2018年6月15日(金)公開になった「メイズ・ランナー」シリーズの第3作目『メイズ・ランナー:最期の迷宮』。
今回、WCKDに拉致された仲間を救うために、巨大な研究施設に潜入する主人公たちの壮絶バトルが描かれています。
荒廃した大地の一角に、不自然なほど光り輝き、選ばれた者だけが生活することを許されたシティ(都市)。
主人公トーマス、そして仲間たちは高い壁に守られた巨大施設を攻略し、仲間を救うことが出来るのでしょうか。
『メイズ・ランナー:最期の迷宮』の作品情報

(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Maze Runner: The Death Cure
【監督】
ウェス・ボール
【キャスト】
ディラン・オブライエン、カヤ・スコデラリオ、トーマス・ブロディ=サングスター、デクスター・ダーデン、ナタリー・エマニュエル、ジャンカルロ・エスポジート、エイダン・ギレン、キー・ホン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、キャサリン・マクナマラ、 ジェイコブ・ロフランド、ウィル・ポールター、バリー・ペッパー、ローサ・サラザール、パトリシア・クラークソン
【作品概要】
ジェームズ・ダシュナーの小説『The Death Cure』を原作として製作されたSFスリラー映画。
2014年『メイズ・ランナー』、2015年『メイズ・ランナー砂漠の迷宮』に続く、シリーズ3部作の最終作です。
世界を滅亡寸前にまで陥れた、フレアウイルスの血清研究のため、免疫のある若者を捕らえて人体実験を行うWCKDという施設と、それにあらがう若者たちとの壮絶な闘いを描いています。
『メイズ・ランナー:最期の迷宮』あらすじとメタバレ

(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
荒れ果てた大地の一角に、ライトが眩しく犇いているシティ(都市)という場所がありました。
そこは、WCKDの研究施設の中枢であり、選ばれた者だけが入ることを許されている場所。
高い壁に囲まれ入り口も分からず入ることは不可能とされていたのです…。
広い砂漠に1本だけ通っている線路に、WCKDと書かれた長い列車が走り抜けていました。
列車を追いかけるように1台の車が猛スピードで追いかけ、反対側からもう1台の車が後につきます。
列車の跡につく車には、トーマスとWCKDに対抗するレジスタンすを率いるヴィンスが同乗していました。
もう1台の車には、ブレンダとホルヘが乗り、サポートします。
トーマスは列車と車をクレーンで繋ぎ、列車に飛び移りヴィンスも後に続きました。
列車を運転するWCKDの兵士がトーマスたちに気づき、本部に応援要請を送りジェットがやってきます。
ジェットの操縦士はまずブレンダたちの乗る車を攻撃し、ホルヘは見事な運転裁きで交わしながらある場所へと誘導しました。
一方で、トーマスとヴィンスは列車の屋根に飛び乗り、後ろから5両目の連結部分を爆破して、列車本体から切り離します。
トーマスが外側から叩き声を掛けると、若者たちは歓声を上げ、トーマスの声に気づいたミンホも大声で叫びました。
「ここだ!ここにいる!」と、周りの草むらに隠れていた仲間を呼びよせ、バーナーで扉を塞いでいる頑丈な鉄を焼き切り始めます。
またブレンダたちは、行き止まりになったところで車と停止し、ジェットと向かい合うような形で手を上げて投降する素振りを見せました。
ジェットから兵士たちが降りてくると、こちらも草むらに隠れていた仲間が兵士を始末し、ジェットを奪うことにも成功しましたのです。
ブレンダたちはジェットに乗り込み、トーマスたちのいる場所に向かいますが…。
以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『メイズ・ランナー:最期の迷宮』ネタバレ・結末の記載がございます。『メイズ・ランナー:最期の迷宮』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
トーマスたちの下には、列車を奪い返そうとする兵士たちが迫っていましたが、ロープで列車をジェットに繋いで強奪。
そのまま港沿いにある、レジスタンスの基地まで運んだのです。
中には多くの若者が捕らえられており、トーマスは前回WCKDに拉致されたミンホの姿を探しましたが、彼の姿は見えません。
確かにミンホは皆と一緒にいた、しかし彼は一足先にシティにある実験施設に送られていたのでした。
ミンホ救出を最大の目的としていたトーマスは、ミンホを助けにシティに侵入すべきだと提案しますが、WCKDが若者を取り返しにくるので、基地が見つかるのも時間の問題、明日にでも安全な場所に移るべきだと難色を示します。
どうしてもミンホ救出を諦めきれないトーマスは、その日の夜中こっそり抜け出し、ひとりでシティに向かおうとしました。
すると、基地の入り口ではニュートとフライパンがトーマスを待っていたのです。
危険だからひとりで行くというトーマスに、危険だからこそ一緒に行くというふたり。
トーマスは2人の提案を受け入れ、3人でシティを目指しました。
しばらく車で走っていると、長いトンネルに差し掛かります。
真っ暗なトンネルに中には、クランクがいるであろう雰囲気が漂っていましたが、シティに行く近道はここしかないと、意を決して進みました。
正面に1体のクランクが立っており、運転していたフライパンが車を停車させます。
すると、複数のクランクが現れ、車が取り囲まれてしまったのです。
走らせろ!早く!早く!という言葉に促されるように、フライパンはアクセル全開で走りきりますが、運転を誤って転倒。
車から脱出しますが、前後からクランクの大群が襲い掛かってきます。
その時、ホルヘとブレンダの乗った車が、クランクをなぎ倒し、3人を危機一髪で救出しました。
彼らもトーマスを助けるために、後からついてきていたのです。
その頃、研究施設ではテレサ監修の元ミンホの人体実験が行われていました。
ミンホの免疫は高く、より高濃度の血液を採取するために、幻覚を見せられて恐怖におののく姿をテレサが無表情で見つめています。
仲間が苦しむ姿を見ていて辛くは無いか時枯れるとテレサは、ウイルスと共存するには実験は必要だと答えました。
一方で、トーマスたちはシティの外側にあるスラムに入ることはできましたが、入り口は不明。
ある建物の中にあるドアを見つけましたが、そこはまだ入り口ではなく、スラムの人々も入り口をずっと探しているとのことでした。
すると、一度WCKDに捕まった若者たちの首の後ろに埋め込まれている発信機がトーマスを感知。
施設内本部では、トーマスに向けて何発もの大砲が発射されました。
その混乱に紛れ、トーマスとブレンダがある集団に拉致されてしまいます。
しかし、その集団の中には1作目で死んだはずのギャリーがいたのです。
彼は現在身を置いている反乱軍のリーダーであるローレンスという男に助けらており、生き延びていました。
ギャリーはトーマスたちをローレンスに引き合わせ、シティに続く秘密の通路を教えます。
シティに侵入するのは、案内役のギャリーを含めトーマスとニュートのみ。
まずは偵察するため、3人でシティ内部に潜入することにしました。
その中でトーマスはテレサの姿を目撃し、内部にまで潜入するにはテレサの協力が必要だとトーマスに提案します。
トーマスは提案を受け入れ、テレサを拉致して交渉。テレサはトーマスの提案を受け入れ協力することにしたのです。
テレサはまず、WCKDが彼らを追跡できないようトーマスたちに埋め込まれている発信機を除去しました。
兵士が着用している衣服を着用して内部に潜入。捕らえられている若者たちをギャリーが解放し、外のバスで待機しているブレンダのところまで誘導しバスに乗せます。
一方で、テレサがミンホのいる場所までトーマスとニュートを誘導している途中、反乱軍が壁を破ってシティに入りWCKDとの銃撃戦となり、所々の建物も爆破され大混乱となっていました。
また、テレサと一緒にいるのがトーマスだと気づいたジャンソンは、トーマスを殺害するため執拗に追いかけ始めます。
そんな中、ミンホの居場所を突き止めたトーマスとニュートはミンホと再会。
しかし、ジャンソンの手は緩まず、ある一室に追い込まれてしまったトーマスたちは、窓を割って飛び降り、数十メートル下のプールに飛び込みます。
ところが、プールサイドに兵士が現れトーマスたちは囲まれてしまうのです。
諦めかけたその瞬間、ひとりの兵士が他の兵士に発砲。その兵士は、集合場所に来ていなかったトーマスたちを心配して戻ってきたギャリーでした。
その頃、ブレンダたちは兵士に見つかり追跡されている真っ只中。
十字路で囲まれ、若者たちにバスで待機するよう指示し、ブレンダは手を上げて投降する意志を見せましたがその瞬間、ブレンダの目の前にフライパンが操縦する巨大なクレーンが下りてきました。
ブレンダがバスとクレーンを繋ぎすぐさまバスに乗り込むと、バスは宙を浮くように壁の外へと運び出されます。
トーマスたちは大混乱に紛れながら、出口に向かって進もうとしますが途中でニュートが動けなくなってしまったのです。
彼はフレアに感染しており、すぐにでも血清を打たばければ危険な状態でした。
トーマスはミンホに、先ほど研究所でギャリーが奪った血清を取りに行ってくれるよう頼み、ギャリーがミンホを守り誘導しながらブレンダたちの待つジェットを目指します。
ニュートは、自分が自分でなくなる前にと、トーマスに「これを持っていてくれ!」と1本のネックレスを託します。
トーマスはニュートを抱えて建物の中に避難しますが、ニュートは時々クランクの症状があわられトーマスに襲い掛かり、再びニュートに戻るというのを繰り返すようになっていました。
そして最後、ニュートはナイフでトーマスに襲い掛かると、争いの末トーマスはニュートを刺してしまったのです。
涙に暮れるトーマスの下に、ブレンダが血清を持って走ってきましたが、すでにニュートは息絶えていました。
そこへ「トーマスの血液はウイルスを破壊することが分かった。あなたはすべての感染者を救える」というテレサの声がスピーカーから流れてきたのです。
トーマスは研究所に戻ると、中にいたWCKDの責任者であるペイジに銃を向け、自分がニュートを救えたのは本当なのかと尋ねると、ペイジはゆっくり頷きます。
その瞬間、ペイジは背後からジャンソンに撃たれて死亡したのです。
ジャンソンはトーマスにも銃を向けながら近づくと、睡眠薬でトーマスを眠らせ実験台の上に固定し、テレサがトーマスの血液を採取。
目を覚ましたトーマスは暴れるものの、両手を縛り付けられているため身動きが出来ません。
トーマスの血液で出来上がった血清をジャンソンが自分に注射しようとした瞬間、テレサがジャンソンを殴り倒し、トーマスの拘束を解きます。
しかし起き上がったジャンソンに殴られ、テレサは気を失ってしまいました。
トーマスとジャンソンの殴り合いが続いた末。トーマスはジャンソンに腹を撃たれてしまいます。
気がついたテレサはトーマスを抱え、別の実験室に逃げ込みますがすぐにジャンソンに見つかってしまいました。
最後はトーマスが力を振り絞り、実験対象だったクランクを解放してジャンソンを襲わせたのです。
反乱軍の攻撃はずっと続いており、研究所の中にも火の手が回っていたため、トーマスとテレサはビルの屋上に逃げ込みます。
それでもビルの屋上を囲む炎の勢いは止まらず、ふたりは死を覚悟しました。
その時、トーマスを探しに来ていたヴィンスや仲間たちの乗るジェットが姿を現します。
テレサは怪我をしているトーマスを乗せると、自分はこれまで仲間にしてきたことを後悔するかのように、崩れゆく建物のなかに消えていったのです。
数日後、トーマスが目を覚ましたのは、美しい海に囲まれた楽園でした。
生き残った若者たちはヴィンスを筆頭に、安住の地として海辺に家を建て始めていたのです。
そして、石牌を建てて犠牲になった仲間を弔うために名を刻みました。
『メイズ・ランナー:最後の迷宮』の感想と評価

(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
観客は冒頭シーンから騙される
映画の冒頭でトーマスたちは、ミンホが乗せられている列車を襲撃しました。
走る列車の屋根を走り、ミンホも網目から“誰か”が走る影を確認していたでしょう。
トーマスが自分を呼ぶ声も聞こえて高揚するのですが、いざ救出したものの列車の中にミンホの姿はありません。
明らかにミンホが列車に乗っていたはずなのに、なぜ彼の姿だけがなかったのかという疑問がまず浮かびます。
そしてシティの施設の中でミンホが幻覚を見せられる実験の真っ最中でした。
この瞬間、列車に乗っている自分をトーマスが助けに来たという幻覚を見せられていたんだと、観客の多くは気づいたことでしょう。
実際、研究者たちはそういう幻覚ミンホに見せ、興奮状態にすることで得られる物質を採取するのが目的だったわけです。
ミンホが列車にいると観客に思わせることで生じる疑問、それをあえてストーリーでは回収せず、観客自らが理由を探るという作り方になっていて魅力的な演出でした。
ウェス・ボール監督とは
『メイズ・ランナー:最期の迷宮』の監督を務めているウェス・ボールは、シリーズ全作の監督および製作総指揮を務めています。
VFXアーティスト、グラフィックデザイナーとして活動していたウェス・ボールの特徴は、アーティストとしての才能を最大限に生かした映画製作であることです。
関連映像:『Ruin』(2011)
そもそも、彼が本作シリーズの監督に抜擢されたのは、2011年にYouTubeにアップした短編3DCG映画『Ruin』(2011)が、業界の人々に注目されたというのが理由。
砂漠をバイクで走っている主人公が、攻撃を受けながら反撃するといった8分ほどのストーリーに見られる、ウェス・ボールの作風の特徴と言うべきスピード感や躍動感が「メイズ・ランナー」シリーズにぎっしり詰め込まれています。
まとめ

(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
本作『メイズ・ランナー:最期の迷宮』に足るまで全作を通して、このシリーズで描かれているのは、WCKDという特定の敵との戦いと、友情や絆、信頼というテーマでした。
この作品でも、キャラクターそれぞれの感情と互いの友情が描かれています。
ミンホやニュートを救いたいという友情の絆、テレサを巻き込むのを躊躇したのは彼女に対する愛という絆、危険を顧みずにトーマスを助けに来た仲間たちの絆など、随所に描かれている絆を描いた作品といっても過言ではありません。
ウェス・ボール監督の描いた様々な“絆”を、ぜひとも映画館を訪れて、臨場感あるメイズの世界観を大きなスクリーンで体感していただきたい作品です!