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Entry 2022/07/25
Update

『グレイマン』ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。Netflixオリジナルのアクション映画おすすめとは⁈|Netflix映画おすすめ104

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第104回

今回ご紹介するNetflix映画『グレイマン』は、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ エンドゲーム』(2019)のアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が手がけたアクションスリラー映画です。

CIAの雇われ工作員通称シックスは、重要機密を取引する“悪人”を暗殺する指令を請負ますが、標的から意外な事実を知らされ、組織の隠された闇を察知したことで、命が狙われ逃亡生活を余儀なくされます。

組織はシックスを抹殺するため、極悪非道な仕事請負人ロイド・ハンセンを使います。ロイドはシックスを暗殺するため懸賞金を懸け、国際的な暗殺集団を使って彼を追い込みます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

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映画『グレイマン』の作品情報

(C)2022 Netflix

【公開】
2022年(アメリカ映画)

【監督】
アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

【原作】
マーク・グリーニー

【脚本】
ジョー・ルッソ、クリストファー・マルクス、スティーブン・マクフィーリー

【原題】
The Gray Man

【キャスト】
ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ジェシカ・ヘンウィック、ヴァグネル・モウラ、ダヌーシュ、ジュリア・バターズ、レジ=ジーン・ペイジ、ビリー・ボブ・ソーントン、アルフレ・ウッダード

【作品概要】
きみに読む物語』(2005)、『ラ・ラ・ランド』(2016)のライアン・ゴズリングがCIAの工作員通称シックス(コートランド・ジェントリー)役を演じ、シックスの命を狙うロイド・ハンセン役には、マーベル・コミックの実写映画「ファンタスティック・フォー」シリーズ、「キャプテン・アメリカ」シリーズのクリス・エバンスが演じます。

共演には『ブレードランナー 2049』(2017)でブレイクし、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020)の出演も果たしたアナ・デ・アルマス、大ヒットTVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のナイメリア・サンド役で知名度をあげた、ジェシカ・ヘンウィック。

映画『グレイマン』は2009年に出版された、マーク・グリーニーの小説「暗殺者グレイマン」が原作で、Netflixオリジナル映画史上最も高額な制作費用、2億ドルが投資されました。


映画『グレイマン』のあらすじとネタバレ

(C)2022 Netflix

コートランド・ジェントリー は、1995年に殺人罪でフロリダの刑務所に収監されていましたが、D・フィッツロイという男が面会に来ます。

彼は悪党を抹殺する“見えない存在(グレイマン)”として、CIAに仕えることを条件に釈放するという取引をもちかけます。

フィッツ(フィッツロイ)はコートランドの罪状に関して、それに至った理由は妥当だったと彼を擁護し、彼の価値を活かすために、その報われなかった心の傷みや苦悩を、世の中のために役立てろと言います。

コートランドはCIAの精鋭部隊“シエラ”に属し、“シエラ・シックス”というコードネームでCIA工作員(暗殺者)となります。

18年後、バンコクにいたシックスは、ラングレーのCIA戦術作戦本部から、国家機密情報の売買をするため、パーティー会場に現れるダイニングカーという男を取引完了前に暗殺するよう指示されます。

シックスの相棒CIA捜査官のダニ・ミランダは、取引現場となる部屋の階下にある部屋の鍵を彼に渡し待機しました。

作戦本部の本部長D・カーマイケルは、部下のスーザン・ブリューワーに“信用していない”、シエラのシックスを起用した理由を聞くと、彼女は単純に暗殺者として腕のいい彼が、バンコクにいたからと答えます。

ところが階下から多くの民間人が行き交う様子を見ているシックスは、いざ引き金を引こうとした時、標的者の近くに子供がきてしまい、犠牲者が出てしまうと作戦を中断します。

監視カメラのモニターを見ていたカーマイケルは苛立ちます。しかし、シックスは作戦を変更し、命令を遂行します。

非常ボタンを押し電源を落としたシックスは、パーティー会場へ向かいます。ダイニングカーは何かを察したように「取引は中止だ」と撤収し始めました。

そこにシックスの影が忍び寄り護衛を次々と倒すと、ダイニングカーを追い詰めていきました。すると彼はシックスに「オレはお前のことを知っている、“シエラ・シックス”」と……。

ダイニングカーはシックスにCIAから自分のことを聞いていないか訊ねます。なんとダイニングカーもまた、シエラの工作員で“シエラ・フォー”だと言いました。

彼はシックスに“身内殺しの指令”だと見逃すように交渉しますが、信用しないシックスは命令の遂行を続けます。

シックスはダイニングカーに致命傷を負わせ、彼にスカウトは誰だったか聞くと“フィッツロイ”と答え、訓練を受けた場所もテルアビブの秘密基地だと、関係者しか知り得ないことを答えます。

ダイニングカーはCIAの上層部には真実がなく、特にカーマイケルは最悪だと罵ります。そして、機密情報の入ったペンダントを差し出し、シックスにカーマイケルを潰すよう託します。

そこにミランダが合流すると、ダイニングカーの暗殺に成功したことを本部に伝えます。シックスは彼女に彼は“シエラ”だと伝えると初耳だと答えます。

ミランダは(シエラの)機密を握っていたのかもというと、シックスはシエラにはないと答え、ミランダと他の捜査員に引継ぐと現場を去っていきました。

捜査員はダイニングカーの資産回収を行いますが、機密情報の回収には失敗をしました。カーマイケルは、“シエラ”を旧体制の遺物で抹消すべき存在だと言い捨てます。

1人になったカーマイケルは監視カメラの録画を観ながら、シックスに何のマネかと説明を求め、標的から回収した“ブツ”はないか聞きます。

シックスはロケットペンダントの中に、マイクロチップがあるのをみつけると、標的が何者でブツとは何なのか質問を返すと「悪党で非常にまずいもの」と答え、シックスに最後のチャンスだと告げます。

シックスはイースポーツカフェでマイクロチップの中身を確認します。いくつかのフォルアーファイルと、カーマイケルがサブネイルになった動画がありました。

いずれも閲覧するにはパスワードが必要でした。そこにミランダから撤退すると連絡が入りますが、シックスは離反すると告げマイクロチップはどこかに送ります。

以下、『グレイマン』ネタバレ・結末の記載がございます。『グレイマン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2022 Netflix

シックスはCIAを引退しアゼルバイジャンで暮らしているフィッツに電話をし、彼を引退に追い込んだカーマイケルには、何か裏があるらしいと伝えます。

さらにシックスはフォーという男を任務で殺したと伝え、彼からカーマイケルが欲しがっている物を預かったと話します。

姿をくらましたシックスが、ペンダントを持っていると確信したカーマイケルは、ロイドという別の工作員を雇い、シックスの暗殺とペンダントの奪還を企てます。

ロイドを常軌を逸した非道な仕事請負人です。スーザンは反対しますが、カーマイケルは目的のためには手段は択ばないロイドに指令を出しました。

そして、潜伏するシックスをおびき出すために、家族同然のフィッツを利用しようと、彼の身内を誘拐しました。

カーマイケルが盗まれた機密情報には、スーザンも関わっているようです。カーマイケルは全ての責任を彼女に向けられるよう、スーザンをロイドの補佐に付けました。

また、次の指令先に向かおうとする、ミランダ捜査官をベルリンに変更させます。一方、ロイドは葬儀に参列するフィッツを待ち伏せします。

フィッツは彼の名前を知っていました。ロイドは元CIAの工作員でしたが、5ヶ月余りの間にシエロに所属していた工作員を、非道なやり方で殺害しクビになっていました。

ロイドはシックスに関するデータは何一つないが、フィッツの情報から身内の子供を誘拐したと示唆し、シックスの居場所を言うよう迫ります。

フィッツは移送中のシックスを殺し、資産を回収するよう連絡します。移送機内で眠っていたシックスでしたが、奇襲攻撃を察知し機内で乱闘が始まります。

格闘で輸送機は大破しますが、シックスは無事に脱出して、フィッツに連絡をします。彼は姪が誘拐され脅されたと話しました。

ロイドは2人の人質を盾に資産を渡すよういいますが、シックスは完全にロイドを拒否します。覚悟ができたフィッツはロイドに「シックスの意志は超人的に強い」と忠告します。

しかし、ロイドは世界中の精鋭暗殺部隊を使って、シックスの協力者を探し出し、締めあげて追い詰める・・・衝動的で非人道的な男だからできることだと、余裕を見せました。

2年前、CIAのロンドン支局にいたシックスは、マーガレット・ケイヒルのオフィスに呼ばれ、CIAのDC支局からフィッツの居住先が漏洩したと聞かされます。

そこでケイヒルは局に警護を要請したが、なぜかカーマイケルに却下されたと話します。任務があるフィッツに代わり、シックスが姪の警護を命ぜられました。

姪のクレアは心臓に疾患があり、ピースメーカーを装着したばかりでした。シックスはこの任務に困惑しますが、クレアの命さえ守ってくれればいいと指示されます。

クレアは古いレコードを聴いたり、静かにくらしていました。シックスは任務以外に彼女に関わろうとしませんが、クレアはシックスとのコミュニケーションを試み、親しくなろうとします。

ある晩、体調が急変したクレアを病院へ搬送し、命を救います。家に帰ってきたクレアにシックスが気分はどうかと尋ねると、彼女は「フツーの木曜日」と答えます。

クレアはフィッツをたった一人の家族だと慕い、シックスもまた家族同然の人だと言うと、クレアは「じゃあ、私とも家族ね」と言います。

ところがその晩はもうひと悶着あります。屋敷に侵入者が現れ格闘しますが、クレアのかけるレコードの音でかき消します。

しかし、曲が終わったタイミングで物音に気づいたクレアが、「大丈夫?」と不安げに声をかけます。シックスは冷静に「フツーの木曜日だ」と答え、安心して眠るよう言います。

現在、シックスは貨物列車でウィーンに入ります。隠れ家に常備してある現金や銃の入った荷物を持って、“洗濯屋”と称した偽造パスポートを作る男のところへ向かいました。

シックスは洗濯屋にクレアのピースメーカーのシリアルナンバーを調べるよう言います。

シックスは洗面所へいき、顔を洗い血だらけのTシャツを脱ぐと、自分の手の甲につけられた火傷の跡をみつめ、父親からの虐待を思い出します。

父親は火傷は脳をショック状態にし、それが恐怖や痛みと闘う方法だと、車のシガーライターをシックスの腕に押し当てました。

身支度を整え出てくるとピースメーカーのシリアルナンバーは検出されていました。しかし、洗濯屋は既にロイドに買収され、シックスを裏切り落とし穴へ落とします。

一方、ベルリンへ向かったメリンダは、カーマイケルからシックスが離反したタイミングを聴取しました。彼女は任務を遂行した彼に怪しい様子はなかったと話します。

カーマイケルは自分の華麗な経歴について話しますが、ハーバードを卒業後8年で本部長の座に就いたその秘訣は、足を引っ張る弱者を切り捨てることだと言います。

そして、資産を持って逃げるシックスをかばえば、メリンダの輝かしい経歴に、明るい未来設計はないとプレッシャーをかけます。

シックスは手製の爆弾を作り、部屋から脱出する準備を急ぎます。アジトに向かっていたロイドは、シックスの居場所を掴むと進路をウィーンに変更します。

カーマイケルはシックスが所属する“シエラ”について、メリンダに聞きますが、彼女は非公式に送り込まれる謎の集団という認識です。

彼はシエラのメンバーについて次々に破滅し、死亡したり刑務所へ逆戻りする中、シックスが最後の1人で人に害を及ぼす悪党で、かばう価値はないと言います。

メリンダはしばらく任務から外されることになりますが、シックスがウィーンで発見されたとメールが入り、彼のメガネに反射した内容をメリンダは解読します。

聴取室から出ないようメリンダに告げ、カーマイケルは出ていきますが、メリンダはしばらく考えを巡らせると、命令に背き支局をあとにしました。

洗濯屋にはロイドの集団が到着すると、シックスは爆弾を爆破させ穴から脱出するとロイドと直面し、手りゅう弾で部屋を爆破させ逃げました。

執念深いロイドはシックスの背後をとりますが、さらにその後ろからミランダが麻酔銃を打ち、ロイドを眠らせシックスを援護しました。

ロイドはクロアチアのアジトへ向かい、フィッツはクレアと対面します。スーザンは手段を択ばないロイドに腹を立て、自分のキャリアを心配します。

(C)2022 Netflix

シックスを助けたメリンダは自分のキャリアが危ういと、彼にグルでないことを証言するよう言います。しかし、誰がシックスの意見を信じるのか聞きます。

メリンダは手にしたチップを本部に渡すよう迫りますが、シックスは自分がもらったものと反発し、所持しておらずデータは暗号化されていると言います。

シックスの命を救ったのと引き換えに、暗号チップのある場所を教えるよう迫ると、ロンドン支局のケイヒルが隠居し住んでいるプラハに送ったと教えます。

ロイド側はメリンダをシックスの助っ人と判断し、シックスが“何か”を国際郵便で送ったことを掴みます。

ケイヒルは余命3ヶ月の体でしたが、暗号チップを解析していました。そこにはカーマイケルの悪事が残されていました。

許可の下りていない拷問や暗殺、爆破等をロイドにさせ、CIAを私設暗殺団のように使っていました。

カーマイケルは権限を最大限にするために、自分やフィッツを追い出しシックスを殺そうとしているのだと言います。

ミランダがそこまでする得がなんなのか聞くと、影の政府が動き彼の悪事を隠蔽し、昇進させている大物が1人いると分析します。

プラハに集結した暗殺集団がケイヒルの家に襲いかかります。爆発や銃撃戦が起こり、警察も出動しますが目的を果たすためには警官隊も攻撃します。

ケイヒルは防弾車のキーをミランダに渡し、シックスを避難口へ誘導すると、おとりとなって部屋に残り、暗殺者が侵入したところで手りゅう弾を爆発させます。

暗殺軍団はシックスへの暗殺に手こずる中、駆けつけた警察にも容赦なく攻撃し、街中は大惨事になりますが、シックスによって全滅し暗殺には失敗します。

クロアチアではプラハでの破壊行動がCIAの存亡にかかわると、スーザンは慌てふためきますが、タミル人暗殺者ローンウルフが、シックスを追跡中と連絡が入ります。

シックスとミランダは病院に潜入し、クレアのピースメーカーの遠隔操作で、幽閉されている場所を特定します。しかしローンウルフが彼らに迫ってきました。

けが人でごった返している病院で、ローンウルフとの激闘が始まるとシックスはチップの入ったペンダントを彼に奪われ、逃げられてしまいます。

ペンダントはロイドの手に渡りますが、彼は資産回収が成功したにも関わらず、クレアを生かしておこうとは考えていませんでした。

スーザンはこれ以上CIAの規則を破れないと焦り、ローンウルフも少女が殺害されると聞いて、ロイドに嫌悪感を抱き始めました。

ミランダが作戦室にロケットランチャーを発射し、内部をかく乱し潜入したシックスは、フィッツとクレアの救助に成功しますが、フィッツはクレアを守るため、犠牲になって死にます。

ローンウルフが瓦礫の中で、ペンダントを拾いマイクロチップを中に戻します。ミランダは彼と遭遇し戦いますが、彼女は倒れ絶体絶命になります。

しかし、彼女の顔を見たローンウルフは、CIAやロイドたちを下劣な連中だとつぶやき、ペンダントを受け取るよう差し出します。

中庭でロイドとシックスは死闘を繰り返します。シックスは噴水に頭を沈められ、溺死させられそうになり、この時も父親からの虐待を思い出します。

彼は弟の身代わりになり守っていましたが、このままだと自分が死に、弟の身も危ないと彼は父親を殺害しました。

しかし、父親の虐待は証明されることなく、世間は父親を殺害した罪に言及し、シックスは刑務所に収監されてしまいました。

シックスは反撃しロイドの首を締めあげますが、スーザンが一連の大惨事やCIA関係者の死に関する全責任を、ロイドに負わせるため射殺します。

ミランダは拘束されペンダントは、スーザンの手に入りカーマイケルによって破棄されます。

2週間後、ワシントンDCのCIA支局では、ロイドの起用に関して言及されますが、情報提供の協力などにより、カーマイケルとスーザン、ミランダの処遇は軽く済みます。

カーマイケルとスーザンはシックスの病室へ向かいますが、彼は食事も睡眠もとらず、薬の副反応で寝たきり状態だと聞かされます。

ところがエレベーターの扉が開くと、警護にあたっていた兵士は倒され、シックスは病室から逃走していました。彼の向かった先はクレアが保護されている家です。

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映画『グレイマン』の感想と評価

(C)2022 Netflix

映画『グレイマン』はNetflixオリジナル映画として、史上最高、2億ドル(約276億円)の製作費をかけたアクション超大作です。

2022年7月15日(金)より一部の劇場で公開されると、鑑賞者からはノンストップアクションの迫力に、お墨付きといった感想が寄せられました。

莫大な制作費もさることながら、アクション映画「アベンジャーズ」シリーズのアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が監督を務めた、というだけでもド迫力なアクションシーンに期待度が高まります。

したがって見どころはズバリ、迫力のアクションシーンです。『グレイマン』は現実の世界が舞台で、登場する武器も実在する物なので、現実味があるところに痛快さだけでなく怖さも潜みます。

ストーリーは不遇の人生だった男を組織がリクルートし、悪を倒していく……そして、組織の裏切りや黒幕の存在も見え隠れする、といった王道ストーリーです。

本作はCIAのエリートが不正の証拠を握られ、もみ消すために職権乱用するところから始まります。

しかし、不正を握った男、指名した暗殺者、暗殺者の命を狙う殺し屋、全て“相手が悪かった”・・・という、CIAの面目や威信など関係のない、“男の意地の張り合い”が国家レベルの大騒動になった話です。

本作はマーク・グリーニーの小説が原作で、“グレイマンシリーズ”になっています。続編、もしくは007のように、グレイマンシリーズが生まれても不思議ではないでしょう。

Netflixはそれを目論んでいているようですが、本作並み、もしくはそれ以上のスケール感に大きな期待が寄せられ、それには制作費という問題があるのも否めません。

虐待から体得した、暗殺者の素質

シックスの暗殺者の素質は、幼い頃に受けた父親からの虐待でした。父親自身も痛みや恐怖を消す方法として、彼に肉体や精神に虐待を与えました。

父親は一度、体得したら一生使えると教えた通り、ロイドからの執拗な攻撃にも耐え、2週間飲まず食わずで、睡眠も取らない強靱な精神力が培われました。

また、虐待が父親殺しの情状酌量にならず、社会の不条理も彼の心を傷つけ、たやすく信用しない用心深さも身につけました。

フィッツロイは理不尽な理由で服役している犯罪者の心理に共感し、CIAという社会的信用の高い組織の一員にすることで、彼らの自尊心を取り戻させ、忠誠心を植えつけました。

シエラ・フォーがCIAの闇を掴んだのは、フィッツロイをはじめとする“シエラ”への圧力から、独自調査をしたことからだと推測します。

しかし、フォーをはじめとする他のシエラの人材とシックスには、大きく違う点がありました。

守るべき者がいる真の強さ

シックスには父親の虐待から弟を守るという、強い意志がありました。そして、フィッツロイの姪クレアとの出会いで、再び守るべき家族ができたことです。

守るべき者がいることで、もともとある強い精神力は倍増するものです。シックスの超人的な意志はそこにあり、フィッツロイの意志もまたクレアの存在が大きかったといえます。

カーマイケルやスーザンは利己的で他人を犠牲にし、同僚すらも裏切り利用するほど、自己中心で下劣な人間です。ロイドも感情が抑えられない、病的なサイコパスでした。

CIAとはアメリカの国家情報機関です。国の安全保障政策のための組織に悪を企てる者がいる時点で、国を守るべき組織の真の強さが失われています。

そこに着目したフィクションではありますが、昨今の世界情勢を鑑みた時、アメリカの弱体化を垣間見た気持ちにもなりました。

「守るべき者は誰なのか?」それを忘れた時、巨大組織も音をたてて崩れていくのかもしれません。

まとめ

(C)2022 Netflix

映画『グレイマン』は、父親の殺人で服役中のコート・ジェントリーが、CIA監視官D・フィッツロイにスカウトされ、機密暗殺組織“シエラ”の6番目のメンバー“シックス”となり、CIAの不正を掴んだ男を仲間と知らずに暗殺してしまうことから、命を狙われる身となる話です。

本作はストーリー性よりも、ド派手なアクションシーンが見どころとなりますが、人間心理の根幹部分も問われる作品です。

人はいかに人を信じ人のために戦えるか。シンプルなことでありながら、その意志はたやすく崩されることも訴えていました。

もう1つ見どころとして抑えたいのは、“いかにも”といったキャスティングではないところです。

優男風なライアン・ゴズリングが超人的な暗殺者役で、守りたいヒロインタイプのアナ・デ・アルマスが、ロケットランチャーをぶっ放すCIA工作員を演じるなどが、さらに痛快さを倍増させています。

シリーズ化の動きもある映画『グレイマン』は、本作で明らかになっていない、黒幕の存在やその陰謀があるので、シリーズ化は間違いないとみることができるでしょう

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