Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2018/07/10
Update

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』あらすじネタバレ感想とラスト結末の解説【エマ・ストーン×スティーブ・カレル代表作おすすめ】

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

1973年に行こなわれた、性別を超えたテニスの試合を描いた、映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は2018年7月6日(金)から全国順次公開された作品です。

若手注目女優エマ・ストーンと、個性派俳優スティーブ・カレルが共演した『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』をご紹介します。

スポンサーリンク

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の作品情報


(C)2017 Twentieth Century Fox

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
Battle of the Sexes

【監督】
バレリー・ファリス、ジョナサン・デイトン

【製作】
クリスチャン・コルソン、ロバート・グラフ、ダニー・ボイル

【脚本】
サイモン・ビューフォイ

【キャスト】
エマ・ストーン、スティーブ・カレル、アンドレア・ライズボロー、サラ・シルバーマン、ビル・プルマン、アラン・カミング、エリザベス・シュー、オースティン・ストウェル、ナタリー・モラレス、ジェシカ・マクナミー、エリック・クリスチャン・オルセン、ジェームズ・マッケイ、フレッド・アーミセン

【作品概要】
1973年、男女格差が激しかった時代のテニス協会。

協会に不満を持つ、女子テニスの世界チャンピオン、ビリー・ジーン・キングと、ギャンブルが原因でどん底の人生を歩み、再起をかけた戦いに挑む元男子世界チャンピオンのボビー・リッグスによる、性別を超えた世紀の一戦を描いたヒューマン・コメディ。

主演を『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンと『フォックスキャッチャー』のスティーブ・カレル、監督に『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトンとバレリー・ファリス。

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』あらすじとネタバレ


(C)2017 Twentieth Century Fox
1973年、ビリー・ジーン・キングは、全米女子テニスチャンピオンとして活躍していました。

ですが、「全米テニス協会」が女子の優勝賞金を男子の1/8にした事に不満を持ちます。

ビリーは、説明を求めますが、的を得ない回答に腹を立て、独自に「女子テニス協会」を立ち上げ、「全米テニス協会」に対抗しようとします。

元男子テニスのチャンピオン、ボビー・リッグスはシニアのテニスプロの収入では生活が厳しく、妻のプリシアの父親の会社で働いていました。

ですが、ボビーは仕事にやり甲斐を感じる事も無く、プリシアに内緒で賭けテニスに興じ、日々の不満を晴らしていました。

ある時、ボビーは仲間から「君とビリー・ジーン・キングが戦えば、面白い賭けになる」と言われた事で、ビリーの事を気にするようになります。

「全米テニス協会」を立ち上げたビリーは、友人でジャーナリストのグラディス・ヘルドマンのサポートを受け、スポンサーが決まり、女子テニスプレイヤーだけの選手権が決まるなど、順調に進んでいました。

新たな女子テニスのイメージを打ち出す為、グラディスは美容師やデザイナーを選手に付けます。

ビリーは、担当美容師のマリリンに「美人だ」と褒められ、いい香りのする香水を付けて、オシャレなマリリンに、周囲の他の人間とは違う魅力を感じます。

そして、女子テニスの選手権が開催され、試合後にビリーは、自分の試合を観戦に来てくれた
マリリンと夜の街に繰り出します。

遅い時間となり、帰れなくなったマリリンを、ビリーは自分の部屋に宿泊させます。

ビリーは、バイセクシャルのマリリンと一夜を共にします。

夫がいる身のビリーは、マリリンとの過ちに戸惑いますが、マリリンは気にしていない様子、そこへ1本の電話がかかってきます。

ビリーが電話に出ると、相手はボビーでした。

賭けテニスがプリシアにばれて、家を追い出され家族崩壊の危機に直面したボビーは、起死回生の一手として、ビリーと対戦する事を希望。

「男性至上主義のブタとフェミニストのテニス対決」を提案します。

ビリーは、この提案を退け、一方的に電話を切ります。

マリリンとの過ちを受け入れたビリーは、次の日から選手権のツアーに、マリリンを帯同させます。

しかし、ビリーとマリリンが宿泊したホテルに、ビリーの夫、ラリーが現れます。

マリリンとの事を必死で隠そうとするビリーでしたが、ラリーは全てを察知し、ホテルから出て行きます。

途中で顔を合わせたマリリンに「彼女に必要なのは、僕でも君でもなくテニスなんだ」と言い残し、その場を去ります。

一方、ビリーに対戦を断られたボビーは、ビリーを敵視しているマーガレット・コートに対戦を要求、ショーを盛り上げる為に「ビリー勝って一番になれ!」と要求します。

その日の試合、ラリーとの件で心を乱されたビリーは、マーガレットに完敗します。

実質、女子テニス界で一位になったマーガレットは、ビリーの忠告を聞かずに、ボビーとの対戦を決めます。

注目の試合となった、ボビーとマーガレットの試合は、ボビーの圧勝、ボビーは「女は男に勝てない!」と豪語します。

テレビでボビーとマーガレットの試合を見ていたビリーは「自分がチャンピオンになれば、女性も認められる」という信念を、ボビーに踏みにじられた事にショックを受けます。

ボビーの言葉を振り払うように、ビリーはテニスの練習に集中、誰も寄せ付けないビリーの雰囲気に、マリリンはその場を立ち去って行きました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

ビリーはボビーの対戦要求を受け入れ、男と女の世紀のテニスマッチが決定します。

ボビーはマスコミ向けのパフォオーマンスを次々に行い、注目の存在になります。

ですが、プリシアは「男性至上主義のブタ」を名乗り注目されているボビーに愛想を尽かし、離婚を告げます。

ビリーは試合に向けて黙々と練習をしますが、世界から注目される事になった試合に重圧を感じるようになり、インフルエンザを発症し体調を崩します。

プリシアから離婚を告げられたボビーは、マーガレットに圧勝した事と、ビリーが重圧に負けたという情報を得た事から、テニスの練習をせず、プールで遊ぶようになっていました。

そして迎えた試合当日。

ビリーは、ラリーとマリリンに見送られ、コートに向かいます。

ボビーは美女と共に「シュガーダディ」と書かれた大きなキャンディを持って登場、観客を沸かせ、試合が始まります。

男と女の世紀のテニスマッチは、29歳のビリーが55歳のボビーを圧倒する形で試合を進め、ビリーが勝利を収めます。

負けたボビーは、ロッカールームで1人でうなだれていますが、そこへプリシアが現れ、ボビーに優しく微笑みます。

試合に勝利したビリーを、さまざまな人が祝福しました。

スポンサーリンク

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』感想と評価


(C)2017 Twentieth Century Fox
1973年に実際に開催され、全世界で9000万人が観戦したと言われているテニス男女対抗試合を描いた本作。

見どころは、エマ・ストーンとスティーブ・カレル、主演2人の素晴らしい演技です!

スティーブ・カレルは、自分の事だけを考え、平気で周囲の人間を巻き込んでいく「口先だけの男」と呼ばれているボビー・リッグスを、実に愛すべきダメ男として演じています。

特に印象的なのがボビーの笑顔。

無邪気で子供っぽく、悪意を感じないあの笑顔は、常に自分のペースに周囲を巻き込むボビーというキャラクターに、説得力を持たせていました。

映画の最後に実際の写真が出てくるのですが、実際のボビーも、無邪気な笑顔を浮かべていた為、スティーブ・カレルはそうとう研究して、再現したのでしょう。

癖のある役を、常にこちらの期待値以上で演じるスティーブ・カレル、流石です。

また、エマ・ストーンも、マリリンとボビーに翻弄されるビリー・ジーン・キングを、繊細に演じています。

特に、ボビーに勝利した後、重圧から解放された安心感から、ロッカーで1人で泣く場面は、表情だけで全てを語っている見事な演技となっています。

今後のエマ・ストーンの活躍に期待したいですね!

まとめ


(C)2017 Twentieth Century Fox

ビリー・ジーン・キングとボビー・リッグスは、対象的の存在です。

テニスが人生の全てだったビリーに対し、ボビーにとってテニスは、自分をアピールする道具でしかありませんでした。

また、男女対抗試合以降の2人の人生も対照的で、ビリーは性差別と戦い続け、2009年に、オバマ大統領より大統領自由勲章を授与されたのに対し、ボビーはプリシアと再婚した後も、賭け事を続け、マフィアにも借金があったという噂があります。

対照的なビリーとボビーは、テニスが無ければ出会う事は無かったでしょうが、ボビーというパフォーマーがいたからこそ、「テニスで一位になれば、女性の自分も認められる」というビリーの想いが叶った部分があります。

想像もつかない人との出会いが、自身の人生を次に進めるキッカケを与えてくれる事になり、そこには性別も人種も関係無いと、この作品から感じました。

笑いを交えながら、丁寧に繊細に物語を進めていく極上の人間ドラマ『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は、オススメな作品です。

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『チワワちゃん』感想と内容解説。門脇麦の演技力の評価は二宮健監督の信頼感を得ていた

今、最も注目の20代の演技派俳優たちが集結! 映画『チワワちゃん』は2019年1月18日(金) 全国ロードショー。 仲間チワワの東京湾バラバラ殺人事件での遺体発見をきっかけに、若者たちの揺れる思いを赤 …

ヒューマンドラマ映画

『大河への道』ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。伊能忠敬のすごいエピソードを時代劇と現代劇の2つの視点から功績を解く

伊能忠敬は、日本地図を完成させていなかった!? 地域活性化の為に、伊能忠敬を主役に大河ドラマを誘致しようとする、千葉県香取市役所の職員が直面する、日本地図完成に隠された、真実の物語を描いた映画『大河へ …

ヒューマンドラマ映画

映画『1987、ある闘いの真実』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

1987年.翌年にオリンピック開催を控える韓国で、拷問により一人の大学生が死んだ…。 国民が独裁国家と闘った韓国民主化闘争の実話を映画化! 韓国映画『1987、ある闘いの真実』をご紹介します。 スポン …

ヒューマンドラマ映画

映画『おかあさんの被爆ピアノ』あらすじ感想と考察評価。武藤十夢が平和へのメッセージを若者に向けた新たな視点で熱演

映画『おかあさんの被爆ピアノ』は2020年7月17日(金)より広島・八丁座にて先行公開、8月8日(土)より東京・K’s cinemaほか全国順次ロードショー! 被爆75周年を迎えた今日にお …

ヒューマンドラマ映画

映画『幸福なラザロ』あらすじネタバレと感想。ロルヴァケル監督が描く現代の“聖人像”

アリーチェ・ロルヴァケル監督の『幸福なラザロ』は 2019年4月19日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開 前作『夏をゆく人々』(2015)ではトスカーナ地方で養蜂場を営む一家のひと …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学