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Entry 2018/04/08
Update

映画『娼年(しょうねん)』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【松坂桃李主演作品】

  • Writer :
  • 馬渕一平

舞台版のコンビ、監督・三浦大輔と主演・松坂桃李が再び!

過激な性描写と濃厚な人間ドラマが映し出される、R18指定の話題作。

4月6日(金)よりTOHOシネマズ他全国公開中の『娼年』をご紹介します。

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映画『娼年』の作品情報


(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

【公開】
2018年(日本映画)

【脚本・監督】
三浦大輔

【キャスト】
松坂桃李、真飛聖、冨手麻妙、猪塚健太、桜井ユキ、小柳友、馬渕英里何、荻野友里、佐々木心音、大谷麻衣、階戸瑠李、西岡徳馬、江波杏子

【作品概要】
石田衣良の小説『娼年』を、2015年に上演した舞台版が反響を呼んだ話題作。

舞台版のコンビ、監督・三浦大輔と主演・松坂桃李が映画版で再び手を組みました。

会員制ボーイズクラブを舞台に描かれる本作は、刺激的かつ濃厚なドラマを堪能できること間違いなし。

映画『娼年』のあらすじとネタバレ


(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

大学にもロクに行かず、バーテンダーのアルバイトをしながら日々をつまらなそうに生きている領。

領がいつものようにバイト先のバーで働いていると、幼馴染で現在はホストをやっている進也がある女性を連れてやって来ました。

その女性は静香と名乗り、しばらくして進也と共に店を出て行きました。

グラスを片付けをしようとした時、領は名刺がコースターの下に挟まっていることに気が付きます。

その名刺の裏には静香から「閉店の時間に店の前で待ってる」とメッセージが添えられていました。

閉店後、静香から女性向けの会員制ボーイズクラブの経営を行なっていると打ち明けられ、そのまま彼女の車に乗って家に向かいます。

バーの中で領が「女なんてつまんないよ」と呟いた言葉が静香には引っかかっていたため、本当にそうなのかセックスで証明して欲しいとある女性を呼びました。

生まれつき耳が不自由な咲良というその若い女性が領のセックスの相手になります。

静香に見られながら、領は咲良とのセックスを行ないました。

自分本意の領のやり方は静香には評価されず、ボーイズクラブへの入店試験は不合格かと思われましたが、相手をした咲良の助けによってギリギリで合格。

毎日退屈していた領はなんとなく流れで入店することになりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『娼年』ネタバレ・結末の記載がございます。『娼年』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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最初のお客となったクラブの常連ヒロミを相手になんとか成功を収めると、領の中で充実感に近いものが確かに芽生え始めてきます。

その後は、キャリアウーマンのイツキ、セックスレスの主婦、特殊な趣向を持った泉川夫婦、未亡人の老女と次々にお客たちの欲望を引き出し、それを解消させることに成功。

領はあっという間にナンバーワンを争う程の売れっ子になっていきました。

領はクラブのナンバーワンである東とも関係を持ち、さらに夜の世界へと足を踏み込んでいきます。

大学にほとんど来ない領をいつも心配してくれていた女友達の恵にもクラブの仕事がバレてしまい、昼の世界との繋がりが完全になくなるところまで領は来ていました。

静香は活躍する領の願いを何でも一つ叶えてあげると提案します。

それを真に受けた領は自分と付き合って欲しいと静香に迫りました。

10歳の時に病気で母を亡くした領は、心に傷を負い、年上の女性への愛情を求め続けてきました。

拒否する静香に無理やり迫る領ですが、ついに彼女にビンタをされて我に返ります。

しかし、諦めきれない領は、静香にもう一度咲良を相手に試験を受けさせて欲しいと言いました。

仕事が終わった後に試験を行なうことになった領は客の待つホテルへと向かいます。

部屋の扉を開けるとそこにいたのは、あの恵でした。

領への好意を持ち続けていた恵はお金で領を買い、セックスを迫ります。

動揺する領でしたが、彼女の気持ちを組み全力で挑みました。

行為を終えた恵はもう戻れないことを悟り泣いていますが、領はまたバーにいつでも来て欲しいと伝え、その場を離れます。

迎えに来た車の中で静香は、昔娼婦をやっていたこと、咲良は自分の娘で店を手伝っていること、そして自らがエイズに感染していることを明かしました。

気持ちはありながらも領の頼みを断った静香の想いを知り、領は試験に臨みます。

領の相手は咲良でしたが、身体を超えて領と静香の心は繋がります。

その後、ボーイズクラブは摘発され営業停止に、そして静香は逮捕されました。

静香が送ってきた手紙の中に、病死した領の母親は娼婦をやっていたと書かれていました。

自らの生き方を見つけた領は、咲良と共にボーイズクラブを再開。

そこには「女なんてつまんないよ」と言っていた頃の面影はなく、一人前の男として女性と接する領の成長した姿があります。

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映画『娼年』の感想と評価


(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

物語は、母親の喪失を幼い頃に経験し心の傷を抱えて生きてきた少年(娼年)が何人もの女性たちと触れ合うことで、一人前の男に進化していく成長譚

劇中のかなりの部分を濡れ場が占めるR18指定作品ではありますが、勘違いしていただきたくないのはいずれもそこがエロティックさを強調したものにはなっていないということです。

三浦監督が全てコンテを描いて完璧にコントロールして撮影した数々のセックスシーン。

乱行クラブが舞台となる過去作の『愛の渦』では会話劇によって欲望をさらけ出す人間の滑稽さを見事に描き出していましたが、本作ではセックスの肉体によるコミュニケーションという部分をより強調。

適度なリアリティを保ちながら、そこからはやはり生々しさよりも人と人の繋がりによって生まれる愛しさや優しさが垣間見られます。

突然ですが、ここで筆者オススメの濡れ場シーンベスト3を発表。

第3位はイツキとのシーン。

売れっ子俳優の口からこんなセリフが飛び出すとはという驚きの一場面。

人間の滑稽さと愛おしさを同時にしっかりと映し出していて、且つ領の器の大きさに感服する素晴らしいシーンでした。

第2位はラストの試験のシーン。

相手を思いやることができるようになった領の今までの想いが詰まっているシーンで、三浦監督の演出にも相当力が入っていたように思います。

ここでは舞台的なライティングを効果的に用いてより抽象度を高め、他人の身体を介して繋がるという究極のセックスシーンをリアルさを排し神々しく描き切っています。

第1位は恵との切なすぎるホテルのシーン。

個人的にはここで完全にやられてしまいました。

恵は領にとって唯一昼の世界との繋がりを保ってくれていた大切な存在。

しかし、恵が自らこちら側に足を踏み入れることでそのバランスは完全に崩れ、もう二度と戻ることは出来なくなってしまいます。

領はそれをわかっていながらあえて様々な体位を用いるなどしてテクニックを駆使。

行為の後に泣き崩れる恵に対して領は、これからも前と変わらずタダ(お金を介さない関係)で君にお酒を提供するよと伝えます。

これはお金を介して領と関係を持ってしまった恵への領なりの優しさ、変わらず友達の関係でいようというメッセージ。

やっと初めて繋がれたのに、決定的に離れ離れになってしまうなんとも切ない名シーンでした。

この他にも、泉川夫婦のくだりは完全にコメディシーンとして演出されていて非常に可笑しいですし、まさかの男色シーンも出てきます。

役者みなさん素晴らしいのですが、やはり舞台に続き主演を務めた松坂桃李が圧巻のパフォーマンスを披露していました。

色気と影を併せ持つ領の死んでいた目が輝き出し、それと共に肉体も引き締まっていく姿を見事に体現。

5月は『狐狼の血』、6月からは主演舞台『マクガワン・トリロジー』と2018年は本当に彼から目の離せない年になりそうです。

女性それぞれがオリジナルと伝えるこの映画は女性の欲望を、生き方を強く肯定してくれる素晴らしい作品でした。

R18に気後れすることなく劇場に足を運んだ先には必ず高い満足感が待っていますので、ぜひご覧になってみてください。

まとめ


(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

母親とそういうことをするのはアメリカのスラングだと悪口になりますが、本作においてはそれが成長の証。

映画においてよく用いられるイニシエーション(通過儀礼)、ある種の親殺しになっていることが面白いですね。

マザコン男がレベルアップしていって、最後にラスボス(擬似的な母親)を倒すような、そんな面白さが詰まったとても楽しい娯楽作品でした。

そして、あれだけ濡れ場がありながら、驚くことにほとんどいやらしさを感じません。

三浦監督の手腕、そしてそれを成し遂げた女優陣と松坂桃李の素晴らしい演技。

イザベル・ユペールが主演を務めた昨年の話題作『ELLE エル』のラストの爽やかさに近いような、女性を肯定する物語

だからこそ、なかなか足を運びにくいお話の内容ではありますが、ぜひとも女性の方にこそ観ていただきたい作品です。

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