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Entry 2018/03/11
Update

『シェイプ・オブ・ウォーター』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 馬渕一平

第90回アカデミー賞(作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞)最多4部門受賞!!

ギレルモ・デル・トロ監督が映し出すファンタジーロマンス。

3月1日(木)より公開中の『シェイプ・オブ・ウォーター』をご紹介します。

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1.『シェイプ・オブ・ウォーター』の作品情報


(C)2017 Twentieth Century Fox

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
The Shape of Water

【監督・製作・原案・脚本】
ギレルモ・デル・トロ

【キャスト】
サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタビア・スペンサー、デビッド・ヒューレット、ニック・サーシー、ナイジェル・ベネット、ローレン・リー・スミス、マーティン・ローチ、モーガン・ケリー

【作品概要】
ベネチア国際映画祭2017 金獅子賞(最優秀作品賞)、ゴールデン・グローブ監督賞&作曲賞受賞!

第90回アカデミー賞(作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞)最多4部門受賞!!

『パンズ・ラビリンス』(2007)のギレルモ・デル・トロ監督が描く究極のファンタジー・ロマンス。

アカデミー賞を受賞した話題作がいよいよ日本公開!

2.『シェイプ・オブ・ウォーター』あらすじとネタバレ


(C)2017 Twentieth Century Fox

1962年、アメリカとソ連が対立していた冷戦時代。

イライザは一人で安アパートに暮らす中年女性。

隣人であり親友のジャイルズも独り身、パイ屋の男に想いを寄せながら日がな一日画家として絵を描いています。

イライザは幼い時に声帯に傷を負い、今もその傷痕は首筋にハッキリと残っていました。

彼女が深夜から朝にかけて働いている職場は、アメリカ政府の機密機関「航空宇宙研究センター」。

そこにはゼルダという仲良しの黒人の同僚がいます。彼女は声の出せないイライザの分まで喋るかのように、いつも夫の話ばかりをしています。

ある日、職場にアマゾンから極秘の生き物が運ばれてきました。警備として元軍人の大柄で横柄で差別的な男、ストリックランドもやって来ます。

堅く閉ざされた扉の向こうにいる生き物が気になるイライザ。


(C)2017 Twentieth Century Fox

するとストリックランドが負傷をしたことで、イライザとゼルダはその生き物がいる部屋の清掃を任されました。

血の海が床一面に広がる中、イライザはストリックランドの左手の薬指と小指、そして結婚指輪を発見。

ストリックランドの指を食いちぎったのはアマゾンから無理やり連れて来られた半魚人の彼でした。

イライザは、彼を一目見た時から今までに感じたことのないものを感じていました。

それからイライザはこっそりと彼のいる部屋に忍び込み、秘密の交流を重ねます。


(C)2017 Twentieth Century Fox

好物のゆで卵を一緒に食べたり、レコードで好きな曲を聴いたり、手話を教えたり、彼の前でダンスを披露したり。

輝きを失っていたイライザの毎日が色付き出します。

しかし、彼の研究を行っていたホフステトラー博士の結果に満足がいかないホイト元帥は、彼の解剖実験を行うことを推し進めます。

そのことを柱の陰に隠れて聞いていたイライザは動揺し、すぐにでも行動を移さないと彼が殺されてしまうと焦っていました。

ホフステトラーはホフステトラーで焦っています。彼はソ連の二重スパイで、情報をソ連側の同士に流していました。

ソ連側もアメリカに情報を渡すくらいならと、ホフステトラーに彼を抹殺するよう指示を出しました。

ホフステトラーはイライザが彼と心を通わせる現場を目撃しており、彼女が彼を助け出そうとしていることにも気付いています。


(C)2017 Twentieth Century Fox

イライザはジャイルズに一緒に彼を助けてくれと訴えますが、ジャイルズは聞く耳を持ちません。

しかし、ジャイルズは職に復帰しようとしても上手くいかず、想いを寄せていた男も差別を平気で行う最低の心の持ち主であることがわかってしまいました。

何が大切なのか気付いたジャイルズはイライザを助けることにします。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シェイプ・オブ・ウォーター』ネタバレ・結末の記載がございます。『シェイプ・オブ・ウォーター』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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作戦決行当日。イライザはカメラの角度を変え、部屋に忍び込みます。

ホフステトラーはイライザを手伝い、彼を逃がしてくれと彼女に頼みました。

車担当のジャイルズは自分で描いた偽造免許を警備員に見せていましたが、そのボロがバレて捕まりそうに。

そこにホフステトラーがやって来て、後ろから毒入りの注射を警備員に突き射して殺しました。

イライザは彼を洗濯物を入れるケースの中に隠して運び出します。

出口の近くに彼女を心配したゼルダが立っていました。

彼女が何をしているのかゼルダはすぐにわかり、止めようとしますがイライザの気持ちは変わりません。

異変に気付いたストリックランドでしたが時すでに遅く、ジャイルズが運転する車に彼を乗せ、イライザたちは逃げ出しました。

イライザは自宅の浴槽で彼を匿い、雨が降った日に彼を海へと逃がす予定でした。

警備をしくじったストリックランドはホイト元帥から失望され、職を失うことは避けられません。

一方のホフステトラーもソ連から命を狙われることは覚悟しています。

一緒の部屋に住み始めたことでイライザと彼の距離は縮まっていきます。身体の関係を持つようにもなりました。

ある日、ジャイルズがうたた寝をしている間に飼っていた猫の一匹が彼によって食べられてしまう事件が起こります。

映画の力によって落ち着きを取り戻した彼は、怪我をさせたジャイルズに謝罪の想いを伝え、傷跡と毛の抜けた頭皮に手を置きました。

翌日、ジャイルズの傷は綺麗さっぱり治り、頭皮からは髪の毛が生えてきています。

彼には人智を超えた不思議な力があるようでした。


(C)2017 Twentieth Century Fox

犯人を躍起になって捜すストリックランドですが、その一方でイライザに惹かれていく自分に戸惑っていました。

ストリックランドはホフステトラーの正体を怪しみ、彼のことを尾行します。

ホフステトラーはソ連の同士といつもの場所で待ち合わせていましたが、彼はいきなり銃撃を受け、瀕死の傷を負います。

そこにストリックランドがやってきてホフステトラーを襲った奴らを始末すると、ホフステトラーに拷問を始めます。

痛みに耐えきれずホフステトラーはゼルダのことを話してしまいました。ストリックランドはホフステトラーも抹殺します。

ゼルダの家にやってきたストリックランドは彼女を脅します。

腐敗した薬指と小指を引きちぎり床に叩きつけると、知っていることを話せと迫りました。

ゼルダは黙っていましたが、そこにいた夫がイライザについて漏らしてしまいます。

それを聞いたストリックランドはすぐにイライザの家に向かいました。

ゼルダから、すぐに逃げてと連絡を受けたイライザは彼を逃がすためにジャイルズと共に橋に向かいます。

イライザの家に着いたストリックランドはカレンダーに橋とメモしてあるのに気付き、橋へと急ぎます。

彼との最後の別れを惜しんでいる時に、ストリックランドがやってきました。

ストリックランドは、ジャイルズを殴り倒し、銃で彼とイライザを撃ちます。

彼とイライザは共に倒れ込み、とどめさそうとしたところでジャイルズがストリックランドを殴り返しました。

彼は不思議な力によって傷を治すと、ストリックランドの前に立ちはだかります。

そして、ストリックランドの喉を切り裂きました。

彼は死にかけているイライザを抱きかかえるとそのまま海に飛び込みます。

警察と共に駆けつけたゼルダと残されたジャイルズは水の表面を眺めることしかできません。

出血しているイライザに彼が口づけをします。

すると銃の傷は塞がり、彼女の首についていた傷痕は水中での呼吸を可能にするエラへと変貌を遂げました。

息を吹き返したイライザと彼は誰からも邪魔されることなく二人で暮らしていきます。

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3.『シェイプ・オブ・ウォーター』の感想と評価


(C)2017 Twentieth Century Fox

デル・トロ監督が“The Others”と表現する彼らは時代や国が無理やり提示してくる正しさという尺度から外れ、声を上げることすらも奪われた人たちです。

本作においてそれは声の出せない障害を持つ独身の中年女性イライザ、ゲイであり定職に就いていない画家ジャイルズ、肌の色と性別で二重の差別を受けているゼルダ、国からの圧力によって本当にやりたいことを実現できないホフステトラー、そして故郷から無理やり連れてこられた半魚人の彼など様々です。

一方の悪役にあたるストリックランドは、ブロンドの美人な奥さんと子ども二人がマイホームで帰りを待ち、キャデラックの新車に乗りながら不自由ない暮らしを続けているアメリカの理想的な家族像(ジャイルズが注文されていた絵)を象徴しています。

『シェイプ・オブ・ウォーター』を直訳すると水の形。それはつまりこういう形でなければならない、こうじゃないといけないという決まりは本来ないということです。

雨、お風呂の水、コップの水、走るバスの窓を流れる水滴や天井から漏れる雨漏りのように、愛の形も様々に存在するのが当たり前。

本作は、今もなお根強く激しく差別や分断が続く現代に向けて語られたデル・トロ監督流のおとぎばなしです。

得意とするダークかつファンタジックな絵作りはオープニング・シークエンスから圧巻。水でいっぱいになっているイライザの部屋の中から始まる幻想的な導入によって、いきなり観客をおとぎばなしの世界の中に入り込ませることに成功しています。


(C)2017 Twentieth Century Fox

強固で残酷な現実を前に、市井の人々は映画や音楽や食事やお喋りや恋で、自分の世界を色付けていきます。愛を知ったイライザの衣装も情熱の赤に華やぎます。

デル・トロ監督の音楽と映画に対する深い愛が画面のそこかしこから溢れ出しているので、その両方に救われたことのある方は多幸感に包まれること間違いなしです。

ある場面で逃げ出した半魚人の彼が思わず立ち止まるのも映画館の巨大なスクリーンの前。それこそが映画の力です。

そして、本作では悪役となるストリックランドにも象徴的なシーンがいくつかあります。

イライザと半魚人の彼による愛に溢れた美しい行為とストリックランドの奥さんに対する乱暴なやり方を対比するシーン。

手話を巡ってもストリックランドはホフステトラーと対比されていました。

結婚指輪をはめていた左手の薬指(奥さん)と小指(子ども)が腐っていくのを車の中で見つめるシーン。

グリーンではなくティールというキャデラックの色の名称にこだわり、アメリカの理想を体現していたはずのストリックランドは、絶世の美女ではないイライザに心惹かれていきます。最後にはその指を引きちぎり、愛する女性が憎き相手と逃げようとするのを死に物狂いで阻止しにいく。


(C)2017 Twentieth Century Fox

イライザと半魚人の彼の美しい愛の物語の裏側で、愛に敗れた男の壮絶な復讐劇が語られていました。

ストリックランドが目を覚ました時、自分のこれからを悟りどのように生きていくのか。最低最悪の男でも彼には彼なりの人生があり、そこにも非常に興味深いものがありました。

本作が伝えるメッセージはとてもシンプルで力強く美しい。

誰かとの関係性において醜く欠点になるようなことでも、他のある人にとってみればそれこそが通じ合うための重要な接点になる。

人間は十人十色であるからこそその姿形は様々。つまりその関係性も同様に色々あるのが普通で、誰かにこうじゃなきゃダメだなんて口を挟む、ましてやその生活や愛を取り上げる権利などありません。

デル・トロ監督はその綺麗な青い眼で厳しい現実を見つめながら、でもそこにロマンチックな空想の余韻を必ず残してくれます。

彼が世界から愛される理由は、物語を語ることの素晴らしさを信じて疑わない純粋なロマンチストだからだと思います。

まとめ


(C)2017 Twentieth Century Fox

ここ最近、メキシコ出身の天才監督たちが次々とアカデミー賞の監督賞を受賞しています。

アルフォンソ・キュアロン(2013年受賞)、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(2014・2015年受賞)、そしてギレルモ・デル・トロ(2017年受賞)。

この3人はメキシコで「チャチャチャ・フィルム」という映画製作会社を共同で立ち上げた盟友です。

そして今回の長編アニメーション賞を受賞したのは『リメンバー・ミー』というメキシコ人キャストが多く出演するメキシコを舞台にした作品。

国と国との分断は良いことを一つも生み出しません。

才能豊かな人々が国や人種や性別関係なく集まったからこそ本作『シェイプ・オブ・ウォーター』のように素晴らしい作品が作りだされるのです。

1年監督業を休業してまで本作に懸けたデル・トロ監督の想いを今劇場のスクリーンでぜひご覧ください。

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