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【ネタバレ】レミニセンス|あらすじ考察評価と結末の感想解説。SFハードボイルド捜査劇として“過去を振り返る”意味を描く【SF恐怖映画という名の観覧車161】

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile161

上手くいっていない「今」の瞬間や、今から地続きの「未来」に希望を抱けなくなったとき、人はどうしても自分が一番幸せだった「過去」を振り返ってしまいます。

そんな自分自身の過去を思い返すだけでなく実際に追体験できる装置が存在したとしたら、過去の魅力に抗い未来を生きていくことは出来るでしょうか。

今回は過去を追体験できる装置が存在する近未来を描いた映画『レミニセンス』(2021)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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映画『レミニセンス』の作品情報


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

【日本公開】
2021年(アメリカ映画)

【原題】
Reminiscence

【監督】
リサ・ジョイ

【脚本】
リサ・ジョイ

【キャスト】
ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、ダニエル・ウー、クリフ・カーティス、ブレット・カレン

【作品概要】
SFドラマシリーズ『ウエストワールド』の製作総指揮を務めたリサ・ジョイが長編映画デビューを飾ったSF映画。

「X-MEN」シリーズのウルヴァリン役で知られるヒュー・ジャックマンが主演を務め、ヒューと共演した『グレイテスト・ショーマン』(2018)で実在した歌手ジェニー・リンドを演じたレベッカ・ファーガソンが本作にも共演として参加しました。

映画『レミニセンス』のあらすじとネタバレ


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

海面が上昇し陸の一部が海に沈んだ近未来。

戦争で脚に傷を負ったニックはマイアミでその人自身の過去の記憶を追体験させる装置を使った店を営んでいました。

戦争や海面上昇によって家族や希望を失った人々はニックの店に押し寄せ、連日店は予約で満員の状態。

そんなある日、営業終了時間直前にどこかに置き忘れた鍵の場所を知りたいと話すメイが現れ、ニックは彼女の記憶を追うことで鍵の在処を見つけ出します。

翌日、メイが店に置き忘れたイヤリングを届けるため、彼女が歌手を務める「サンクン・コースト」のクラブを訪れたニックは再会したメイと関係を持ち、2人は深い恋に落ちます。

ニックはメイと楽しい日々を過ごしますが、それは全て装置を使いニックが見ていた彼自身の過去の記憶でした。

メイと出会ってから数ヵ月後、最新設備が開発されたことでニックの店はかつて常連客であった過去の恋人との記憶を繰り返し見ていたエルサすら来店せず、店は閑古鳥が鳴いている状態。

ニックは突如失踪したメイの手掛かりを追い日々記憶に入り浸る毎日であり、従業員のワッツもそんなニックに愛層をつかしていました。

「サンクン・コースト」の街は戦時下で多くの不動産を成し崩し的に取得した悪徳な地主シルヴァンのような人間たちによって牛耳られており、貧困にあえぐ市民とは一触即発の状況となっています。

ある日、検事のエイブリーから装置を使っての尋問を依頼されたニックとワッツは、裁判所でニューオーリンズの麻薬王セント・ジョーの手下の記憶を追います。

記憶の中でニックは、セント・ジョーお抱えの歌手として登場する麻薬依存症の女性がメイであることに気づき、手下の記憶から彼女がセント・ジョーから新型麻薬「バッカ」を大量に盗み逃亡した過去があることを知ります。

メイの手掛かりを見つけてしまったニックはワッツとエイブリーに止められながらも、単身でセント・ジョーが仕切るアジトに売人に扮して潜入。

しかし、セント・ジョーにあっさりと嘘を見破られ窮地に陥るとニックは殺害されそうになりますが、元軍人であるワッツがアジトへと押し入りセント・ジョーを含めたギャングを全員射殺しニックを救出しました。

ワッツはメイが失踪する直前に彼女と話しており、メイが麻薬依存症であることをニックには隠しながらもワッツには告白していた記憶を追体験します。

ニックはワッツの記憶の中で、メイがワッツの隙を見て記憶の保管庫の鍵を盗んでいる姿を目撃し、メイがセント・ジョーの時と同じく何かの目的を持って自分に近づいたことを悟りました。

記録と照らし合わせ、盗まれた記憶がエルサのものであったことを知ったニックはエルサを探しますが、既に彼女は何者かによって殺害され、彼女の息子はメイによく似た女性に誘拐されていました

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『レミニセンス』のネタバレ・結末の記載がございます。『レミニセンス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

ニックはメイの捜索を進める中で男に襲撃され「メイを追うな」と言う忠告を受けます。

その記憶を見たワッツは襲撃犯がセント・ジョーの手下の記憶にも映っていた汚職警官のブーンであることに気づきます。

一方、ニックは過去にエルサの記憶の追体験を補助した自分自身の記憶を見ることで、エルサの記憶の断片を見ることに成功。

すると、エルサの恋人が悪名高い不動産屋のシルヴァンであり、既婚者であるシルヴァンとエルサが不倫関係であったことやエルサがシルヴァンの子供を身ごもっていたことを知ります。

ブーンの現在の雇用主がシルヴァンであることも分かり、ニックはシルヴァン中心の捜索を進めようとしますが、シルヴァンは病気で命を落としたばかりでした。

シルヴァンの家に潜入し彼の妻であるタマラにエルサのことを問い詰めたニックは、シルヴァンがエルサの息子への財産分与を嫌がりブーンに2人の殺害を命じたことを聞きだします。

犯罪者や身分を隠したい人間の溜まり場となっている冠水地帯でメイを探すニックは廃工場でブーンを発見。

激しい攻防の末にブーンを捕獲したニックは彼を装置に入れ、メイと会っていた記憶をたどります。

セント・ジョーと仲違いしたブーンはマイアミでメイを見つけると、メイを脅しニックに近づきエルサの記憶を奪うように命じます。

メイとブーンは予めニックの戦友を訪ね彼の好みを完全に把握しており、鍵を無くした記憶やクラブでの歌手活動など、ニックが見た全てのメイの記憶はブーンの仕込んだ餌でした。

数ヶ月後、メイはニックから盗んだエルサの資料をブーンに渡しますが、ニックがエルサとその息子のフレディを殺害するつもりだと知ったメイはブーンがエルサを殺害した隙にフレディを連れ去り逃亡します。

ブーンはニックの店で張り込みをし続け、メイが全てを告白するためにニックの元を訪れようとした際に彼女を誘拐。

ブーンはバッカを無理やりメイに服用させフレディの居場所を告白させようとしますが、メイは意を決しニックがブーンに辿り着き彼の記憶を見ると信じ、フレディの場所がニックにだけ分かるようにブーンに話します。

その後、困惑するブーンの隙をついたメイは廃工場から飛び降り命を絶ちました。

メイはニックを騙すつもりで近づいたものの、次第にニックを本気で愛し、やり直すきっかけを求めていたことを思い知ったニックは装置を使いブーンの一番辛い過去を無限に繰り返すように設定しその場を去ります。

シルヴァンの家へと向かったニックはシルヴァンの息子セバスチャンに銃を突きつけます。

ニックはブーンの記憶で見たエルサの最期の言葉やブーンの記憶の断片から黒幕がシルヴァンではなく、私生児の存在で財産の分け前が減ってしまうセバスチャンだと気づいていたのです。

セバスチャンは口止め料として分け前を提案しますが、既にニックは警察にフレディを保護させており、すぐに警察が来ると言いその場を去りました。

セバスチャンは銃で自殺しようと試みますが、全てを与えられ生きてきた彼にはその選択を選ぶ度胸すらありませんでした。

ワッツのもとを訪れたニックは自身がブーンにした仕打ちを告白。

それは殺人よりも重い罪に問われる行為であり、ワッツを友人であると信じたニックは彼女に検察への誠実な証言を求めました。

シルヴァンの過去の罪が公となり、街では貧困層による暴動が発生。

その中を1人歩くニックはセバスチャンの罪を暴いた功績もあり、収監ではなく記憶の中に眠ることを許可されます。

装置に入ったニックはメイと過ごした時間の追体験を始めました。

数年後、老婆となったワッツは孫娘と共にニックの元を訪ねます。

ニックは老人となっても装置の中で記憶の追体験を繰り返しており、悲劇的な結末で終わらない幸せな時間を過ごしていました。

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映画『レミニセンス』の感想と評価


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

近未来を舞台としたハードボイルド捜査劇

映画公開当初『レミニセンス』は近未来を舞台に人の記憶を可視化して事実に迫っていく映画として認知されており、夢に侵入し事実を追っていく『インセプション』(2010)と比べられることも多くありました。

しかし、本作は近未来を舞台に人の記憶を辿る装置を使った捜査劇が本筋となる物語であり、どちらかといえば近未来と未来予知を組み合わせた捜査劇である『マイノリティ・リポート』(2002)や、救いのない未来でのハードボイルドな捜査がメインとなる『ソイレント・グリーン』(1973)に近い作風と言えます。

一人の女性との出会いが戦争で心と身体に傷を負った主人公ニックの人生を大きく変えていくことになる、サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても、そしてSF映画としても筋の通った物語が楽しめる作品でした。

過去を振り返ることの意味


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

本作に登場する「装置」は、記憶と神経をつなぐことでその人自身の記憶をもう一度追体験することが出来ます。

長く続く戦争や街が冠水し未来に希望のなくなった近未来では、過去の一番幸せだった記憶を追体験すべくニックの店に多くの人が押し寄せます。

ニックは当初、過去に執着することを危険と言い、自分自身は装置を多くは使用しませんでした。

しかし、最愛の女性が行方不明になって以降、ニックは過去に執着し装置へと依存していきます。

本作には、過去に執着することや過去に縛られることを否定し、過去を受け入れて前に進むことを促すメッセージがある一方で、過去を振り返ることの良さも描かれています。

同じ記憶を何度も思い返すことで、見方の全く変わる異なる事実が浮かび上がってくることや、時に前ではなく後ろに自分の生き方の答えを見つけ出すこともあります。

暗く辛い事実が次々と明らかになる一方で、どこか美しく儚い結末を迎える本作は「過去」の持つ両面性を映し出していると言える物語となっていました。

まとめ


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

海面上昇によって冠水した都会という舞台や、圧倒的な格差社会による暴動の種火が見える様相など、SF映画としての魅力に富んだ世界観が繰り広げられる映画『レミニセンス』。

力強く無骨ではあるものの精神的な面での脆さを垣間見せるヒュー・ジャックマンの演技と、レベッカ・ファーガソンの何かを隠している神秘的な人物像は画面に目が釘付けになってしまうほどの画力が爆発。

映画『レミニセンス』はSF映画好きだけでなくサスペンスやミステリー、そしてハードボイルドな映画が好きな人にもぜひ鑑賞して欲しい、ちょっと異質な捜査劇映画でした。


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