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映画『顔を捨てた男』あらすじ感想と評価考察。A24が日本公開最新作で放つ‟理想と現実が反転する“極上の不条理スリラー

  • Writer :
  • 松平光冬

A24製作×セバスチャン・スタン主演の不条理スリラー

『MaXXXineマキシーン』(2025)のA24が製作した映画『顔を捨てた男』が、2025年7月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショーとなります。

『サンダーボルツ*』(2025)、『ダム・マネー ウォール街を狙え!』(2024)のセバスチャン・スタン演じる、顔に特異な特徴を持つ男がたどる不条理な物語の見どころをご紹介します。

映画『顔を捨てた男』の作品情報


(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2025年(アメリカ映画)

【原題】
A Different Man

【監督・脚本】
アーロン・シンバーグ

【製作】
クリスティーン・ヴェイコン、ヴァネッサ・マクドネル、ガブリエル・メイヤーズ

【製作総指揮】
アーロン・シンバーグ、セバスチャン・スタン

【撮影】
ワイアット・ガーフィールド

【編集】
テイラー・レヴィ

【キャスト】
セバスチャン・スタン、レナーテ・レインスヴェ、アダム・ピアソン

【作品概要】
A24製作、『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』(2025)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたセバスチャン・スタン主演のスリラー。

セバスチャンは本作の演技で2024年第74回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀主演俳優賞)、2025年第82回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。

外見やアイデンティティをテーマにした作品を手がけてきたアーロン・シンバーグが監督・脚本を手がけ、セバスチャンと共にエグゼクティブ・プロデューサーも兼任。

共演に、『わたしは最悪。』(2021)のレナーテ・レインスベ、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013)のアダム・ピアソン。

映画『顔を捨てた男』のあらすじ


(C) 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。自分の気持ちを閉じ込めて生きてきた彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れます。

別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」にそっくりな男オズワルド。彼との出会いにより、エドワードの運命は想像もつかない方向へと逆転していき…。

映画『顔を捨てた男』の感想と評価


(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

A24製作の独創的&予測不能スリラー

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023)、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024)など、フィルムメーカーの創造力を尊重する作品を次々と発表する映画スタジオ・A24。

その気鋭のスタジオが新たに放つ本作『顔を捨てた男』は、ニューヨークを拠点に活動する監督アーロン・シンバーグの⻑編3作⽬となり、前2作同様に脚本も担当。『サンダーボルツ*』、『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り⽅』のセバスチャン・スタンを主演に据えました。

かねてからシンバーグの作品に注目していたというセバスチャンは、「こんな脚本を送ってくる⼈は今まで誰もいなかった。ここ5年ほど、私は挑戦的に感じられる作品、つまり変⾰の要素がある作品に惹かれてきた。⾁体的な変化だけでなく感情的なレベルでも、この作品は⾃分にとって⾮常に新しい領域だった」と絶賛します。

撮影は全編16ミリフィルムを使用。雰囲気のある映像も相まって、独創的な世界観と予測不能な展開が繰り広げられるスリラーとなっています。

強烈なルッキズム風刺


(C) 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

セバスチャン演じるエドワードは、顔に極端な変形を持つ俳優志望の男。隣に越してきた劇作家を目指す女性イングリッドに片想いするも、その容姿にコンプレックスを感じ、一歩を踏み出せませんでした。

そんなある日、主治医から新薬の治験を提案され、見た目を変えて新しい人生を歩みたいとの思いから、それを受けることに。治療により新しい顔を得たことで、ガイと名を変え、別人として生きていきます。

顔が変形したエドワードを主人公に据えたのは、シンバーグ監督自身が両唇⼝蓋裂の矯正治療を受けた経験に基づいています。

⻑編デビュー作の『Go Down Death(原題)」(2013)、続く『Chained for Life(原題)』(2018)と、顔の違いや美醜が何をもたらすのかという外⾒やアイデンティティをテーマにした作品を発表してきたシンバーグ。とりわけ2作目の『Chained for Life(原題)』では、トッド・ブラウニングの『フリークス』(1932)を用いての、ルッキズムへの強烈な風刺が込められています。

(C) 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ガイとなり順風満帆な日々を送っていたエドワードでしたが、ある日、目の前にかつての自分とそっくりな男オズワルドが出現。やはり俳優志望ながら、明るく社交的な性格のオズワルドに複雑な感情を憶えていきます。

オズワルド役のアダム・ピアソンは神経線維腫症の当事者で、シンバーグ監督の前作『Chained for Life』では主演を務めており、「彼なしでは『顔を捨てた男』は存在しなかった。アダムが私と⼀緒にやりたいと思わなかったら、決してこの映画を作ることを考えなかったよ」と称賛します。

次回作に1980年にデヴィッド・リンチ監督が手がけた『エレファント・マン』(本作の原題『A Different Man』は『The Elephant Man(エレファント・マン)』のもじり)の再映画化に主演するアダム。

「アイデンティティは、物語的に扱うべき⾮常に奥深く豊かなテーマ。私たちは外⾯では誰なのか?内⾯では誰なのか?そして、その⼆つの世界が必ずしも平等に機能しないとき、何が起こるのか?」と、本作がどんな議論を巻き起こすのかに期待を寄せます。

まとめ


© 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

障害を抱えていたはずのガイ=エドワードが、「健常者の君には分からないよ」とオズワルドに言われてしまう皮肉。

顔を変えれば、なりたかった自分になれるのか? 本当にこの世は、多様性のある時代なのか?

自分のアイデンティティが大きく揺らいでいくエドワードが行き着く、顛末とは?

観る者にも潜んでいるであろう、ルッキズムという偏見・差別を強烈に映し出す衝撃作です。

『顔を捨てた男』は、2025年7月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューの他、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219





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