サスペンス映画

【ネタバレ考察】ザリガニの鳴くところ|タイトル意味×犯人の正体解説から見える“人間の入る余地のないソコ”

真相は、初恋の中に沈む──。 全世界にて累計1500万部を超える大ヒットを記録した動物学者ディーリア・オーエンズによる小説を映画化した『ザリガニの鳴くところ』。 ノースカロライナ州の湿地帯で発見された …

サスペンス映画

『L.A.コールドケース』ネタバレ結末感想とあらすじ解説の評価。人気ラッパーの殺害された未解決事件を追う警官をジョニーデップが演じる

1990年代、人気ラッパーの2パックとノートリアス・B.I.G.が殺害された未解決事件を追う刑事と記者を描く 1997年に起きたノトーリアス・B.I.G.の殺人事件を担当したが、解決できず担当を外れた …

サスペンス映画

『獣手』あらすじ感想と評価解説。バイオレンスサスペンス映画が描くのは“異形の姿”となった男と孤独な女の《壮絶な生き様》

映画『獣手』は2024年1月27日(土)より渋谷ユーロスペース公開後、6月17日より横浜シネマノヴェチェントにて上映! 失われた左手が異形ものへと変わってしまった男が繰り広げる凄惨な戦いを描く映画『獣 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学