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Entry 2021/07/04
Update

映画『ピーターラビット2』ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。吹き替え版も楽しめる絵本から飛び出したウサギの物語

  • Writer :
  • もりのちこ

ピーターは悪党うさぎ!? 誰も僕を認めてくれない。

世界中で愛され続けるビアトリクス・ポターの名作絵本『ピーターラビット』が、2018年にハリウッドで実写映画化されてから3年、待望の続編が公開となりました。

ピーターの大好きなビアが、宿敵のマグレガーと結婚。マグレガーは、ピーターにだけ「いい子にしろよ」と注意ばかりしてきます。誰も本当の自分をわかってくれない。

そんな時、ピーターは都会で亡き父の親友だったというバーナバスと出会います。バーナバスを慕うようになったピーターは、次第に悪事を重ねていくことに。

ピーターは、本当に悪党うさぎになってしまうのか。いたずら好きで怖いもの知らずのピーターが、都会で大暴れ! 映画『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』をご紹介します。

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映画『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』の作品情報

(C)2021-ソニーピクチャーズ

【日本公開】
2021年(アメリカ映画)

【原作】
ビアトリクス・ポター

【監督】
ウィル・グラック

【キャスト】
ローズ・バーン、ドーナル・グリーソン、デビッド・オイェロウォ、マーゴット・ロビー、エリザベス・デビッキ

【作品概要】
1902年に出版され、今もなお世界中で愛され続けるビアトリクス・ポターの絵本『ピーターラビット』の実写映画化第2弾。

前作に引き続き、主人公ピーターの声を務めるのは『はじまりのうた』のジェームズ・コーデン。日本語吹替版では、こちらも前作同様、千葉雄大が務めます。

ビア役には『ANNIEアニー』のローズ・バーン。マグレガー役には『アバウト・タイム 愛おしい時間について』のドーナル・グリーソンが、前作に引き続き登場。

声優陣、俳優陣に加え、監督も前作同様ウィル・グラック監督。最先端のCGを駆使し、ピーターラビットを原作の水彩画の世界から飛び出させました。

映画『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』のあらすじとネタバレ

(C)2021-ソニーピクチャーズ

ここはピーターたちが暮らす自然豊かな湖水地方。今日はピーターの大好きなビアと宿敵マグレガーの結婚式が行われています。

3年前に隣に引っ越してきた動物嫌いのマグレガーは、ピーターのお父さんをパイにして食べた因縁の一族のひとり。さらには、ビアをめぐって奮奪戦も勃発していました。

ピーターは、マグレガーの顔面に飛び蹴りを食らわせたい気持ちをどうにか抑え、幸せそうなビアのため2人を祝福しました。

ある日、ビアとマグレガーのもとに大手出版社から連絡が入ります。ビアがうさぎたちをモデルに書いた絵本『ピーターラビット』を売り出したいというお誘いでした。

喜ぶビアとマグレガーはさっそく、出版社の社長ナイジェルを訪ねようと町へと向かいます。うさぎたちも一緒です。

ナイジェルは、絵本をヒットさせるには少し方向性を変え、うさぎたちのキャラをもっと過激にしようと提案します。ビアは、うさぎたちの素朴な暮らしを描きたいだけと悩みます。

しかし、ナイジェルの説得力ある話し方や、町に設置された絵本の大きな看板を見せられ、だんだんとその気になっていきます。

看板の絵のピーターは、いかにも悪そうなトラブルメーカーラビットとして描かれていました。「僕ってそんなに悪い子なの?」。

ピーターは、ここ最近マグレガーに叱られてばかりでした。確かにピーターは好奇心旺盛でいたずら好きな男の子です。でも、ちゃんと約束は守ります。

それなのにマグレガーは、ピーターは悪い子と決めつけ、何もしてないのに「ピーターはおとなしくしていなさい」「やっぱりピーターの仕業だな」とすっかり父親気取りです。

ピーターはひとり、いじけて町の中をぶらついていました。そこで、盗みをはたらくギャングうさぎ・バーナバスと出会います。

騒ぎに巻き込まれ、一緒に人間から逃げることになったピーターとバーナバス。「人間をからかうのって楽しいな!」。ピーターの気分もすっきり晴れたようです。

すっかり意気投合したピーターとバーナバスでしたが、なんとバーナバスはピーターのお父さんの友達だったことが分かります。

ピーターは、バーナバスに父親の面影をかさね、慕うようになっていきます。湖水地方に戻ってからもこっそりと町へと通い、バーナバスから盗みの極意を教わっていくのでした。

以下、『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』ネタバレ・結末の記載がございます。『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2021-ソニーピクチャーズ

ピーターの様子がおかしいことに、いとこのベンジャミン、三姉妹のフロプシー、モプシー、カトンテールも心配しています。

「バーナバスは僕を認めてくれるんだ」。ピーターは、ベンジャミンたちの心配をよそに、湖水地方に暮らす動物たちを集め、バーナバスの所へと連れて行きます。

仲間を集めたのには理由がありました。バーナバス悪党一味は、町で開催されるファーマーズマーケットで、大きな盗みをはたらこうと企んでいました。狙うは、栄養満点で長持ちするドライフルーツです。

ピーターは、バーナバスから「お前の父親は、一生食うに困らない生活を望んでいた」と教えられます。「この計画は、お前の父の思いを実現させるものだ」とも。

一方、ビアは、出版社の社長ナイジェルの言葉通りに、ピーターたちうさぎのコスチュームを今風にアレンジしてみたり、果てには宇宙飛行するうさぎの挿絵まで描かされていました。

「これも、うさぎたち家族を養うため。売れるためよ」と張り切るビア。マグレガーは、ビアらしくない作風を心配し「行き過ぎだよ」とたしなめますが、大げんかになってしまいます。

マグレガーは、ファーマーズマーケットに自慢のトマトを出店できると張り切っていました。町にきて、出版の打ち合わせに忙しいビアとは別れ、トマトを売りに出掛けます。

ファーマーズマーケットの片隅では、バーナバスとピーター、うさぎたちと森の仲間たちが待機をしています。「さぁ、みんな決行の時だ!」。

作戦は順調に進みます。ハリネズミのティギーおばさん、あひるのジマイマ、キツネどん、豚のピグリン・ブランドも大活躍です。

ドライフルーツの瓶がたくさん並んだ台に紐を結び、あとは車で台ごと引っ張って逃げるだけです。

瓶のひとつが、トマトを出店していたマグレガーのところに転がり、盛大にぶつかりました。「こらーっ!」。ピーターと目が合います。「ピーター! 何をしてるんだ!」。

ピーターは、バーナバスと車で逃げていきました。しかし、他の仲間たちは置き去りです。「バーナバス、みんなは?」。次々に捕えられていく動物たち。

バーナバス悪党一味は、はじめからピーターたちをだまし、ドライフルーツを独り占めしようとしていたのです。「ピーター、お前は素質がある。仲間にならないか」。

バーナバスの誘いに、自分が間違っていたと気付いたピーター。車から飛び出し、仲間の元へ走ります。しかし、時すでに遅し。

檻に入れられた仲間たちはそれぞれ別々に連れていかれました。途方に暮れるピーターにマグレガーがやってきます。

はじめて人間に言葉を話すピーター。「僕は失敗ばかりだけど、チャンスをくれないか」。マグレガーは驚くも、ピーターのことを誤解していたと反省。2人は仲直りできました。

ビアは、出版社で続編の打ち合わせをしていました。もっと過激にもっと面白くと、好き勝手注文をつけるメンバーに嫌気がさしていたところです。「違う、これは私の世界じゃない」。

マグレガーとピーターが、ビアの元へ助けを求めにやってきます。事情を聞いたビアは、会議を飛び出し、動物たちの救出に加わります。

その救出劇は、ビアが絵本の続編で描かされたスパイアクションさながら、空を飛び、ボートに飛び乗り、カーレースを繰り広げます。

どうにか全員を救出し終わったピーターたちは、バーナバスからドライフルーツを奪い返し、元のお店に戻します。バーナバス悪党一味は、動物保護団体の檻の中です。

「ごめんよ」。謝るピーターに、耳栓してて「聞こえなーい」とふざけるベンジャミン。「これからは、何かする前に僕たち家族に相談するんだよ」。ピーターも返します。「聞こえなーい!」。湖水地方の我が家へと帰りましょう。

しばらくして、ビアとマグレガーに赤ちゃんが産まれました。「ピーター、妹だよ」。新しい家族の誕生にデレデレのピーターでした。

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映画『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』の感想と評価

(C)2021-ソニーピクチャーズ

出版から100年以上たった今でも世界中で愛されている『ピーターラビット』。2018年に実写映画化され、今回第2弾が公開となりました。

映画版ピーターラビットは、原作のほんわり温かい水彩画の雰囲気とはまた一味違う、かなりやんちゃなピーターが、スクリーンを所狭しと暴れまくります。

原作のおはなしでも、ピーターのお父さんは事故でマグレガーおばさんにパイにされてしまったという、なかなかシビアな展開もありますが、映画ではバイオレンスやブラックユーモアも盛り込まれ、大人も楽しめる世界に変身しています。

「あのかわいいキャラクターのピーターが⁉」と驚いてしまう子供もいるのではないでしょうか。

しかし、大人向けといっても物語に込められたメッセージは、やはり絵本の世界と同じです家族や友達の大切さ。悪い事はしちゃダメ。ピーターの経験を通して多くのことを学ぶことができます。

好奇心旺盛でやんちゃなピーターは、悪い事とは知らず度を越してやったり、時には失敗もします。今作では、「誰も自分のことを分かってくれない」とグレてしまいます

マグレガーがピーターのことを頭から悪い子と決めつけ注意ばかりし、何もしてないのに誤解され、トラブルメーカーとイメージを付けられたり。

実生活でもピーターのような思いをしている子供たちが多いのではないでしょうか。だからこそ、バーナバスのようにピーターの良い所を認め、対等に扱ってくれる大人に憧れを抱くピーターの気持ちが良く分かります。

最後にピーターは、実は家族や仲間は自分のことを分かってくれていたと気付きます。ピーターは自分の殻に閉じこもり、どうせ分かってくれないと決めつけていました。自分から心を開けば、誤解もほどけ、苦手な人とも分かり合えることが出来ました。

失敗を乗り越え成長するピーターの姿は、私たちに勇気と希望を与え、本当に大切なものを気付かせてくれます

また、映画『ピーターラビット』の世界では、ピーターたち動物とビアやマグレガーの人間との関係性も素敵です。

ビアはピーターの飼い主でもありますが、常にピーターたちうさぎのことを家族と呼びます。さながら、ピーターのお母さん的存在です。

マグレガーは、にっくき宿敵からビアの夫へと昇格したものの、ピーターとは馬が合いません。それでも、ピーターのことをペットとして扱うことはありません。父親だと認めさせようと頑張ります。

動物も人間も関係なく家族のように大事に思い合う関係性に、温かい気持ちでエンディングを迎えられることでしょう。そして、ピーターたち動物のもふもふとした愛くるしい姿と表情、仕草に癒されて下さい

ちなみに、日本語吹替版では前作同様、千葉雄大がピーターラビットの声を務めています。好奇心旺盛でやんちゃなピーターの性格に、千葉雄大の声がドハマりです。

吹替版での注目は、なんといってもバーナバスを担当した哀川翔。誰もが「兄貴」と言ってしまうほどの個性を醸し出しています。ぜひ、日本語吹替版もお楽しみ下さい。

まとめ

(C)2021-ソニーピクチャーズ

ビアトリクス・ポターの名作絵本『ピーターラビット』の実写映画化第2弾『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』をご紹介しました。

2022年は『ピーターラビットのおはなし』出版から120周年を迎える記念の年。日本では「ピーターラビット イングリッシュガーデン」が富士本栖湖に誕生する予定だそうです。

これからも「世界一愛されるうさぎ」ピーターラビットの人気は、衰えることはないでしょう。映画のさらなる続編にも期待です。

原作とはまた一味違う映画版『ピーターラビット』の世界を、あなたもぜひご体験ください。

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