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Entry 2021/05/19
Update

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ|ネタバレ感想考察と結末解説のあらすじ。映画『裏窓』や犯人以外の恐怖心の本質に迫る|Netflix映画おすすめ39

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第39回

今回ご紹介するNetflix映画『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』は、伝記映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017)を手掛け、第90回アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされ、話題となったジョー・ライト監督作品です。

A・J・フィンの同名小説をベースに、広場恐怖症を発症しひきこもっている主人公が、越してきたばかりのお向かいの家族に起きた怖ろしい光景を目撃したことをきっかけに、自分の身に起こる不可解な現象に翻弄されていく姿を描いたサスペンススリラーです。

児童心理カウンセラーのアナは広場恐怖症という、パニック障害を抱え家から外に一歩も出られない症状のため、隣家の様子をのぞき見する習慣ができてしまい、それが思いもよらない事件へと繋がってしまいます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

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映画『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』の作品情報

(C)2021 Netflix

【日本公開】
2021年(アメリカ映画)

【原題】
The Woman in the Window

【監督】
ジョー・ライト

【原作】
A・J・フィン

【脚本】
トレイシー・レッツ

【キャスト】
エイミー・アダムス、ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンソニー・マッキー

【作品概要】
主演は『魔法にかけられて』(2007)でブレイクし、『ザ・マスター』(2012)でアカデミー賞助演女優賞、『アメリカン・ハッスル』(2013)で主演女優賞にノミネートされ、実力の頭角を現したエイミー・アダムスです。

また、共演はジョー・ライト監督とタッグを組み『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』で、アカデミー賞主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマン、『アリスのままで』で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したジュリアン・ムーアなど、豪華なキャスティングです。

映画『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』のあらすじとネタバレ

(C)2021 Netflix

雪の舞い落ちる夜空がぐるぐる回る夢を見て目覚めるアナ・フォックスは、毎週月曜日には心理セラピーのカウンセリングを受けています。

アナは夫のエドに、修繕も不十分な向かいの家に白人の家族が越してきたことを話します。

アナはエドが側にいてくれたらと言いますが、彼は“見守ることしかできない”と答えます。アナは“たまには外出しろ”と言って欲しいと言います。

カウンセラーのランディは、最近の“近隣の人達”についてアナに聞きます。“うるさい犬”のことは市に苦情を言ったか聞くと、アナはエドに反対されたと言い、この話は“2度目”だと指摘します。

薬の話をすると言っていたランディ(カール)が、同じ話をさせる目的がわからないと、アナは不信がります。

ランディは構わず、101番地の新しい入居者がいくらで購入したのか、家族構成、どこから転居してきたか、世帯主の職業など質問しますが、彼女はその詳細をランディに話します。

ランディは好奇心が出てきたことは、うつの症状が軽減した証拠と言います。そして、薬は服用しているか、アルコールは控えているかなど問診します。

アナは10カ月間、家にひきこもったきりでした。ランディは症状が改善していないことで、アナにプレッシャーをかけ、彼女は同業者として彼を否定的に感じます。

しかし、アナは毎日飲酒しています。そして、古い映画を見ては、近隣の暮らしぶりを“のぞき見”する習慣がありました。

そしてその晩、引っ越してきたラッセル家の息子イーサンが、アナの家を訪ねてきます。母親から引越しの挨拶を持って行くよう頼まれていたのです。

アナはイーサンを家に通すと、彼はアナの仕事のことや家族について聞きます。イーサンは自分の部屋からアナの家が見えるが、ここからは「お父さんの姿が見える」といい、急に情緒不安定になります。

アナはイーサンの様子から、家庭になにか問題があるのではと思いはじめ、不安げなイーサンを落ち着かせ、映画のDVDを貸して家に帰します。

火曜日、アナは家の呼び鈴で目が覚めます。訪ねて来たのは地下室を間借りしているデヴィッドで、ブルックリンに行くが何か用はあるかと聞きました。

デヴィッドはハロウィンで、子供たちに配る菓子をどうするのか訊ねます。アナは部屋の明かりを消して、居留守を使うと言います。

アナは家の明かりを消して古い映画を観ています。ところが階下から物音がして、様子を見に行くと、ハロウィンを楽しむ子供たちがアナの家に生卵を投げつけていました。

パニックになったアナは子供たちに、家から離れるよう叫びますが、アナがいることを知ると、いたずらはエスカレートします。

アナは発作を起こしながらも、意を決してドアを開けると、向かい側から、見知らぬ女性が近づいてきました。気がつくと、彼女が救急車は必要かどうかと、アナの意識を確認してくれています。

女性は向かいの家に行く途中で、倒れこむアナを見て助けたと言いました。アナは彼女の話を聞いて「ジェーンね?」と聞きます。

彼女が「なぜ?」と訊ねると、息子のイーサンが来てくれたことを話します。

ジェーンはアナによく失神するのか聞くと、アナは、広場恐怖症のパニック発作だから、外に出られないと説明します。

ジェーンは人懐こくアナに色々話しかけ、夫と別居中で一人娘のオリビアは夫の元にいると聞くと、子供と離れ離れに暮す辛さに共感してくれます。

アナはジェーンに外へ出る努力は続けていると話すと、「あなたならできる。そのうち必ず」と励ましてくれました。

アナはジェーンに打ち解け、愛猫のパンチの写真を撮ったりしながら、一緒にお酒を飲み話します。

ジェーンは薬の多さに驚き、お酒と一緒に飲んではダメだと書いてあると指摘します。アナは話をそらすように、イーサンが持ってきてくれた、キャンドルのお礼を言い、彼を褒めました。

ジェーンはロケットに入れてある、イーサンの赤ん坊の頃の写真を見せ、溺愛ぶりを語ります。

アナがジェーンのピアスを褒めると、ジェーンは昔の恋人からもらった物だけど、気難しい夫には話していないと言って笑います。

ジェーンは夫のことを“きつくて支配的”だと言い、繊細なイーサンのことが心配だと、家族の複雑さを嘆きます。

アナはどんな風に複雑なのか聞きますが、ジェーンはパンチを抱いたアナをイラストで描いて渡し、話をそらしました。

2人は深夜までお酒を飲んで語り合い、カードゲームをして過ごし、ジェーンは101番地の家へ帰っていきました。

以下、『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2021 Netflix

水曜日、今度はジェーンの夫アリステア・ラッセルがアナを訪ね、昨日の夕方、家の者が来なかったか聞き、アナはとっさに誰も来ていないと嘘を言います。

そして、仮眠をとっていたアナは階下からの物音で目覚めます。911に電話を入れながら、恐る恐る下へ降りて行くと、そこにいたのはデヴィッドでした。

彼はアリステアに荷ほどきの手伝いを依頼されたので、カッターを探していたと言います。

デヴィッドは薄暗い踊り場の天井を仰ぎ、天窓のカビが酷いと状態を確認しに行きます。天窓はカビ以外に老朽化も進んでいました。

夜、入浴中のアナは家の外からする悲鳴を聞き、ラッセル家から聞こえたものだと思います。

電話番号を調べラッセル家にかけると、イーサンが怯えた様子で出ます。安否を確認しますが彼は何も無いと言い、電話を切ります。

アナが再び外を見ると、ジェーンが家から出てくる様子が見えました。何かに怯えるように慌てて通りを過ぎ去っていきました。

そして、その直後にアリステアから、折り返しの電話が入ります。悲鳴が聞こえたから心配でかけたと話すと、アリステアはそんなことは起きていないと切ってしまいます。

アナは望遠カメラでラッセル家の監視を始めます。するとイーサンの部屋でアリステアが彼を激しく叱責しているのが見え、しばらくするとイーサンが家を出てアナの家に向かって、歩いて来ます。

アナはイーサンを家に入れ、事情を聞こうとしますが、父親のストレスのせいだと答えます。アナはイーサンに連絡先の番号を教え、何かあったらうちに避難するよう言いました。

木曜日、アナは相変わらず薬を飲みながら、飲酒を続けています。正気かどうか確かめるように時間を見て、フラフラしながらソファで寝てしまいました。

そして、また雪が舞い降る、夜空の夢を見て目が覚めます。アナはスマホが見当たらず、パニックになりイライラしながら、ふと窓の外を見ます。

ラッセル家の窓にはジェーンが、誰かと言い争う姿を見ます。ところが突然事態が一変します。

アナは手元にあった望遠カメラで覗くと、ジェーンが言い争っている相手にナイフで刺され、突き飛ばされたのです。

アナは必死にスマホを探し、911に通報します。血まみれのジェーンが、窓越しに助けを求める姿を見たアナは、助けに向かおうと外に出ます。

しかし、アナは途中で発作を起こして倒れ、気がつくと通報した警察によって、家に運び込まれていました。

目の前にはNY市警のリトルと部下のノレッリ、そしてアリステアがいます。アナは動揺しながら、ジェーンはどうなったか訊ねます。

アリステアはアナはジェーンと会っていると、誤解をしているようだと言います。

アナはハロウィンの夜のことを話しますが、アリステアには誰も来ていないと、嘘を言っていたため、矛盾ができてしまいます。

リトルは何はともあれ全員無事で、何ごともなかったと説明すると、アナはカメラで覗き見していたことを言ってしまい、ますます話がこじれていきます。

そこへ“本物”のジェーン・ラッセルが現れます。アナが一緒に語りあったジェーンとは全くの別人でした。

アナはイーサンに証言してもらおうとしますが、そのイーサンもアナは母親とは会っていないと言われます。

状況的にアナの話すことは全て信用されず、リトルはアナに精神的な疾患があると察し、連絡先を置いて「お大事に」と言って去っていきました。

(C)2021 Netflix

金曜日、納得のいかないアナは、“ジェーン・ラッセル”の名前から、“アリステア”のことまでエゴサーチをはじめます。

アリステアは“アトキントン社”の取締役でした。アナは社に電話をかけて、彼がボストン支店に勤務し、退職をしてNYに越してきたことまで調べ上げます。

アナは彼のSNSから同僚の“パメラ・ネイザン”を検索します。すると、彼女はボストン近郊で遺体で発見されたという報道をみつけました。

アナは関係者を装いアリステアの素性を調べ、パメラが彼の秘書をしていたことも掴み、アリステアに疑念を抱きます。

デヴィッドに見解を聞こうと地下室へ行きますが、応答がなく床には彼宛ての郵便が落ちていて、中に“マサチューセッツ州仮釈放委員会”からの通知があります。

彼は仮釈放中でマサチューセッツ州から、出ることが禁止されていました。そして、その晩彼は2、3日時間をくれと言って出て行きます。

アナは望遠カメラでラッセル家の監視を続けています。しかし、それに気がついたジェーンがアナの家に電話をし、覗かないよう忠告します。

土曜日、アナはパンチに餌をあげようと呼びますが姿がありません。探しているうちにデヴィッドの部屋から泣き声がします。

中に入るとサイドテーブルに、ジェーンの付けていたピアスの片方をみつけ、混乱し始めます。

通りを歩くイーサンを見つけると、大声で声をかけジェーンの行方を聞きます。イーサンはアナの誤解と混乱であって、母親には会っていないと言います。

それでもアナはイーサンは父親をかばうために、嘘をついていると思い込みます。そこへアリステアが現れ、イーサンを殴り引き戻しにきます。

そして、アナに15歳の子供に近づく不適切な行動したと詰め寄り、酔っぱらってひきこもるイカれた女と罵倒し、イーサンに近寄らないよう強く釘を刺します。

日曜日、イーサンは荷物を背負って、ワゴン車に乗り込み出かけていきまました。

アナが自分の撮ったラッセル家の写真をチェックしていると、画像添付されたメールが届きます。

その画像は熟睡するアナの寝顔でした。アナはリトルを呼び、メールの送信者を調べるよう迫ります。

ノレッリは家に誰かが侵入した痕跡はないと報告し、メールはアナの自作自演ではないと言い出します。

そこに再びアリステアが乗り込んできて、アナが彼の勤め先まで電話をして、あれこれと詮索をし息子をたぶらかしているとリトルに訴えます。

アナはアリステアが、イーサンに虐待していると反論しますが、アナの言っていることは、薬物依存の妄想だと抗議します。

アナは最後にジェーンが描いてくれた、イラストを思い出し、サインの筆跡を調べるように言います。

そこへデヴィッドが帰宅し、昨夜の事情聴取をされます。アナはテーブルにジェーンのピアスがあったというと、人のプライバシーエリアに入ったと、悪い印象を与えます。

デヴィッドはピアスは知人の“キャサリン”の物だと説明し、昨晩のアリバイも確認されました。

するとアナの混乱がひどくなり、デヴィッドの仮釈放のことや、貸したカッターを盗まれたと言い出します。

アナは支離滅裂になり、誰からも信じてもらえない状況になりながら、イーサンが虐待にあっているから助けてほしいとリトルに言います。

そして「ここに夫がいたら、あの子を助けてくれるはず」と言うと、ノレッリが「あなたの家族は亡くなりました」と、告げます。

アナは更に自分のせいで、子供になにかあったら耐えられないと、言うと「お気の毒ですが、あなたの家族はすでに亡くなっています」と重ねて言われ、現実と向き合い始めます。

アナと夫のエド、娘のオリビアは雪山でクリスマスを過ごすため、ドライブに出かけました。

ところがそれは、アナの浮気が原因で別居生活をし、彼女が娘と過ごす唯一の約束でした。エドにとってそれは苦痛の旅で、オリビアにとっても不誠実だと言います。

そこにアナのスマホに着信が鳴り、エドその浮気相手からだと思い、険悪な雰囲気で言い争いとなって、スマホを落としてしまいます。

彼女はそれを拾おうと一瞬目を離して、ハンドル操作を誤り木に激突し、自動車は横転します。

アナは何とか脱出しスマホで助けを呼ぼうとしますが、“圏外”で連絡が取れず、エドとオリビアを死なせてしまいました。

リトルは主治医から病気や、薬の副作用について、“幻覚”を見ることがあると聞いたと話します。

現実を受け入れたアナは、振り返り自分のせいで迷惑をかけてしまったと、反省の言葉を言います。

月曜日、アナはランディに自分の方に監視が必要なこと、薬の飲み忘れがあったり、アルコールも制限していなかったと話します。

何よりも心の状態が悪くなっていたのに、報告できなかったと告げました。

デヴィッドは午後には出て行くことになり、セラピーも週3回になると決めましたが、アナは別のことを考えていました。

彼女は隠し持っていた錠剤を持ち出し粉状にします。セルフィーで動画を撮り始めます。薬を飲んで自死する準備でした。

動画の最後には「私はただ許されたい。過去に戻ってもう一度、違う生き方をしたい」そうメッセージを残してますが、勇気が出せず決行はしませんでした。

アナはスマホに保存されている娘の写真を見ているうちに、ジェーンが来ていた晩に撮ったパンチの写真をみつけます。

パンチとワイングラスが写っていますが、そのグラスに人の顔も写り込んでいて、あの晩ジェーンと名乗った女性といたことは、幻覚ではなかったと確信します。

そこにデヴィッドがやってきたので、彼女は写真を見せると彼は「彼女の名前はケイティ、イーサンの実母だ」と言います。

デヴィッドは水曜日の晩に泣いているケイティと会い、泊めイーサンの話を聞いたと話します。

彼女は19歳でイーサンを生みますが、麻薬中毒で家出をし2年後、アリステアが見つけ出して息子を引き取り、ケイティは刑務所に服役していたと話します。

ラッセル家はケイティとの関わりを避けるために、ボストンを引き払ってNYへ来ていました。

アナはそのことを警察に行って証言してほしいと頼みますが、デイヴィッドは話に応じる気はなく出て行きます。

アナは追いかけますが、画像を取り込んだパソコンを落下させしまい、しばらくすると階下から、大きな物音がします。

様子を見に行こうとすると、そこに血の付いたナイフを持ったイーサンが現れます。

彼は日曜の朝、“野外生活治療プログラム”へ出発したふりをして、アナの家に潜んでいました。

そして、デヴィッドを刺殺しアナの犯行にみせかけようと現れました。彼はアナの自殺をほのめかす動画のことも知っています。

イーサンはパメラを殺害し引越しすとき、不動産屋が父親にアナの事情を話すのを聞き、次のターゲットはアナと決めていました。

イーサンは人の死ぬパターンを見たいと、アナが準備した薬を飲むよう迫ります。彼女は飲むふりをしてワインボトルでイーサンを殴り、屋上に逃げ出しパニック発作をおこします。

アナはイーサンから暴行されながら反撃を繰り返し、老朽化の酷い天窓にイーサンを押し倒すと、力いっぱい押し付け落下させました。

リトルは意識の回復したアナに話は全て、真実だったと謝罪します。そして、スマホに保存されている、不都合なデータ(自死をほのめかした動画)は削除しておくよう図らいます。

さらにリトルはアナに訊ねます。「あなたはもう大丈夫ですよね?」と……。アナが頷くとリトルは安心して病室を出て、アナにも安堵が訪れました。

9カ月後、アナは健康を取り戻して、家を引き払い新たな人生を始めます。

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Netflix映画『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』の感想と評価

(C)2021 Netflix

映画『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』は、ヒッチコック映画『裏窓』の主人公が怪我で療養中に室内の窓から隣人に起こる不可解な事件を目撃するというシチュエーションを彷彿させる作品と言われています。

ジョー・ライト監督は、「本作のテーマは“恐怖心の本質”と、“どのようにして人間が自らその恐怖心を作ってしまうか”なのです」とコメントしています。

主人公アナは、自分の犯した罪と事故のせいで大切な娘を失い、緊急事態で連絡ツールのスマートフォンが役に立たず、助けることができなかったという、孤独と不安から“広場恐怖症”になりました。

アナの恐怖心の本質は“背徳の罪”です。許されたい気持ちが強く空回りし、大切な家族に会えなくなる不安が、恐怖心を生んでしまったのでしょう。

結果、広場恐怖症に陥り判断力や自制心が失われ、児童心理のプロでありながら、イーサンの闇を見抜けず、事件に巻き込まれていきました。

「安心」できる「安全」な場所

少年が凶悪犯罪を犯してしまう原因や背景には、育った環境や親とのコミュニケーションにもあると言われています。

イーサンの実母は麻薬中毒者で、父親は社会的地位がありながら、家庭では厳格かつ暴力的な面もありました。

継母はそんな夫に怯え、イーサンにとっても安心できる母親ではありませんでした。おそらくイーサンは、早くから問題行動があって、更生プログラムにも参加していたのでしょう。

アナが自分の家を「ここなら“安全”よ」と言ったのは児童心理学者の目から見た「安心」させる対処法の1つといえます。

また、アナは事故で強い不安に襲われたときに、助けが得られなかったことで、彼女にとって家の外は避けたい場所となりました。

広場恐怖症にとって、家の中にいることが一番「安全」な場所となり、彼女はひきこもりになりました。

“広場恐怖症”の克服法

広場恐怖症の治療法に「暴露(ばくろ)療法」というものがあります。その人が怖いと感じる状況や場所などに、徐々に向き合わせ、恐怖を感じさせなくなるまで繰り返す方法のことです。

暴露療法は一定の効果があるとされる療法です。アナが「傘をさして外に出る」という方法が、その一歩だったのでしょう。

しかし、アナの場合はジェーンを助けたいという思いや、ノレッリが突きつけた「ご家族は亡くなっている」という事実、さらにイーサンが殺人鬼として襲ってくる恐怖で、外に出ることができ、それが一種の「暴露療法」だったともいえます。

まとめ

映画『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』は、アナの軽薄な行動で、大切な家族の命を奪う結果を生み、長期間“広場恐怖症”で苦しみます。

また、近隣を覗き見する悪趣味を生んで、凶悪な犯罪に巻き込まれていきました。

それはイーサンが言った通り「自業自得」だったかもしれません。しかし、自分で蒔いた種は自分で刈るともいいます。アナは苦しみもがきながら、病を克服し新しい人生を歩み始めました。

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