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Entry 2020/06/11
Update

韓国映画『悪人伝』感想考察とレビュー評価。キムソンギュ×マドンソク×キムムヨルの三つ巴のコリアンノワール

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『悪人伝』は2020年7月17日(金)よりシネマート新宿ほかにて全国順次ロードショー!

本国韓国で興行収入ランキング初登場1位を記録、観客動員数300万人を超えるヒット作品となった極悪バイオレンス・アクション『悪人伝』。

本作は『新感染ファイナル・エクスプレス』『悪女/AKUJO』に続き、韓国映画としてカンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門で正式上映され、シルヴェスター・スタローン製作によるハリウッド・リメイクまでも決定しています。

イ・ウォンテが監督兼脚本を担当し、『新感染 ファイナル・エクスプレス』で注目を集め、今や国際的スターとなりつつある主演のマ・ドンソクは、本作でも圧倒的な肉体的存在感と説得力のある演技、アクションで観客を魅了。

殺陣、カーチェイスとアクションの魅力を惜しみなく凝縮した本格アクションが登場しました。

映画『悪人伝』の作品情報


(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2020年(韓国映画)

【原題】
악인전(英題:THE GANGSTER, THE COP, THE DEVIL)

【監督・脚本】
イ・ウォンテ

【キャスト】
マ・ドンソク、キム・ムヨル、キム・ソンギュ、ユ・スンモク、チェ・ミンチョル、キム・ユンソン

【作品概要】
熱血漢刑事とヤクザのボスが、お互いの利権をめぐり連続殺人鬼を追う様子を描いた異色バディー・アクションサスペンス。『隊長キム・チャンス』(2017)で長編デビューを飾ったイ・ウォンテが監督兼脚本を担当します。

主役であるヤクザのボス、チャン・ドンス役を務めるのは『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)で大きな注目を集め、さらには先日MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品『The Eternals(原題)』への出演も決定、ハリウッド進出も果たした人気俳優マ・ドンソク。

またドンスとバディーを組む熱血漢チョン・テソク刑事には『ウンギョ 青い蜜』(2012)『代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン』(2017)のキム・ムヨル、冷血殺人鬼役にはNetflixドラマ『キングダム』(2019)で注目を浴びるキム・ソンギュと、共演陣にも実力派俳優が名を連ねています。

映画『悪人伝』のあらすじ


(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

札付きのワルながら何事にも仁義を通すことで一目置かれているヤクザのボス、チャン・ドンス。街で幅をきかせる彼を中心としたヤクザ集団は警察内部にも手を回し、その微妙な関係を保っていました。

一方で警察署内では鼻つまみとされながらも、ヤクザの誘惑にも負けない血気盛んな刑事がいました。彼の名はチョン・テソク。上司の様子からはドンスの息がかかった雰囲気を感じ取り、悶々とした毎日を送りながらも、自身の信念を貫こうともがいていました。

そのころ街では人が刃物でめった刺しにされるという猟奇殺人が連発、一連の犯行は同一犯によるものとにらんだチョン刑事は、これらを連続殺人事件としてひそかに捜査を進めます。

そしてある日の夜、ドンスは殺人鬼と遭遇し大きなけがを負いますが、奇跡的に一命をとりとめます。この事件の捜査をテソクが担当。

彼は事件の不自然さから、ドンスは自分が追っている連続殺人の犯人に遭遇したのではとにらみ、ドンスに対して執拗に供述を迫ります。

ところがドンスは、テソクの隙をついて彼の弱みを握ってしまいます。ヤクザのボスとしてのメンツを守るために、殺人鬼を追うドンス。

こうしてヤクザのボスと刑事が共闘して進める犯人捜査の幕が切って落とされました。

映画『悪人伝』の感想と評価


(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

マ・ドンソクを中心とした三つ巴のぶつかり合い

本作で最も強い存在感を示しているのが、ヤクザのボスであるドンスを演じるマ・ドンソク。

彼が演じるのは、どんな状況でも冷静な表情を見せながら、取っ組み合いでも負けない圧倒的な強さをもつドンス。マ・ドンソクが演じるさまは、まさしく「ギャングスター」の趣そのもの。

特に今回マ・ドンソクは初の全身入れ墨姿に挑戦しており、その姿も圧巻。一方でフッと見せる優しい表情には、一瞬彼がヤクザのボスであることを忘れてしまうユニークな人間性が表れます。

マ・ドンソクにとってこの役柄はまさにハマり役といえるでしょう。

そして個性豊かなキャラクターを表現するキム・ムヨル、キム・ソンギュもそんなマ・ドンソクと対峙すべく、体当たりで演技に向き合っていました。


(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

特にこれまでさまざまな役柄に挑戦し、まったく異なる表情を見せてきたことで定評のあるキム・ムヨルは、今回この役を演じるにあたり大幅な肉体改造に挑戦。

最大15kgの増量に成功して撮影に臨んだという気合いの入れ様を見せており、ドンスに対してもひるまないテソクのキャラクターの説得力を存分に表しています。

またキム・ソンギュも、生気のない表情で病的な殺人鬼ぶりを怪演。本性を隠して見せる冷ややかな目線は、クライマックスで見せる「本性を露呈してしまう表情」とは対照的に強烈なインパクトを残します。

本作では、そんなマ・ドンソクを中心とした3人の主要キャラクターのぶつかり合いが、見どころたっぷりのケミストリーを生み出していました。

「悪」という性質の追究


(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

本作は警察とヤクザ(ギャング)というバディーが殺人鬼という悪魔を追い詰めていくというアクションサスペンス。この3人の人物の姿から、三様の「悪人」像が描かれているのが、本作の特徴です。

ドンスは札付きのワル。殺人鬼は自らモンスターにならざるを得なかった状況にありました。そしてテソクは、威勢はいいが誘惑をきっぱり拒否する正義漢ですが、そんな彼の心の奥底にある影の中に、表からは見えなかった「悪人」の部分が徐々に見えてきます。

3人の「悪人」な部分が複雑に交差し、時にはお互いの「悪人」ぶりを触発します。

そのさまからは何が「悪」で何が「正義」なのか、という固定観念を疑ってしまいそうになりました。

このような感覚は生々しいリアリティーを追究する韓国サスペンスノワールの大きな特徴の一つでもあり、その醍醐味をたっぷりと味わえる作品となっています。

本作を手掛けたイ・ウォンテ監督は、2017年に長編デビュー作となる『隊長キム・チャンス』を発表。これは朝鮮王朝時代の王妃、閔妃の暗殺に加担した日本人を殺害した罪で刑務所に収監されたキム・チャンスという人物が、死刑囚から独立運動家へと成長していくさまを描いた、実話をベースとした物語です。

物語では日本人の殺害に対して「国母の怨みを晴らしただけだ」と、殺人という罪とは対極にある複雑なチャンスの思いを、彼と囚人たちとの交流を通して描いています。

2つの作品はまったく内容の異なるものですが、作品のテーマとしては共通のポイントが存在するといえます。

まとめ


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また本作では、ドンスに頭が上がらないチョン刑事の上司役として、韓国の実力派俳優の1人、ユ・スンモクが出演しています。

近年出演した韓流ドラマ『ボイス2 ~112の奇跡~』(2019)など、他の作品でもうだつの上がらない上司という役柄を演じており、マ・ドンソク同様に彼も本作でその役柄にはうってつけの役者として作品に花を添えています。

彼の役柄は真っすぐな志のテソクの「悪人」ぶりを呼び起こす、あるいは想起させる要素でもあり、この存在こそテソクの悪の部分が鮮烈に浮き立たせているともいえます。

こだわりぬいた格闘シーン、息詰まるカーチェイスなど興奮のアクションシーンもふんだんに用意され、見るものをスクリーンに釘付けにするこの作品。

一方では、ラストで見せる3人それぞれの表情によって、息もつかせぬアクションの余韻が見る者の心に深く刻み込まれてきます。

そして注目は、ラストシーンでマ・ドンソクが見せる表情。その表情の奥にある真意からは、ゾクゾクするほどのスリルを味わうことになるでしょう。

映画『悪人伝』は2020年7月17日(金)よりシネマート新宿ほかにて全国順次公開されます!




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