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Entry 2019/06/08
Update

『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』あらすじネタバレと感想。ハプニングだらけの世界旅行で見えたものは

  • Writer :
  • 増田健

世界30か国で販売された小説、「IKEAのタンスに閉じこめられたサドゥーの奇想天外な旅」。この人気作が国際色豊かなキャストで映画化されました。

こうして誕生した作品が、『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』です。

クローゼットに始まる様々な移動手段で、世界を旅する主人公・アジャの姿を通して人生を、世界を描いたハッピーな物語が幕を開けます。

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映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』の作品情報


(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

【日本公開】
2019年(フランス・ベルギー・インド合作映画)

【原題】
The Extraordinary Journey of the Fakir

【監督・脚本】
ケン・スコット

【キャスト】
ダヌーシュ、ベレニス・ベジョ、エリン・モリアーティ、バーカッド・アブディ、ジェラール・ジュニョ、ベン・ミラー

【作品概要】
インドで大道芸をして暮らしていた青年アジャ。一大決心をして憧れの街パリにやってきた彼は、ひょんな事からクローゼットに閉じ込められ、世界を旅する事になります。

パリ・ロンドン・スペイン・ローマ・リビアと、国境を越えて次々変わるロケ地に、15ヵ国の俳優が集結した豪華キャスト。とびきりハッピーなロードムービーが誕生しました。

映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』のあらすじとネタバレ


(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

インドの都市、ムンバイの警察署に、3人の不良少年が捕えられます。このままでは4年間少年院に収監される彼らの前に、アジャ(ダヌーシュ)が現れます。

これからたっぷり時間をもてあます少年たちに、自らの体験したという物語を聞かせるアジャ。

ムンバイの貧民街に生まれたアジャ。彼は母と2人、そして家の前に守り神のよういる、牛のモヒニと共に暮らしていました。幼い彼にとって、周囲の狭い世界だけが全てでした。

体が小さく弱いアジャに、いつかパリに行くなら体が強くならないと、と働き者の母は口癖の様に言って、しっかり食べるよう注意していました。

父親はいない、と常に語っていた母。そして男の人を見るとあの人がパパかと、繰り返し母に尋ね困らせていたアジャ。

小学校に通い始めたアジャは、広い世界を知ると同時に、自分は貧しいと実感します。自分の境遇に不満を覚えた彼は、ある日通っていた病院で運命的な出会いをします。

それは雑誌に載っていた家具の写真でした。様々なブランドの、シリーズ化された美しい家具に魅かれた彼は、いつか自分が家具のデザイナーになる日を夢見ていました。

やがてアジャは2つの事を悟ります。1つは自分が貧乏である事。もう1つは、自分は貧乏から逃れたい事。芸を見せて稼ぐ男を見かけたアジャは、いとこと共に大道芸で金を稼ぐ事を覚えます。

空中浮遊にイリュージュン、心霊手術。様々な芸を身に付け、金を稼ぎながら成長するアジャたち。しかし手品の技はスリにも生かされ、犯罪まがいの行為までして稼ぐ様になったアジャ。

それでもアジャは金を貯め、母と共にパリに行く夢は諦めていません。しかしその夢がかなう前に、母の心臓は止まってしまいます。

母の遺品を整理していたアジャは、父が母に宛てた何百ものラブレターを目にします。父は大道芸人のフランス人で、母に愛情のこもったラブレターを送っていました。

母との結婚を約束していた父は、母にパリに来るよう願っていました。毎週日曜エッフェル塔で母を待つ、と書いた父。もし自分がいなければ、この手紙を紙飛行機にして飛ばせば、魔法の様に2人を引き合わせてくれるだろう、とラブレターに記されています。

アジャは何としてもパリに行く事を決意します。地元の裏社会を仕切る男ギリから金を借り、何とかパリに行く算段をつけたアジャ。しかしギリに目を付けられ、金を奪われます。

手元に残ったのは、パスポートと航空券、そして1枚の100ユーロの偽札のみ。それでも母の遺灰と彼女の残した新聞の切り抜きと共に、意気揚々とパリへ出発するアジャ。

こうしてパリに到着したアジャを、白タクの運転手グスタフ(ジェラール・ジュニョ)が車に乗せ案内します。グスタフは観光客相手にぼったくりを働いている、とアジャは見抜きますが、彼の話術に魅せられ悪い気はしません。

グスタフに100ユーロ札を渡したと見せかけ、巧みな手業で取り戻したアジャ。彼はパリで一番のお気に入りの場所である家具店に現れます。

夢にまでみたデザイナー家具が並ぶ店内で、アジャは1人の女性に気付きます。その女性マリー(エリン・モリアーティ)に一目惚れしたアジャ。

警察署で彼の話に夢中になった不良少年たちに、アジャは特殊な磁場の影響で、パリの恋は他の場所の10倍燃え上がるのだと説明します。

アジャは家具を試すふりをしてマリーに声をかけます。最初は不審に感じたマリーも、彼に魅かれ始めます。アジャは彼女にインドの魅力を語り、アメリカからパリに移り住んだマリーは、自分の境遇を話します。

明日の夜7時に、エッフェル塔で再会しようと約束する2人。アジャは再会の約束の証として、マリーに新聞の切り抜きを渡し、代わりに彼女のペンを預かります。

この出会いにアジャは、遂に自分に運が向いてきたのだと確信します。しかし宿泊する場所はありません。そこで家具店の中で、一晩過ごすと決めたアジャ。

母の遺灰を家具店の壺に入れ、クローゼットの中に潜んだアジャは、安心したのかすぐ寝込んでしまいます。ところがアジャの隠れたクローゼットが、よりにもよって配送用に選ばれ、運び出されてしまいます。

トラックに乗せられ輸送されるクローゼット。周りの気配に気づき目覚めたアジャは、クローゼットから外に出ます。そこはトレーラーの中で、周囲にはフランスからイギリスを目指す、ソマリア難民の密航者がいました。

難民のリーダー格の男、ウィラージ(バーカッド・アブディ)に自分は難民ではなく、観光客だと説明するアジャ。彼はウィラージからソマリアからの、苦難に満ちた旅路を聞かされます。

突然トラックが停止します。イギリスの検問に遭遇したと悟ったアジャと難民は、トレーラーから出て逃げ出します。しかし彼らをイギリスの警官たちが追ってきます。

パリから思わぬ形でロンドンに到着したアジャ。こうして彼の奇想天外な旅が始まります。果たしてアジャは、マリーと再会出来るのでしょうか。

以下、『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』ネタバレ・結末の記載がございます。『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

イギリスの警官に追われたアジャは、ソマリアの難民を逃がす為に手品の技で注意を引きつけますが、彼は捕えられてしまいます。

警察に連行されたアジャは、自分は観光客でパリに帰りたいと訴えますが、不法移民担当のスミス(ベン・ミラー)にパスポートは偽造と指摘され、偽100ユーロ札と共に処分されます。

こうして不法移民の1人として取り扱われたアジャは、彼らをどうにか国外に送り出したいスミスの企てで、強引にバルセロナ行きの飛行機に乗せられ、スペインに到着します。

スペインの入国管理官はスミスの扱いに怒ります。結局不法移民たちはスペインに入国できず、やむなくバルセロナの空港内で暮らし始めます。

一方エッフェル塔でアジャと再会出来なかったマリーは、そこで新たな男性と出会います。それは恋人として、実に完璧な人物でした。

バルセロナの難民たちに、これもカルマ(業)と諦めムードが漂う中、アジャは脱出を試みながらも難民たちに手品を披露し、彼らの生活を豊かにするべく日々行動します。

そして脱出を諦めなかったアジャにチャンスが訪れます。ある日閉鎖されているはずの扉が開くと気付いた彼は、飛行機に積み込まれる大きな衣装箱の中に身を隠します。

衣装箱の中で、幼き日に出会ったマスター(導師)・デヴァの事を思い出したアジャ。

警察署で不良少年たちに話していたアジャは、自分も幼い日に警察に捕まり、監獄に入れられた経験があると語ります。その時隣の監獄にいたのがマスター・デヴァでした。

窓も無い暗い監獄で、精神的に追い詰められていたアジャに、隣の房のマスター・デヴァは、窓の外の光景を生き生きと語って聞かせます。その言葉にアジャは救われます。

やがて外に出たアジャ。しかし以前と同様に路上で金を稼ぐ日々を送ります。ある日物乞いをする盲目の老人を見かけ、その前に置かれた施しの金を奪おうとするアジャ。

しかし老人に声をかけられたアジャは、この人こそマスター・デヴァだと気付きます。彼は盲目でしたが、彼が想像力だけで語った言葉が、自分を救ったのだと幼いアジャは気付きます。

一方衣装箱の中のアジャは、マスター・デヴァの物語を書き残そうとしますが、紙も何もありません。そこで自分のシャツを脱ぎ、そこにマリーから預かったペンで記すアジャ。

衣装箱がどこかに到着したと知り、恐る恐る中から出たアジャ。そこはイタリアのローマの高級ホテル、女優のネリー(ベレニス・ベジョ)の部屋でした。

ネリーは現れたアジャに警戒しますが、彼がシャツに記した物語に感動し心を開きます。アジャに服を買い与え、彼と共にトレビの泉を訪れます。

しつこい前夫のアルフレッドに悩まされているネリー。彼女の後悔は、前夫との関係が世界に報じられ、恋人であったトーマスを傷付けた上で別れた事でした。

それを聞いたアジャは、ならば復縁はもっと派手にしないと、と提案します。

迫って来たアルフレッドに、ネリーは一計を案じ、アジャが物語を記したシャツを価値あるものと思わせて、彼に10万ユーロで売りつけます。こうして思わぬ大金を手にしたアジャ。

ディスコに現れたアジャは、派手なダンスで注目を集めます。ネリーとアジャが踊る姿はSNSで注目を集め、取材が殺到します。そこでトーマスへのメッセージを送るネリーとアジャ。

翌日、トーマスから連絡があったと喜ぶネリー。しかしアジャの元には、騙されたと気付いたアルフレッドの手下が、金を取り戻しに現れます。

金の入ったトランクを手に逃げ出したアジャ。逃げ込んだ先は熱気球で、彼は空へと飛び立ちます。夢にまで見た大金を手に、あとはパリに向かうだけです。


(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

遂に完璧な人生が手に入った、と有頂天のアジャ。ところが熱気球が操縦出来なくなって、彼は死を覚悟します。預かったペンに記された電話番号を頼りに、マリーに電話をかけます。

しかしアジャは電話にでたマリーの友人から、彼女に新たな恋人が出来たと知らされます。マリーへの伝言を諦めたアジャ。

熱気球は流され、地中海に墜落すると思われましたが、奇跡的に貨物船の上に着陸します。しかしアジャの持つ大金は、貨物船の船長に奪われました。

貨物船は欧州に向かう難民が集まる地、リビアに到着しました。そこで降ろされたアジャは、今は難民キャンプで暮らしている、送還されたウィラージと再会します。

自分の物を奪われて黙っていられないと、アジャはウィラージに相談します。彼の仲間の難民と共に貨物船に忍び込んだアジャは、大金を取り戻す事に成功します。

ウィラージに仲間に分け前をやってくれ、と頼まれたアジャは難民一人一人に、かなえたい夢を尋ねます。それに必要な金を渡す行為が、止められなくなってゆくアジャ。

アジャはこの時の行為を、一世一代の手品を行ったと、そしてこれを知った誰もが、アジャの物語を伝えたと振り返ります。

残った金で偽造パスポートと航空券を得たアジャは、ウィラージと別れパリへと向かいます。奇想天外な旅の出発地となった家具店に残した壺には、無事母の遺灰が残っていました。

そこでマリーと再会したアジャは、彼女の新しい恋人を紹介されます。マリーに別れを告げたアジャは、壺を購入するとムンバイへと戻ります。

ムンバイで教師となったアジャは、毎日生徒たちに物語を語ります。ある日教室で生徒を教えるアジャの前に、マリーが訪れます。生徒たちの前でキスを交わす2人。

こうして警察署の不良少年たちに話を終えたアジャ。彼は少年院に4年間入る代わりに、自分が教える学校に毎日通う道を選ばないかと提案し、少年たちは喜んで受け入れます。

少年の1人が、アジャの母がどうなったかを尋ねます。それに対し、彼女はいるべき場所にいるよ、と答えたアジャ。

パリの街に飛ぶ、アジャの父が母にあてたラブレターを折って作った紙飛行機。それは父の眠る墓にたどり着きます。そこには母の遺灰の入った壺が置いてありました。

少年たちと共に、アジャの話を聞いていた警察官が尋ねます。語っていたのは本当の話かと。

アジャはこう答えます。「重要な部分だけは」と。

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映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』の感想と評価


(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

想像力が生む物語の素晴らしさ

ロードムービーであり、同時にハートフルなヒューマンコメディでもある本作品。しかし同時に、物語を生む想像力とその力を讃えた作品になっています。

映画はおとぎ話風であり、主人公のアジャが語り聞かせる形式をとっていますが、これは原作と異なり、『人生、ブラボー!』の監督ケン・スコットが、映画の為に選んだ形式です。

脚本には原作者ロマン・プエルトラスが参加し、ケン・スコットらとともに執筆。原作者公認の映画版の物語として完成しました。

なおロマン・プエルトラスは本作にカメオ出演しています。けっこう大きなオイシイ役なのに、クレジットされていない人物ですが、お判りでしょうか。

原作小説が映画化、映像化するに当たり、理想的な形と完成度を示した作品の1つです。

豪華キャストで描く多国籍映画


(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

主人公のアジャを演じるのはボリウッドスター、ダヌーシュ。あのインドの“スーパースター”ラジニカーントの娘婿としても有名ですが、監督・歌手・プロデューサーとしても活躍しています。

女優ネリーを演じるのは『アーティスト』のベレニス・ベジョ、ソマリアからの移民ウィラージを、『キャプテン・フィリップス』でデビューしたバーカッド・アブディが演じています。

意外な所では『ジョニー・イングリッシュ』シリーズで、ローワン・アトキンソンの相棒を務めたベン・ミラーが、ボリウッドスターに歌と踊りを強要、という爆笑シーンもあります。

世界各地を飛び回る映画ですが、ムンバイ、ローマ、そして何と言ってもパリの描き方は最高です。美しき観光地映画としても楽しめる作品です。

まとめ


(C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved.

ファンタジー、ハートフル要素の強い、ヒューマンコメディ映画である『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』。しかし一番注目すべき点は「物語る事を描いた物語」である事です。

人間の一番の力はイマジネーション(想像力)、それが人を貧困からも、不公平からも救う姿が、この作品の大きなテーマとなっています。

同時に映画ファンには、映画はイマジネーションから生み出される、という原点を再確認させてくれる作品でもあります。

「重要な部分だけは」本当の話というこの映画。どこまでが現実で、どこまでが想像力が生んだ物語なのかは、見る者に委ねられています。あなたにこの映画の何が「重要な部分」でしょうか。

この素晴らしい物語を前に、「IKEA」の名前が使えなかったのは大人の事情かなとか、それにしては家具店の制服が「IKEA」っぽいとか、そんな事を気にするのは、些細な事に過ぎませんね。

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