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Entry 2022/08/07
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『13人の命』ネタバレあらすじ結末と感想解説の評価。実際に起きた遭難事故で13人の命を救った人々の物語|Amazonプライムおすすめ映画館13

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第13回

実際の遭難事故を題材とした手に汗握る救出劇『13人の命』。自然災害は時と場所、そして被害を受ける人間の状況や善悪を選ばず突然人々を襲います。

そして、そんな理不尽な自然災害が起きるたびに、自身の危険を顧みずに被災した人を救出するために命を懸ける人間たちが世界中にいます。

今回は映像配信サービス「Amazon Prime Video」で配信された、世界が注目した救出劇を映像化した映画『13人の命』(2022)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

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映画『13人の命』の作品情報


(C)2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

【配信】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
Thirteen Lives

【監督】
ロン・ハワード

【脚本】
ウィリアム・ニコルソン

【キャスト】
ヴィゴ・モーテンセン、コリン・ファレル、ジョエル・エドガートン、トム・ベイトマン、サハジャク・ブーンタナキット、ポール・グリーソン、ヴィタヤ・パンスリンガム

【作品概要】
実話をもとにした映画『アポロ13』(1995)や大ヒットとなった映画「ダ・ヴィンチ・コード』(2006)を手がけたロン・ハワードが、2018年にタイで発生した遭難事故を映画化した作品。

救出のため真っ先に駆けつけたイギリス人ダイバー2人を「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのヴィゴ・モーテンセンと、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)に出演したコリン・ファレルが演じました。

映画『13人の命』のあらすじとネタバレ


(C)2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

1日目、2018年6月23日、タイ王国バーンチョーン、チェンライ県。

午後3時7分、サッカーチーム「ムーパ・アカデミー」の12人の少年と1人のコーチはメンバーであるチャイの誕生日の前祝いを兼ねてタムルアン洞窟の探索に訪れていました。

午後7時32分、昼過ぎに降り始めた雨は強くなり、洞窟に行ったはずのサッカーチームが誰一人戻らないことに保護者たちは不安を覚えタムルアン洞窟の入り口に向かいますが、強い雨によって洞窟の入り口は水が溢れていて侵入することが出来ないほどでした。

0時47分、通報を受け政府は海軍を出動させ潜水救助を開始しますが、複雑に入り組んだ洞窟内で鉄砲水を受けた隊員が負傷し、内部の詳しい状況すら分からないままでした。

2日目、13人の遭難者の情報が各地に広まり、国を挙げての救援活動が始まります。

その頃、水道技師のサネットは政府による救出活動を信じることができず、個人的に山に詳しい人物から雨水の流入口を聞き出していました。

5日目、イギリスのダイバーのリチャードのもとに同僚のジョンからタイの遭難事故への救援要請が入り、2人は現地へと飛びます。

外国人の介入を嫌がる海軍の将校を押し退け洞窟内へと潜水した2人でしたが、雨水が次から次へと流入することで思ったより先に進めず、浸水によって取り残された救助スタッフを助けることには成功したものの、新たな情報を得ることが出来ずに戻ることになります。

7日目、未だに遭難者の安否すら分からず、いつもより早い雨期に入ったタイは日に日に洞窟内の危険が増えます。

海軍に退役したダイバーであるサマーンが復帰し、沖縄駐屯地の米軍も駆けつけました。

8日目、救助の全権を担わされた知事は山に穴を掘り洞窟内の水の流れを変えようとしているサネットに協力を求めます。

知事は水が流れ出ることで田畑を失う農家の了承を取り付け、サネットの案を実行に移しました。

10日目、雨が止みサネットたちが水の排水を行なったことで状況が改善したと考えた知事は救出任務のプロであるリチャードとジョンに洞窟への潜水を依頼。

水の流れが変わり、鉄砲水が無くなったことで前回よりも先に進めた2人は奥地で13人の生存者を発見します。

遭難者たちは大人であるコーチを軸にした固い結束力で全員が生存していましたが、10日間も食事をとっていないため子供たちはかなり衰弱していました。

6時間を超える潜水が必要なためダイバーしか水の中を突破できず、遭難者の救出はまだ出来ないことを伝えると2人は13人の生存を伝えるために拠点へ戻ります。

13人が生存しているという情報はすぐに各地に広まり、生存者たちの親族や友人は歓喜に満ちます。

リチャードとジョンは一躍ヒーロー扱いとなりますが、一方でリチャードは彼等を外に出すことの困難さを感じており誰も助けることは出来ないかもしれないという悲観的な意見を知事たちに告げました。

11日目、救援物資を持って海軍のダイバーたちが洞窟に入ります。

人1人が通ることすら難しい洞窟を抜けダイバーたちは13人のもとに辿り着き食糧を配布しますが、酸素濃度があまりにも低くエアーの消費が激しかったため、4人のうち3人のダイバーを残し1人だけが拠点へと戻りました。

12日目、プロのダイバーたちですら往復がままならない状況下で思案を巡らせるリチャードは、ダイバーであり麻酔科医のハリーを呼び寄せる案を思い浮かびます。

13日目、ダイバー仲間であるジェイソンとクリスも呼び寄せたリチャードはハリーにある提案をしますが、ハリーはその突飛な案に難色を示します。

15日目、洞窟内に潜水したサマーンは酸素ボンベをロープに引っ掛けたことで大量のエアを失い、酸欠により死亡してしまいます。

サマーンの死を受け、海軍は奥地へのダイバー派遣を一時的に中断することになってしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『13人の命』のネタバレ・結末の記載がございます。『13人の命』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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熟練ダイバーであるサマーンの死が救出の困難さを物語り、ハリーは13人の救助のためにはリチャードの考える案しかないと腹を括ります。

それはパニックを起こさせないために13人に全身麻酔をかけ、意識のない間に潜水させ脱出させるという案でした。

その案には痰が呼吸器に詰まる危険性や、潜水中に目覚めてパニックになる可能性、麻酔に耐性がなく死亡してしまう不確実性がありました。

しかしあらゆる可能性を考慮しても、その方法しかないと覚悟した知事は実行命令を下します。

16日目、リチャードをリーダーとしたダイバーは潜水を開始。

ダイバーたちは複数のチェックポイントに分散して待機し、1日に4人ずつ運ぶことにします。

ウェットスーツと酸素吸入器を装着させた上で麻酔を打たれ昏睡する少年をダイバーに縛り付け、1人の少年を1人のダイバーが引きながら水の中を進行。

チェックポイントごとに確認を挟み、リチャードたちは1人目の少年を洞窟の外に連れ出すことに成功しました。

しかし、子供に麻酔を打ち運び出すという危険な作戦の露見が救出活動中に影響を及ぼさないために、救い出された少年は昏睡状態のまま秘密裏に病院へと運ばれます。

その日は4人の少年が洞窟から抜け出し、4人全員の無事が確認されました。

17日目、続けての救出作戦で5人を救助しますが、雨の予報が迫ります。

洞窟の外でサネットたちは穴を掘り洞窟内の水を減らすため奮闘しますが、再び降り始めた雨は容赦なく洞窟内に溜まり始めてしまいます。

18日目、浸水が深刻化し遅れれば遅れるほどに残された遭難者の生存率が下がることを懸念し、残る全員の救助を強行することにします。

水の流れが強くなったことで脱出の難易度が上がり、クリスはラインを手放してしまったことから子供と共にチェックポイントに取り残されてしまいます。

しかし、ハリーが手助けに現れたことから子供とクリスは無事に拠点に帰還。

13人の脱出が終わったと同時に雨水の浸水によって拠点が崩壊します。

より過酷な状況にはなりましたが、取り残されていた海軍ダイバーたちも無事に帰還し、救出作戦は終了しました。

街は歓喜に包まれますがハリーは救出活動中に本国で父を失い、海軍のダイバーはサマーンを偲びながら後片付けを始めます。

その後、8ヶ月に渡って洞窟は水の中に沈んでいました。

海軍兵士のベイルートは救出活動中に細菌感染を起こし死亡。

リチャードとジョンはそれぞれの日常に戻り、救助された少年たちは隔離病棟のガラス越しに家族と再会を果たしました。

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映画『13人の命』の感想と評価


(C)2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

浸水した洞窟の恐怖を引き出す演出

環境によっては人の膝ほどの水位で命を奪うとされる「水」。

2018年にタイ王国で発生した「タムルアン洞窟遭難事故」では狭く入り組んだ洞窟内に雨水が溜まりました。

そのため洞窟内は酸素ボンベを始めとした様々な道具を装備したダイバーがギリギリ通ることのできる幅しかなく、さらに新たな雨水が洞窟内に入り込むことで非常に強い水流が発生。

そんな「タムルアン洞窟遭難事故」を映画化した『13人の命』では、水で満たされた洞窟の恐ろしさを演出過多とならない絶妙な演出で描いており、現実で発生した事故としてのリアリティを損なわずに自然の恐怖を引き出していました

なぜ各国の熟練ダイバーが集まっても救出に半月以上の時間がかかったのか、そしてなぜこの救出劇が奇跡と呼ばれたのか。

大雨という毎年発生する自然現象が招いた、恐ろしい事故の様相を映画から知ることが出来ます。

シビアな死生観を持ちながらも行動し続けたダイバーたち

イギリスから駆けつけた救助ダイバーのリチャードとジョン、そして救出のため全力を注いだタイの海軍ダイバーたち。

何度かの洞窟内への潜水を終えた彼等は状況が想像以上に悪いことを実感することになり、特にリチャードは運が良くてもほんの数人しか助けることが出来ないと悲観的な視線を持ち続けることになります。

しかし、いかに困難な状況を実感してもダイバーたちは救出活動を止めることはなく、悲観的なリチャードは現実的な目線で最も救出確率が高いと思われる作戦を立案していきます。

諦めることを決して良しとしない、実在し救出を成し遂げた仕事人たちによる偉業が格好良く映る作品です。

まとめ


(C)2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

「タムルアン洞窟遭難事故」は実際に救出を行ったダイバーたち以外にも、彼等の救助の難易度を下げるために外で奮闘した人間や、政治的な判断を下した知事など多くの人物が救助に携わりました。

誰ひとり犠牲にならなかったわけではなく、救助のために複数人が命を落とした救出劇の裏側にも光を当てた映画『13人の命』

救う側も救われる側も決して諦めなかった、信じる力は無駄にはならないと感じさせてくれる本作は実話作品としてもひとつの映画としてもオススメの作品です。

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