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映画『インサイド』感想レビュー。考察『屋敷女』オリジナル作品との比較

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

補聴器が無いと耳が聞こえない障害を持つ妊娠中の女性が、突然自宅に侵入してきた、正体も目的も不明の女に襲われるサスペンススリラー。

極限の恐怖と緊張感を味わえる、7月13日(金)より全国公開中の映画『インサイド』、今回は作品の魅力を考察してお伝えします。

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映画『インサイド』の作品情報


(C)2016 NOSTROMO PICTURES SL / INSIDE PRODUCCION AIE / GRAND PIANO LLC

【公開】
2018年(スペイン・アメリカ合作映画)

【原題】
Inside

【脚本・監督】
ミゲル・アンヘル・ビバス

【脚本・製作総指揮】
ジャウマ・バラゲロ

【キャスト】
レイチェル・ニコルズ、ローラ・ハリング、アンドレア・ティバダル、ベン・テンプル、スタニー・コペット

【作品概要】
耳に障害を持ち、妊娠している女性サラが、謎の女に命を狙われる恐怖を描いたサスペンススリラー。

補聴器が壊れ耳も聞こえなくなり、陣痛で行動が制限され、助けを呼ぶ事もできない、絶体絶命の状況に追い込まれた、サラの恐怖の一夜を描く。

監督と脚本は『スペイン一家監禁事件』のミゲル・アンヘル・ビバス、製作総指揮と脚本を、大ヒットホラーシリーズ『REC/レック』を手掛けたジャウマ・バラゲロが担当。

主演はTVシリーズ『エイリアス』ファイナル・シーズンで注目を集めたレイチェル・ニコルズ。

映画『インサイド』のあらすじ


(C)2016 NOSTROMO PICTURES SL / INSIDE PRODUCCION AIE / GRAND PIANO LLC
間もなく出産を控え、幸せな夫婦生活を送っていたサラ。

ですが、自身の運転する車が衝突事故に遭遇し、夫は帰らぬ人となります。

サラは事故の影響で、補聴器が無いと音が聞こえない障害を背負ってしまいます。

お腹の子供は奇跡的に無事で、少しだけ出産予定が遅れていますが、サラは子供の誕生だけを楽しみにしていました。

あるクリスマスの夜、サラは親切な隣人アイザックとブライアンにクリスマスパーティーへ招待されますが「祝う気分ではない」と断ります。

1人になり眠ろうとしたサラに、何者かが扉をノックする音が聞こえます。

ドアスコープを覗くサラは、人影は確認できましたが、扉の向こう側にいる人物の顔が見えません。

「車が壊れた為、電話を使わせてほしい」と、懇願する人物は、声から女だと判断できます。

不審な空気を感じ取ったサラは「主人は寝ているからドアは開けられない」と伝えますが、女は「なぜ嘘をつくの?死んだのよ。」と扉を強引に開けようとします。

侵入しようとした女を食い止めたサラは、女が姿を消した事を確認し、警察からの事情徴収を受けます。

混乱しているサラの言動に、不審な部分を感じつつも、警察は定期的に巡回する事を約束し立ち去ります。

不安を感じつつも、眠りにつこうとしたサラでしたが、雷鳴と共に、寝室に謎の人影が浮かび上がります。

寝室に侵入していた謎の女は、サラに薬を嗅がせて、注射を打ちます。

眠りから間一髪で目覚めたサラは、女を振り払い、バスルームに逃げ込みます。

ですが補聴器が壊れ耳が聞こえなくなり、女がサラに投与した陣痛促進剤オキシトシンの影響で、激しい陣痛に襲われ行動が制限されます。

女はバスルームの扉を強引に開けようとします。

「私が何者か、あなたは知っている。私のその目的も」と謎の言葉をサラに伝える女。

クリスマスの為、近隣住民は出かけており、ゴーストタウンと化した街。

更に外は雷雨で、助けも呼べない中、脱出不可能とも思える状況に追い込まれたサラの運命は…。

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オリジナル作品『屋敷女』との比較


本作は、2007年にフランスで製作された映画『屋敷女』のリメイク作品となっています。

設定や大筋の展開は『屋敷女』とほぼ同じですが、『屋敷女』は激しい残虐描写が多く、苦手な人は最後まで観賞できないのではないでしょうか?

『屋敷女』は日本ではR-18指定となっていおり、さらにレンタル版では、クライマックスのシーンでモザイク処理がかけられており、何が起きているか分からなくなってます。(前後の流れで、だいたい想像できますが、かなり残酷な描写と思われます。)

また、唐突とも思える意味不明な展開もあり、独特な雰囲気がカルト的人気を得ています。

今作『インサイド』は『屋敷女』を一般向けにした作品となっており、残虐描写が抑え気味に変更され、サラと謎の女の内面に焦点をあてた内容となっています。

監督のミゲル・アンヘル・ビバスは『屋敷女』をリスペクトし、オリジナルの面白さを残しながら「女性が母親に変わり始める過程や落とし穴についての寓話」をテーマにして『屋敷女』とは違う作品に仕上げています。

ホラー要素の強い『屋敷女』を、『インサイド』ではスリラー要素を強くした事も明かしています。

映画『インサイド』の感想と評価


(C)2016 NOSTROMO PICTURES SL / INSIDE PRODUCCION AIE / GRAND PIANO LLC
監督のミゲル・アンヘル・ビバスは、本作を「ストーリーを伝えるのではなく、恐怖を体験してもらうことを念頭に置いていました。」と語っています。

また、大ヒットしたホラー映画『REC/レック』シリーズの生みの親で、本作の脚本を担当したジャウマ・バラゲロは「ホラー映画では、観客と主人公の感情は常に共有される」と語っており、サラの感情が極限まで引き出せるような脚本を書いた事を明かしています。

正体も目的も分からない女に、刃物を振り回されながら追い詰められるだけでも怖いですが、サラが何度も助かるチャンスを掴みながら、女に奪われていく様子は絶望しか感じません。

観客は、サラの恐怖と絶望を一緒に体験します。

ただ、チャンスを潰しているのが、サラの軽率な行動が原因だったりもするので、サラに対するイライラも感じます。

70年代や80年代のホラーテイストに近いかもしれないですね。

補聴器を外したサラが、周囲の音が淀んで聞こえる様子を音響で表現し、観客の不安を煽っており、サラと観客が一体となる演出も施されています。

また、ラストシーンは、驚くほどシンプルなので、「ストーリーではなく恐怖を感じる映画」としての潔さを感じました。

ただ、シングルマザーとなるサラが、恐怖を乗り越えて強い母親になる様子を描いた映画でもある為、作品にメッセージが込められており、ただの怖いだけの映画ではありません。

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まとめ


(C)2016 NOSTROMO PICTURES SL / INSIDE PRODUCCION AIE / GRAND PIANO LLC
本作は、サラと女のほぼ2人だけで物語が進行します。

感情を爆発させ、叫び声をあげながら逃げ続けるサラ役のレイチェル・ニコルズと、サラを淡々と追い詰め、狂気だけでなく、時に歪んだ愛情を見せる女を演じたローラ・ハリングの演技は対照的で、絶妙なバランスを見せており、作品を作り上げています。

監督のミゲル・アンヘル・ビバスは「レイチェルとローラなしの『インサイド』は想像できない。」とコメントしており、信頼を寄せている事が分かります。

最後まで映画を観賞した時、2人の女性の印象は最初と変わっているのではないでしょうか?

観賞するというより、サラの恐怖を観客が一緒に体験する、暑い夏にオススメの映画『インサイド』は、7月13日(金)からTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開中です。

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