ブラッド・ピットが未知のウイルスに挑む
ブラッド・ピットが自ら製作を担当し主演を務めた大スケールのパニック・スリラー。
マックス・ブルックスによる同名小説を原作に、『007 慰めの報酬』(2009)のマーク・フォースター監督が映画化しました。
ピット演じる国連職員が、世界規模で急激に蔓延し、全人類を滅亡に誘う謎のウイルスに立ち向かう姿を描きます。
コロナを経験し、未知のウイルスの怖さを知った現代人にとっては身につまされる一作ともいえます。
襲い来る大量のゾンビ=Zを前に、人類は自分と愛する人々の命を果たして守ることができるのでしょうか。
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映画『ワールド・ウォーZ』の作品情報
(C)2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
【公開】
2013年(アメリカ映画)
【原作】
マックス・ブルックス
【脚本】
マシュー・マイケル・カーナハンほか2名
【監督】
マーク・フォースター
【編集】
ロジャー・バートン、マット・チェシー
【出演】
ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ダニエラ・ケルテス、ファナ・モコエナ、アビゲイル・ハーグローブ、スターリング・ジェリンズ、デヴィッド・モース
【作品概要】
『オーシャンズ』シリーズや『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)で知られるハリウッド・スターのブラッド・ピット主演のパニック大作。
マックス・ブルックスのベストセラー小説を『007 慰めの報酬』(2009)のマーク・フォースター監督が映画化しました。
突然発生した謎のウィルスに世界中の街が壊滅状態に追い込まれる中、人々が立ち向かう姿を大迫力で描き出します。
共演はミレイユ・イーノス、ダニエラ・ケルテス、ファナ・モコエナ。
映画『ワールド・ウォーZ』のあらすじとネタバレ
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フィラデルフィアに住む元国連職員のジェリー・レインは、妻のカリンと長女・レイチェル、次女・コニーを学校に送るため自動車に乗っていました。
異常な交通渋滞にはまる中、突如人々が車を放棄して逃げまどい始めます。人間を狂暴化させる謎の疫病が世界各地で流行し、街はゾンビの大群に襲われていました。
車をなぎ倒して暴走する巨大なトラック、窓ガラスに頭を打ちつけて襲うゾンビたち。阿鼻叫喚の中、ジェリーは家族を連れてなんとか逃れます。
途中で出会ったヒスパニックの一家に一晩匿ってもらったレインは一緒に逃げようと誘いますが、彼らは自宅にとどまることを選びます。
しかし、レインたちが出発後すぐ、一家はゾンビに襲われてしまいました。幼い息子だけ生き延び、レインに合流します。
国連事務次官のティエリーから召集を受けたレインは、襲い来るゾンビを振り払い、間一髪で屋上に迎えにきたヘリに乗り込み助け出されました。
大統領も死亡したこと、そして発生源を突き止めワクチンを作る必要があることをティエリーから聞かされるレイン。
上官から派遣チームに加わるよう要請されたレインは、空母に家族を匿ってもらうことを条件に任務を引き受けます。
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映画『ワールド・ウォーZ』の感想と評価
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愛する家族のために命を賭ける男の物語
ハリウッド・スターであるブラッド・ピットが全力で挑むパニック・スリラー大作『ワールド・ウォーZ』。未知のウイルスに侵された地球で、愛する者の命を守るために奔走する人々の姿が描かれます。
2013年に公開された作品ですが、2019年以来猛威をふるうコロナウイルスによって「未知のウイルス」「パンデミック」「WHO」といった言葉を身近に感じている私たちにとっては、その恐怖がより強く実感できることでしょう。
スリルと感動を味わうと共に、やはりブラピはかっこいいと再認識させられる魅力的な作品です。
劇中では、ピット演じる元国連職員のレインが暮らしていたフィラデルフィアの街で、未知のウイルスに侵された人々が次々にゾンビ化していきます。
すごい勢いで大暴走する大型トラック、大群で襲い来る恐ろしい形相のゾンビの描写の半端ない迫力に、自分が常に追われているかのような恐怖感にとらわれます。
レインはまだあどけなさを残すふたりの愛娘と妻を守るために、ふたたび国連の現場へと戻り、ウイルス撲滅のために奔走することとなります。
仕事に復帰する代わりに妻子を空母に守ってもらえるというよりも、仕事を受けなければ空母から追い出すという脅迫めいた状況下での決断でした。後半では、レインは死亡したと思い込んだ軍がレインの妻子をカナダへ放り出すのですから本当にひどい話です。
イスラエルが築いた巨大壁をよじ登り、なだれ込んでくるゾンビの大群の恐ろしいこと。その迫力にただ圧倒されます。
エルサレムでともに戦う美しい女性兵士・セガンとの友情も大きなみどころです。彼女がゾンビに噛まれた腕をすぐにレインは切り落とし、ゾンビ化することを阻止します。
そんな混乱の中でも、ある重要な点に鋭く気づくレイン。それはゾンビたちは健常者しか見えないという真実でした。
無数のゾンビに襲われる中でもそれを見出した彼が、どれほど注意深くて優秀な人物かがよくわかります。このことをきっかけに、勇気あふれるレインは自分の命を賭けてゾンビを倒す切り札を手に入れるのです。
これまで危険な任務をこなしてきたレインが言う「行動こそ命だ」のという言葉に宿る真実が強く伝わって来る一作です。
まとめ
(C)2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
愛する家族の命を守るために、常に行動して道を切り開いていく強き男の姿を描く『ワールド・ウォーZ』。自ら製作も務めたという主演のブラッド・ピットの熱意が伝わって来る意欲作です。
未知のウイルスが身近となった現代の私たちにとっては、決して夢物語とは言いきれない怖さがあります。
ゾンビになるという設定は極端としても、感染せず愛する人たちを守るためにどんな行動をとるべきかという命題は変わらぬものともいえるでしょう。
時代背景によって作品のとらえ方がまったく変わるという事実も教えられる作品となっています。
今の時代だからこそぜひ鑑賞してほしい一作です。