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Entry 2018/06/20
Update

「メイズ・ランナー」シリーズと人気小説を映画化したSFスリラー作品の系譜|SF恐怖映画という名の観覧車2

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile002


(C)2014 Twentieth Century Fox Film.

前回のプロファイル001では「ホラー」の魅力の一端について触れていきました。

今回のプロファイル002では、若者からの人気を集める「SF」というジャンルについて考察を深めていきましょう。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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若者に人気の「SF(サイエンス・フィクション)」

一括りに「SF」と言っても、その中には様々なサブジャンルが存在します。

それは『スター・ウォーズ』(1977)のような、宇宙全体を跨いだ壮大な物語を描く「スペースオペラ」であったり、近未来を描いているにも関わらず、どこか現在よりも退廃的な世界観である「サイバーパンク」など、しっかりとした定義はありませんがとても数回のコラムでは語り切れない量の世界観がある恐ろしいジャンルです。

しかし、そんな計り知れない量のサブジャンルを抱える「SF」の中でも、特に若者に人気なのが「SFスリラー」です。

本国で大ヒットを記録した『ハンガー・ゲーム』(2012)


2008年にアメリカで発売された小説『ハンガー・ゲーム』。

この小説は、若者を中心に日本円にして数十億円もの売り上げを記録し、2012年にはアカデミー賞女優、ジェニファー・ローレンスを主演に続編含め3部作で映像化され、映画でも大きなヒットを記録しました。

富裕層によって支配される国家において、年に1度開催される、無差別に選ばれた貧困層の人間同士で殺し合いをさせる「ハンガー・ゲーム」。

最後の1人になるまで続く殺人ゲームの参加者に選ばれた妹の身代わりとして、ゲームへの参加を決めた少女カットニスを主人公にした壮大な革命の物語です。

この作品には、「ハンガー・ゲーム」と言う殺人ゲームにおけるカットニスの生き残りを描く「スリラー」と、富裕層による完全監視の世界への叛乱を描く「ディストピアSF」の2つの要素が入っており、この「SFスリラー」的要素が若者の心を掴んでいることは間違いありません。

『ハンガー・ゲーム』自体は、カットニスのマスメディアやアイドル性を利用した「ハンガー・ゲーム」での処世術や、反乱軍に迎え入れられたカットニスが募らせる、自分たちを虐げてきた国家と同じ行動をする反乱軍への疑念など、単なるティーンエイジャー向けの映画に収まらない作品です。

しかし、一方で日本での評価や興行収入は芳しくなく、イマイチ「なぜ世界で人気があったのか」にピンと来ない人も多いはずです。

ですが、この「SFスリラー」と言うジャンル。実は日本でも若い世代に大人気ということは今までの作品で既に証明されているのです。

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日本における「SFスリラー」とは

『ハンガー・ゲーム』の説明を見たり、実際に作品を鑑賞した人の中には「この設定どこかで見たような……」と思う人も多いと思います。

深作欣二監督の映画『バトル・ロワイアル』(2000)

1999年、幻冬舎より発売された高見広春による小説『バトル・ロワイアル』は、国によって中学生同士が殺し合いをさせられる、と言う衝撃的内容が話題を呼びました。

翌年には藤原竜也を主演、深作欣二を監督に映像化もされましたが、映像化により更にショッキングになった内容に国会でも審議されるほどの騒ぎとなります。

しかし、R15と言う制限とは裏腹に若者を中心に好成績を叩き出し、海外でも絶賛の声が相次ぎ、続編の製作も早々に決まりました。

当時、小学生であった私もこの作品に対する興味は強く、若者特有の「怖いモノみたさ」が刺激される強烈なディテールの作品だったのです。

柴田一成監督の映画『リアル鬼ごっこ』(2008)

『バトル・ロワイアル』の衝撃から続き2001年、自費出版小説として出版された『リアル鬼ごっこ』。

「佐藤」と言う苗字を減らすことを決意した国王が、捕まれば死が確定する「リアル鬼ごっこ」を開催。

国家単位で行われる殺戮から生き延びる青年の活躍を描いた今作は、荒削りの作品ながらティーンエイジャーを中心に100万部以上を売り上げる人気となります。

2008年には石田卓也主演で映像化され、少館上映ながら製作費の5倍以上の興行収入となり、原作者である山田悠介の作品は、若者たちを中心に人気を集めることになりました。

このように、日本でも理不尽なゲームに巻き込まれる「スリラー」は根強い人気を誇り、世界観の構築として使われる仄かな「SF」要素を含めた「SFスリラー」は1つのジャンルとなっているのです。

最終作が上映中の「SFスリラー」3部作『メイズ・ランナー』(2014)

そして、『ハンガー・ゲーム』に続く「SFスリラー」としてアメリカの若者の心を掴んだシリーズが、現在公開中の『メイズ・ランナー/最期の迷宮』(2018)にて終幕となる「メイズ・ランナー」シリーズです。

実は今回紹介させていただいた映画たちは、「SFスリラー」の中でも「理不尽なゲーム」と「理不尽を迫る体制への反抗」がテーマな作品群でした。

日々を生きる中では感じることの出来ない「非日常」とそれを乗り越える「勇気」や「冒険」。

「メイズ・ランナー」シリーズでは「巨大な迷路」と言う「非日常」的舞台設定と、少年少女たちを襲う自然の驚異と何かを企む企業、いわば「体制への反抗」がこの作品でも描かれており、単なる「スリラー」とは一線を画しています。

突如、巨大な迷路の中心部にある集落で目を覚ましたトーマス。同じ境遇の仲間と共に迷路を乗り越えた先に待ち受けるあまりにも過酷な現実とは。

「SF」+「ハリウッド」ならではの、壮大な映像美で描かれるシリーズ最終作を、前2作を復習の上劇場で鑑賞してみてはいかがでしょうか。

映画『メイズ・ランナー1』を
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映画『メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮』を
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当記事でご紹介している動画の配信状況は2018年6月の情報になります。

動画の配信状況が変更となっている場合もございますので、公式サイトで最新情報をご確認ください。

次回予告

次回のプロファイルでは、『スター・ウォーズ』の歴史と「スペースオペラ」の礎について、紐解いて検証を行います。

次回、6月27日(水)掲載もお楽しみに!

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