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Entry 2021/08/14
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映画『ドント・ブリーズ2』ネタバレ感想評価とラスト結末までのあらすじ。続編でもスティーヴン・ラングが活躍を魅せるバイオレンスアクション|SF恐怖映画という名の観覧車150

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile150

ヒーロー映画での「ヴィランとの共闘」はファンにとって嬉しい展開であり、映画としても要注目の熱いシーンであると言えます。

ヴィランにもそれぞれの思想や考えがあり、結果的に「善」に繋がる行動を「悪」側の人間が取ることが興奮を呼び起こす要因の1つになっています。

今回は前作で主人公たちを絶望に陥れた盲目の老人が少女を救うために奮闘する映画『ドント・ブリーズ2』(2021)を、ネタバレあらすじを含めその真相についてご紹介させていただきます。

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映画『ドント・ブリーズ2』の作品情報


(C)2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

【原題】
Don’t Breathe 2

【日本公開】
2021年(アメリカ映画)

【プロデューサー】
サム・ライミ

【監督】
ロド・サヤゲス

【脚本】
フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス

【キャスト】
スティーヴン・ラング、マデリン・グレイス、アダム・ヤング、ボビー・スコフィールド

【作品概要】
2016年に全世界で話題となった映画『ドント・ブリーズ』(2016)の8年後を描いたスリラー映画。

盲目の老人ノーマンを前作から引き続きスティーヴン・ラングが演じ、前作で脚本を担当したロド・サヤゲスが監督を務めました。


映画『ドント・ブリーズ2』のあらすじとネタバレ


(C)2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

燃え盛る家の中から1人の少女が命からがら抜け出し、道の半ばで倒れます。

8年後、火事から生き残った少女フェニックスは盲目かつ退役軍人の父親ノーマンと愛犬のシャドーと共に過ごしていました。

巷では臓器密売組織による誘拐が相次いでおり、妻と姉妹を失いこれ以上家族との別れを経験したくないと願うノーマンは、フェニックスを学校にも行かせず行動を過剰に制限します。

ある日、家に必要な物資を届けてくれる退役軍人のヘルナンデスに同行し街へ行くことを許可されたフェニックスは、ノーマンに内緒で火事により焼け落ちた家へと向かいます。

廃墟となった家の中で何者かの気配を感じ不気味に思ったフェニックスはその場を離れますが、その後公園のトイレで不審な男に絡まれます。

シャドーが同行していたことで難を逃れ、ヘルナンデスの車で自宅へと戻ったフェニックスはノーマンに「学校に行き友達を作りたい」と懇願しますが無駄に終わりました。

その日の夜、ノーマンの家からの帰り道で、ヘルナンデスは1台のトラックに道を阻まれます。

トラックにはトイレでフェニックスに絡んだ不審な男レイランを含んだ複数の男が乗っており、ヘルナンデスが退役軍人であることを見抜いたレイランは自身達も退役軍人であることを話します。

レイランたちをヘルナンデスは不審に感じますが、自身の車の中に隠れ潜んでいたレイランの仲間によって殺害されてしまいました。

その後レイランたちはシャドーを森におびき寄せ殺害すると、シャドーを探すノーマンが家から出て行った隙に家へと侵入。侵入者の存在に気づいたフェニックスは家から逃げようとしますが、レイランたち誘拐団の1人に捕まってしまいます。

一方、森の中でシャドーの死体を発見し悲しみに暮れるノーマンは、シャドーが何者かに射殺されたことを手探りで知ると家へと戻ります。そしてフェニックスを捕まえる男を攻撃し、彼女を地下室へと逃がします。

地下室内のフェニックスを捕まえようとする誘拐団の1人を殺害したノーマン。フェニックスと温室へと逃げますが、そこにレイランが現れます。

「ノーマンの秘密を知っている」と語り始めるレイラン。激高したノーマンは強盗団へと掴みかかりますが、逆に拘束されてしまいます。

レイランは8年前に麻薬の製造工場だった自宅が火事になり、放火の罪を着せられ投獄されていたことを明かした上で、自分こそが真の父親であるとフェニックスに告げます。

そしてノーマンは行き倒れていたフェニックスをさらい「自身の娘」として育てていた異常者だと吐き捨てると、レイランは部下にノーマンを殺害させようとしますが逃げられてしまいます。

ノーマンは誘拐団の1人を殺害しフェニックスを回収しますが、レイランがノーマンの服を嗅がせた誘拐団の幹部ラウルの犬を放ったことでフェニックスを見失いました。

ノーマンもレイランも信じることのできないフェニックスは、2階からひとり家を抜け出しますがラウルに捕らえられてしまいます。

一方、ラウルの犬を拘束したノーマンは犬を射殺しようとしますが、シャドーのことを思い出したノーマンはそれをためらい、その場に放置します。

フェニックスを回収したレイランはノーマンの家に火を付け、誘拐団と共にその場から退散。

火事となったことを知ったノーマンは、拘束したままにしていたラウルの犬を解放。自身も命からがら家から抜け出しますが、家もフェニックスも失ったことに絶望します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ドント・ブリーズ2』のネタバレ・結末の記載がございます。『ドント・ブリーズ2』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

レイランたちがアジトとする廃墟のホテルで目を覚ましたフェニックス。そこで自身の本名がタラであることや、姉妹など存在しないことを知ります。

さらにフェニックスは火事で死んだとされていた母親のジョセフィンと再会し、望んでいた家族のつかの間の団欒を味わいます。

しかし、ジョセフィンは火事の後遺症により心臓が侵され、自身は余命いくばくもないことをフェニックスに告げると彼女を睡眠薬で昏睡させます。

実はレイランとジョセフィンは、フェニックスの心臓をジョセフィンに移植するために彼女を探していたのです。

ラウルは自身の犬がノーマンの家にいることを知りながら火事に巻き込んだことや、自身の娘を殺害しようとするレイランのやり方に不満を抱えていましたが、ジョセフィンが麻薬の精製を行える唯一の人間であることから強くは言えませんでした。

一方でヘルナンデスの死を確認したノーマンは、火事から救ったことで懐かれたラウルの犬にアジトへ帰るように促し、レイランの潜伏先へと迫っていました。

フェニックスの心臓を取り出す手術が始まり、金で雇われた医師は電動ノコギリを起動しますが、フェニックスの肌に当てる前にホテル全体が停電してしまいます。

レイランの命令により、ブレーカーを見に行く部下。しかしそこで、既にホテルへ侵入していたノーマンによって殺害されます。

部下の悲鳴を聞いたレイランは、ノーマンの生存を悟るとラウルたちに殺害を命令。ジョセフィンとフェニックスを別の場所へと移動させようとします。

部下全員を殺害されながらもラウルはノーマンを追い詰めますが、自身の娘の心臓を抜き出そうとするレイランを許せないラウルはノーマンを殺害せず、彼にレイランたちの場所を伝えました。

部下の全滅を悟ったレイランはノーマンを待ち構えますが、ノーマンが殺虫剤を蔓延させたことで視界を閉ざされ、闇雲に撃った銃弾がジョセフィンに当たり誤って殺害してしまいます。

レイランを捉えたノーマンは彼に「俺の見えてる世界を見せてやる」と言うと両目を潰しました。

ノーマンに救われたフェニックスは彼に近寄ろうとしますが、ノーマンはそれを拒絶。自身がこれまでに多くの人を殺害しただけでなく、レイプまでも行った過去を持つ「怪物」であると告白すると、フェニックスに「二度と目の前に現れるな」と告げます。

フェニックスが去りその場に崩れ落ちるノーマンを、視界を失ったレイランはナイフで刺します。そして首を切って殺害しようとしますが、戻ってきたフェニックスに刺されたことでレイランは絶命しました。

フェニックスはノーマンの傷口を抑え「必ず救ってみせる」と言いますが、ノーマンは「もう充分救ってくれた」と彼女に告げて息を引き取ります。

ノーマンの死を見届けたフェニックスはホテルから出ると、ノーマンに通いたいと相談していた孤児院へとたどり着きました。

生徒たちに名前を聞かれたフェニックスは自身の本名である「タラ」とは名乗らずに、ノーマンの名付けてくれた「フェニックス」と名乗ります。

ホテルの中で横たわるノーマン。彼が火事から救ったラウルの犬はノーマンに近寄って、彼の手を舐めていました。

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映画『ドント・ブリーズ2』の感想と評価


(C)2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

悪と悪がぶつかり合うバイオレンスアクション

前作『ドント・ブリーズ』では盗みを働く少年少女が金銭目的でノーマンの家へと押し入り、彼の常軌を逸した戦闘能力に一人一人惨殺されていく様子が描かれ、「恐怖映画」としての側面が強い作品でした。

しかし、2作目となる『ドント・ブリーズ2』でノーマンと対峙するのは退役軍人で結成されたギャング組織であり、盲目というハンディキャップを除いても、老齢であるノーマンは体力という面で大きな劣勢に立たされることになります。

目的のためなら人を殺害することを躊躇わないノーマンとギャングが己の能力をフルに活かし一進一退の攻防を繰り広げる本作。

強すぎる盲目老人が戦闘のプロフェッショナルの集団とぶつかったらどうなるのか、と言う前作ファンの心をガッチリと掴む続編映画でした。

家族を求める「怪物」の物語


(C)2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

前作で描かれた通り、盲目の老人ノーマンは妻と妻のお腹の中にいた娘を理不尽に失ったトラウマから「家族」を奪おうとする人間を容赦なく惨殺。

さらにノーマンは家族を奪った女性を監禁し、失った娘の代わりとなる子供を産ませようとする狂気に取り憑かれている様子も描かれており「ヴィラン」としての位置を確立します。

ですが、ヴィランとして描かれるノーマンの行動は失った「家族」を求める一心からであり、無意味に人を傷つける純粋悪とは異なるものでした。

そんなノーマンが「娘」のフェニックスと暮らす本作では、「家族」を再び手にした彼の本性が見えることになります。

鑑賞者の善悪の判断が大きく揺さぶられる本作は、「家族」の真の意味を問う良質なメッセージが込められた作品でした。

まとめ


(C)2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

前作に比べホラー要素は抑え目になりつつも、「暗闇」と「息遣い」の扱いは本作でも健在。

アクションが大幅に進化し、盲目の退役軍人ノーマンによる虐殺は見ごたえ抜群となっています。

自身の呼吸すら我慢してしまうような緊迫感たっぷりの映画『ドント・ブリーズ2』をぜひ劇場でご覧になってください。



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