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Entry 2021/05/18
Update

映画『グランドブダペストホテル』ネタバレ感想解説とラスト結末の考察。ウェスアンダーソン監督のカリスマコンシェルジュが奔走するミステリーコメディ

  • Writer :
  • からさわゆみこ

伝説のコンシェルジュが誘う“究極”のおもてなし人生

高級ホテル“グランド・ブタペスト・ホテル”のカリスマコンシェルジュと、若きロビーボーイの交友を通し、ホテルの常連客が殺害されたことをきっかけに、巻き起こる数奇な旅物語を描く、サスペンスコメディー『グランド・ブダペスト・ホテル』をご紹介します。

本作は作第87回アカデミー賞(2015) にて、衣装デザイン賞ほか4部門を受賞し、第72回ゴールデングローブ賞では、最優秀作品賞、第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しました。

監督はカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品、『ムーンライズ・キングダム』(2012)や、日本を舞台にしたストップモーションアニメ『犬ケ島』(2018)を手掛けた、ウェス・アンダーソンです。

舞台はヨーロッパ大陸の東端にある、架空の国“旧ズブロフカ共和国”で、かつて栄華を誇しましたが、戦後廃虚化が進んでしまった、“グランド・ブダペスト・ホテル”です。

ホテルに休養で訪れた作家が、ホテルのオーナー“ゼロ・ムスタファ”と出会い、ゼロは初代コンシェルズで師匠でもある、“グスタヴ・H”の事や常連客の殺人事件の真相について語ります。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の作品情報

(C)2013 Twentieth Century Fox

【公開】
2013年(アメリカ、ドイツ映画)

【原題】
The Grand Budapest Hotel

【監督・脚本】
ウェス・アンダーソン

【原案】
ウェス・アンダーソン、ヒューゴ・ギネス

【キャスト】
レイフ・ファインズ、F・マーリー・エイブラハム、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、ジェイソン・シュワルツマン、レア・セドゥ、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、オーウェン・ウィルソン、トニー・レヴォロリ

【作品概要】
シンドラーのリスト』(1993)でアカデミー助演男優賞、『ハリーポッターと炎のゴブレット』で、ヴォルデモート役のレイフ・ファインズが、カリスマコンセルジュを演じ、晩年のゼロ・ムスタファを演じるのは、『アマデウス』で音楽家アントニオ・サリエリ役で、アカデミー主演男優賞を獲得した、F・マーリー・エイブラハムです。

他にも「シャーロックホームズ」シリーズのジュード・ロウ、『戦場のピアニスト』(2015)のエイドリアン・ブロディ、「ジュラシック・パーク」シリーズのジェフ・ゴールドブラムなど名立たる名優が共演しています。


映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のあらすじとネタバレ

(C)2013 Twentieth Century Fox

ヨーロッパの東端、旧ズブロフカ共和国のオールドルッツ墓地には、“記念すべき国の宝”と称賛された作家の銅像があり、台座には多くの錠前がぶら下がっています。

そこに1人の若い女性が現れ、空いてる場所に鍵をぶら下げると、持っていた本『グランド・ブダペスト・ホテル』を読み始めます。

1985年、初老の作家は執筆アイデアについて、「作家とは無から有を生み出すのではなく、作家と知られると自然と物語が集まる」と語ります。

作家はスランプに陥いると“作家熱”を患うのですが、彼も1968年8月に作家熱の静養で、ズブロフカ・アルプス麓の町ネベルスバートにある、“グランド・ブダペスト・ホテル”を訪れました。

かつては豪華絢爛で美しく栄華を誇ったホテルは、戦乱を境に人の往来が減り、すっかり寂れた廃虚と化しています。若き作家はそのホテルで、現ホテルオーナーの老紳士と出会います。

老紳士はオーナーでありながら、ホテル最上階にある、“グスタヴ・スイート”と名付けられた、従業員部屋のような狭い部屋に泊まる風変わりな人物で、作家の好奇心をそそります。

作家に声をかけたのは、老紳士の方で彼は作家に、「自分の半生を聞いてみないか?」とディナーに誘います。

1932年のグランド・ブダペスト・ホテルは、富裕層の常連客が集まり、国の内外から羨望されるホテルとして営業していました。

その1人であるマダム・Dは滞在期間が終わると、「二度と会えない気がする」と不安を口にし、グスタヴに無事を祈ってほしいと、聖母マリアに捧げるロウソク代を託しホテルをあとにします。

グスダヴはロビーボーイのゼロを使いに出そうと、指示をしているうちに彼を初見だと気がつき、その場で面接を開始します。

ゼロには有益な経験はほとんどゼロでしたが、なぜロビーボーイになったかと聞かれると「誰でも憧れる名門のグランド・ブタペストだからです」と答え、グスタヴに気に入られ本採用となります。

そして、グスタヴはゼロの師匠であり、保護者のような存在となります。

ロビーボーイの心得として、姿は見せずともすでに客の側にいて、客が嫌がることに気づき、客の要望は先読みして提供し、一番の肝心として、客の秘密や醜聞は墓まで持って行くことと習います。

次第にゼロは、グランド・ブタペスト・ホテルの所有者は不明ですが、運営の切り盛りをしているのが、代理人のコヴァックと経営担当のベッカー、そしてグスタヴの3人だと知ります。

また、顧客のほとんどが、すみずみにまで目の行き届いたサービスを提供する、コンシェルジュの“ムッシュ・グスタヴ”が目当ての、老女であるとわかりました。

特にグスタヴが贔屓する客の条件は、金持ちの老人で不安があり、虚栄心が強く軽薄で寂しがり屋な金髪女性です。

こうしてロビーボーイとして働くゼロは、町の洋菓子店“メンドル”で働くアガサとも出会います。

マダム・Dが旅立ってから1ヶ月のある朝、ゼロが新聞販売店へ朝刊を取りにいくと、一面に彼女の訃報記事をみつけ、グスタヴに報告します。

グスタヴはすぐにマダム・Dの屋敷があるルッツへ向かうと告げ、ゼロに旅支度をさせて列車に乗り込みます。

以下、『グランド・ブダペスト・ホテル』ネタバレ・結末の記載がございます。『グランド・ブダペスト・ホテル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2013 Twentieth Century Fox

ルッツへ向かう列車は国境に差し掛かると、封鎖する進駐軍の検問にあいます。移民労働者の証明書しかないゼロは、軍人に連行されそうになります。

ゼロは従おうとしますが、グスタヴは阻止しようと将校らしき軍人ともみあいになり、2人とも力づくで捕り抑えられます。

その時、グスタヴは「私のロビーボーイに触れるな!」と叫び、ゼロはグスタヴの愛情を感じます。

騒ぎを聞きつけた上官ヘンケルスが現れます。グスタヴは軍人の横暴さを訴え、グランド・ブタペストの人間だと名乗ります。

するとヘンケルはグスダヴを見て、幼い頃に両親とよく利用し、グスダヴに面倒を見てもらったと話します。

この縁がきっかけで2人は連行されずに済み、ヘンケルから仮の特別通行許可証を発行してもらいました。

なんとかルッツ城に到着したグスタヴは、使用人にマダム・Dが安置されている部屋へと案内させます。

棺に横たわる婦人との惜別もつかの間、使用人は執事のセルジュから内密な話があると告げます。

厨房の控室で待っていると、セルジュがグスダヴを手招きします。それに従って進むにつれ、その家の遺産を巡り親類縁者たちが集まり、なぜその場にグスダヴを導いたのかがわかります。

亡き夫人の遺言執行人は、グランド・ブタペストの代理人コヴァックでした。

彼は莫大な遺産の管理権は、長男のドミトリーにあると前置きし、財産分与の詳細については別途明らかにすると説明しました。

しかしこの日の朝、遺言の補足書がコヴァックの元に届き、遺言の修正が書かれていたと告げます。法の定めに基づき、書類の正当性は判事の検認待ちとなりました。

マダム・Dの補足書には「私の晩年を慰めてくれた友、幸せを諦めた老女の人生に光りをくれた、“グスタヴ・H”に非課税にて絵画“少年と林檎”を受託する」とありました。

グスタヴが名乗り出ると、ドミトリーは何しに来たのかと怒鳴ります。彼はマダム・Dに敬意を示しに来たと言いますが、ドミトリーは不法侵入だと訴えました。

ドミトリーはグスタヴを侮辱し、母親をたぶらかしたと罵倒し、“少年と林檎”は渡さないと言い放ちます。

セルジュはグスタヴに厨房の控室で待つように言いますが、“少年と林檎”の価値からドミトリーに譲渡を邪魔されると考えます。

絵の美しさを詩に例えてゼロに話すと、ゼロは絵を見てみたいと言います。グスタヴは思いついたようにその場を離れ、絵が飾られている部屋へと行きます。

グスタヴは絵を愛おし気に眺めると、ゼロは踏み台を足下に起き、彼の顔を見ると頷きグスタヴは絵を壁から外します。

それを持って部屋を出ると、セルジュと会い、絵を包むよう願います。セルジュも頷くと絵の裏に“極秘”と書かれた手紙を隠し、絵を油紙で包みました。

グスタヴは絵を最期の日まで愛でようと思いましたが、その前に取り返されてしまう恐れや、戦争が始まるとホテル稼業も危うくなると予想し、売却してしまおうと考えます。

闇市で絵を売却しマルタ・リビエラで、ほとぼりが冷めるまで身を潜めると話します。

ゼロには協力と忠誠、従者として仕えてくれた見返りとして、売値の1.5%を渡すと提案します。ゼロは少ないと不満げですが、グスタヴは1.5%の代わりに、自分が死んだあとはゼロに単独相続すると約束します。

グランド・ブタペストに戻った2人は、絵をホテル内の金庫に隠します。ところがそこへ警察が、マダム・D殺害の容疑としてグスダヴを逮捕しに来ます。

死因を知ったグスタヴはあろうことか、その場から逃げ出して捕まり、第19犯罪者拘留所に収容されてしまいます。

裁判を待つ1週間前にゼロはグスダヴと面会します。目の前に現れた彼の顔は、先に入っていた囚人との殴り合いでできたという、アザや傷跡があり驚きます。

ゼロはコヴァックスに会い、グスダヴを犯人だと証言したのはセルジュで、今は逃亡して行方不明だと話します。

(C)2013 Twentieth Century Fox

刑務所の中でもグスタヴは配膳係をしながら、囚人たちの信頼を得ていました。そこで、ボス格のルートヴィヒら4人から、脱獄計画の話を持ち掛けられます。

偽装の書類や変装用の服などは調達できたものの、脱獄する穴を掘る道具がないとわかると、グスタヴはアガサの協力を得て、メンドルのお菓子の中に仕込んでもらい、外へ続く穴を掘ります。

一方、コヴァックスは重要書類の一つが、紛失していることに気がつきます。マダム・Dの死因やセルジュの失踪で、懸念するコヴァックスはそのことを報告するべきだと、ドミトリーに促しますが拒否されます。

ドミトリーは重要書類のことは無視して、相続の手続きを進めるよう強引に訴えますが、コヴァックスはそれを拒否します。

このことをきっかけにコヴァックスは、ドミトリーの雇っている私立探偵ジョプリングに殺害され、書類の手がかりを知っていると思われるセルジュの行方を追い始めます。

穴を貫通させたグスタヴ達は、仲間を1人失いながら脱獄に成功します。ゼロはグスダヴを迎えに来ていましたが、逃走手段を準備できませんでした。

グスタヴはそんな時でも愛用している香水、“ル・パナシュ”があれば気が紛れましたが、ゼロは持ってきていません。

とうとうグスタヴはゼロをなぜ故郷を捨て無一文で、洗練された社会に出てきたんだ? と激しくなじります。

ゼロは戦争で家族や家を失い、生き残った者は着の身着のまま、逃げるしかなかったと話し、全て戦争のせいだと言います。

グスタヴはゼロが不幸な戦争難民だと理解すると、なじったことを反省し、ゼロに謝罪すると2人の絆は更に深まりました。

2人は走って逃走し、麦畑の真ん中に電話ボックスをみつけると、グスタヴはホテル・コンシェルジュの間で結ばれた、“鍵の秘密結社”に協力を依頼します。

ほどなくして迎えに来た車に乗り込んだ2人は、鍵の秘密結社の情報網で、執事のセルジュが山頂の修道院に潜伏していることを知ります。

迎えに来たムッシュ・アイヴァンは、上級コンセルジュらしく、汽車のチケットのほかに、変装用の小物そして、“ル・パナシュ”を持ってきました。

一方、ルッツ城ではドミトリーが絵画“少年と林檎”が、壁から無くなっていることに気づき、使用人がグスタヴが持ち出したと告げ口します。

そして、セルジュの姉をマークしていたジョプリングは、姉の元に届いた電報でセルジュの隠れ家を突き止め、彼女を殺害します。

ヘンケルス部隊は一連の殺人事件をジョプリングと考え、グスタヴと共に逃亡先の山頂を目指し捜査を始めます。

グスタヴ達は修道士たちの協力も得て、セルジュと対面します。そして、彼はマダム・Dが殺害された場合のみに有効となる、第2の遺言の存在を告白します。

ところが詳細を話そうとした時に、ジョプリングが現れセルジュを殺害し、再びスキーで逃亡します。

その後をグスタヴとゼロがソリで追いかけますが、あと一歩のところでソリの制御が効かず、横転しグスタヴは崖から落ちそうになり、ジョプリングに転落させられそうになります。

危機一髪、背後からゼロがジョプリングを突き落とし、グスダヴを助け出すとグランド・ブタペストを目指します。

グランド・ブタペスト・ホテルは戦争が始まり、軍の兵舎として使われていました。ゼロから電報を受けていたアガサは、金庫から“少年と林檎”を持ち出すことに成功します。

しかし、アガサをマークしていたドミトリーがそれを見つけ、彼女を追いかけます。時を同じくして、ホテルに到着したグスダヴとゼロは、アガサを助けようと奔走します。

ヘンケルス部隊も現れ加わって、撃戦になりその間にゼロはアガサを救い出し、絵の中に隠された第2の遺言状を発見します。

第2の遺言状には遺産の全てを、グスダヴに贈与するとあり、その中には“グランド・ブタペスト・ホテル”もあり、マダム・Dがホテルの所有者だとわかりました。

その後、ホテルはグスダヴの指揮の元再建し、ゼロとアガサはグスタヴの後見人で結婚式を挙げ、物語はめでたく終わるはずでした。

ところが平穏な日は長続きせず、ゼロとアガサの間には子も授かりますが、流行り熱でアガサと子供を失います。

また、終戦を迎えるとズブロフカ共和国は消滅し、ファシストによって占領されてしまいます。グスダヴはゼロと共にルッツへ疎開しようと向かいますが、再び軍の検問に会います。

ゼロには仮の特別通行許可証がありますが、今度は通用せず、ゼロは連行されそうになります。グスタヴは身を挺してゼロを守ろうとして、銃殺されてしまいます。

結果、グスダヴの財産はゼロが相続し、世界屈指の富豪となります。

しかし、1968年時点で共産化したズブロフカでは、グランド・ブタペスト・ホテル以外の資産は国有となり、ゼロは年に数回、思い出深いホテルを訪れるだけでした。

作家はその後、世界中を旅して周りますが、長い間ヨーロッパへは立ち寄りませんでした。そして、晩年ゼロの話を小説にして他界し、“国の宝”と称された作家になりました。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の感想と評価

(C)2013 Twentieth Century Fox

この映画は史実ネタのパロディーとも言われていて、シーンごとにシリアスな問題が織り込まれています。

本作を観て思い出したのが『サウンド・オブ・ミュージック』のワンシーンです。

ナチスがオーストリア共和国の併合を強行するために侵攻してきたころ、軍人だったトラップの家族が修道院の協力で、スイスに亡命するシーンです。

歴史を紐解くと東ヨーロッパで、1938年に実際にあった出来事です。

また、ゼロも戦争難民という設定でしたが、第一次世界大戦以降に起きたユダヤ人によるパレスチナ入植を機に長期にわたって、紛争が勃発していて難民を多く出しています。

実際にあった歴史的な部分をパロディにすることで、戦争が引き起こす悲劇にインパクトを与えています。

全てを失っているゼロに対して、並々ならぬ愛情をもって接したグスダヴもまた、似たような境遇なのでしょうか……。

時間軸を“アスペクト比”で表現

映画『グランド・ブタペスト・ホテル』は現代から始まり、1985年・1968年・1932年の時間軸に分かれていて、時代が変わるごとにスクリーンサイズが変わるといった、“アスペクト比”が施されています。

例えば1932年はスタンダード、1968年はワイド、1985年はアメリカン・ビスタというサイズになっています。

それを知らずに観進めていくと、突然画面が縮まったり伸びたりするので驚きますが、時代ごとでサイズ変換して表現されるところは、複数の時間構造の場合、整理しやすく観ることができます。

また、古い時代のノスタルジックな雰囲気など、スタンダードサイズにすることでその効果が感じられます。

架空のホテルと架空の名画とパヒューム

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』は架空の国ズブロフカから始まり、現実には存在しない名画や香水が登場します。

ところで、映画のシンボル“グランド・ブタペスト・ホテル”にはモデルとなっている、実在のホテルがあります。

旧東ドイツのドレスデンにある、「Hotel Börse」です。実際の外観はコンパクトサイズの可愛らしいホテルですが、色合いが映画に出てくる建物そのものです。

グスタヴが愛用していた香水、“ル・パナシュ”も実際にはありませんが、グスダヴを演じたレイフ・ファインズは、香水の香りについてインタビューで答えています。

「ロシア風な感じかな。ちょっとスパイスの香りが混じり、ときとして珍しい動物の性感帯から発せられる匂いがする。この匂いがたまらないほど誘惑的なんだ」

ウェス・アンダーソン監督はフランスの香水店とコラボして、同名の香水を作り非売品として、関係者に配ったと言われています。

そして、ヨハネス・ヴァン・ホイトル・ザ・ヤンガーという、架空の芸術家が描いたという傑作「少年と林檎」にも監督のこだわりがありました。

この絵はイギリスの画家マイケル・テイラー氏が描いた作品です。マイケルには監督の好む画家の名前をいくつかあげられましたが、それに近づけるというよりは、ありそうで“無い”リアルなニセモノを描いてほしいと直感し描きました。

また「少年と林檎」にはエド・マンローという少年がモデルとして起用され、完成までに4カ月を要した、小道具とは言えない現代画家による傑作でした。

まとめ

(C)2013 Twentieth Century Fox

戦争によって人が心を失くし、機械的な社会へ向かう懸念の中で、血の通う人間臭い部分の希少さを現した映画『グランド・ブタペスト・ホテル』。

本作では、本当の価値を知らずに、破壊や破棄を繰り返す愚かな人間と、打算的でありながら、人に至福の時間を与え感謝される人間という、対称的な人間模様が展開されました。

「この野蛮な屠殺場のような世界にも、文明の光がわずかに残っていた。かつては人間性と呼ばれたものだ。グスタヴはその1つだった」という、ゼロのセリフが映画に込めたメッセージと捉えられることができます。

つまり、価値あるものを見抜いたり、守り抜くことは困難ですが、個々が大切なものを大切と思い、美しいものを美しいと感じる、“文明の光”になることで、平和を維持することは可能となると言えるのです。

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