連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第18回
エリック・アペルが監督を務めた、2023年製作のアメリカのサスペンスアクションコメディ映画『ダイ・ハート』。
本人役で登場するケヴィン・ハートは、アクションスターになるために決死の覚悟で冒険に挑みます。
果たしてケヴィン・ハートは、ジョン・トラヴォルタやナタリー・エマニュエル、ジョシュ・ハートネットらの助けを借り、大いなる目標を達成できるのでしょうか。
2023年2月24日(金)よりAmazonプライムビデオで配信された、ケヴィン・ハート主演で贈るサスペンスアクションコメディ映画『ダイ・ハート』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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映画『ダイ・ハート』の作品情報

Amazonプライム『ダイ・ハート』
【配信】
2023年(アメリカ映画)
【原案】
トリッパー・クランシー、デレク・コルスタッド
【監督】
エリック・アペル
【キャスト】
ケヴィン・ハート、ジョン・トラヴォルタ、ナタリー・エマニュエル、ジャン・レノ、ジョシュ・ハートネット
【作品概要】
アメリカのテレビドラマ「New Girl~ダサかわ女子と三銃士~」シリーズのエリック・アペルが監督を務めた、アメリカのサスペンスアクションコメディ作品です。
「ジュマンジ」シリーズのケヴィン・ハートが主演を務め、『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)や『グリース』(1978)のジョン・トラヴォルタや、「ワイルド・スピード」シリーズのナタリー・エマニュエルら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『ダイ・ハート』のあらすじとネタバレ

Amazonプライム『ダイ・ハート』
俳優としても活躍するアメリカの人気スタンダップコメディアンのケヴィン・ハートは、人気アクションスターのドウェイン・ジョンソンと共演した新作映画の宣伝のため、「リア&マイキーのエンタメ情報」という生放送のエンタメ番組に出演していました。
そこでケヴィンは、アクションスターになることを夢見ていると語ります。しかし今までお笑いキャラを演じることが多かったせいで、MCの2人は真面目に取り合ってくれません。
機嫌を損ねたケヴィンは、新作映画を思わず「見る価値がないゴミ映画だ」と酷評してしまうのです。
翌日。映画会社は激怒し、ケヴィンの名前を公式ホームページから削除しました。
もう俺は終わりかと落ち込むケヴィンのもとに、マネージャーのダニー・モリソンを介して、アクション映画の超大作を4本も手掛けた映画監督のクロード・ヴァン・デ・ヴェルデが会いたいと連絡してきます。
ケヴィンはすぐにクロード・ヴァン・デ・ヴェルデ監督に会いに行きました。するとクロード・ヴァン・デ・ヴェルデ監督から直接、次回作のシリアスで骨のあるアクション映画で主役を演じてほしいとオファーされます。
ですがケヴィンが主役を望むのなら、シルヴェスター・スタローンやジャン=クロード・ヴァン・ダム、スティーヴン・セガール、ジャッキー・チェンら優秀なアクションスターが全員経験している研修プログラムを受けることが条件でした。
最初は研修プログラムなんて必要ないと豪語していたケヴィンでしたが、クロード・ヴァン・デ・ヴェルデの前で屋上から隣の建物に飛び移ることができず、結局彼の指示に従って研修プログラムを受けることにしました。
翌日。ケヴィンは研修プログラムを受けるべく、愛車に乗って人里離れた場所にある養成所「ロン・ウィルコックスのアクションスター養成所」へ向かいました。
ですが、ケヴィンは自身のコーチを務めることになった養成所の講師ロン・ウィルコックスに、自己紹介もせずに手荒い歓迎を受けることに。
ロンは「ここでの文句はクロード・ヴァン・デ・ヴェルデに全て報告することになっている」と忠告した上で、ケヴィンにこの養成所の始まりを教えました。
「ここは1970年代まで食肉処理場だった」「俺は、トレーニング場を欲しがった友人のチャック・ノリスのためにここを買い取り、奴を訓練してやった。そのおかげで今日の奴がある」。
そしてロンは、ケヴィンに養成所でのルールを説明します。
ルールその1、この養成所にいる間は外の世界に出るのは禁止、スマホで外部と連絡を取ることも禁止です。
ルールその2、ここにいる間はいかなる性的交渉も禁止。ルールその3、養成所にいる間はケヴィンのことはケヴィンではなく、FBIのハート捜査官と呼び、ロンのことはロンコーチと呼ぶことです。
レッスン2日目。ロンはケヴィンに耐火仕様のジャケットを渡し、「燃え盛るビルに飛び込み、人の命を救う主人公」という設定を与えます。
ケヴィンはぶつくさと文句を言いながら、与えられた設定で必死に演技しました。
しかしその途中で、ロンが謎の女性と談笑している姿に気をとられてしまったせいで、ビルから出てきた時にはケヴィンのジャケットは燃えて火だるまに。ロンが消火するまで12秒しかもちませんでした。

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そのことでぶつくさ文句を垂れるケヴィンに、ロンは「主役になりたきゃ些細なことで騒ぐな」と注意し、謎の女性を紹介します。
その女性の名はジョーダン・キング、SF・アクション・ホラーなど幅広いジャンルの作品を撮っているアメリカの映画監督キャスリン・ビグローから、アクション映画の大作の主役を打診された女優です。
ジョーダンとの同居生活と合同レッスンを開始することになったケヴィンですが、あからさまに彼女への態度が自分と違ったり、レッスン中に小道具だと騙り本物のナイフを渡してきたりしたロンに文句を言ってばかりでした。
レッスン3日目の朝。ジョーダンはケヴィンに、「私にクロード・ヴァン・デ・ヴェルデの次回作の主役になるために励ましてほしいなら、あなたは役者に向いてない」と、ピシャリと叱りました。
そしてジョーダンは、「私にとってこれはビッグなアクションスターになるための唯一のチャンスなの。必要なことはなんだってする」と、このレッスンにかける強い意志を示します。
ケヴィンはその言葉にハッとさせられ、いつまでも文句ばかり垂れていないで、自分もアクションスターになるべく気合いを入れてやらなければと思いました。
以下、『ダイ・ハート』ネタバレ・結末の記載がございます。『ダイ・ハート』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ロンはアクションスターに欠かせないグリーンバックの知識を得るためのレッスンとして、2人に「死闘を繰り広げたのち、実は味方同士であることに気づいた2人のFBI捜査官」「高層ビルの屋上で爆弾を解除すると地震が発生。そして互いへの熱き想いに気づく」という設定を与えます。
ケヴィンたちは戸惑いつつ、グリーンバックでロンの指示通りに演技をしますが、途中でケヴィンの体を吊るしているワイヤーが切れてしまうのです。
この一件で、ケヴィンの中にあった「ロンは自分を本気で殺そうとしている」という疑念が確信へと変わってしまいます。
実はケヴィンが養成所に来た時、「麻薬の売人グループの2人が、仲間のロドリゴを殺したロンを糾弾し殺そうとする」という設定で、ロンは2人の俳優と芝居をしていました。
ロンはそれをケヴィンの初レッスンだと話していましたが、小道具のバットで殴られ、レッスンでも何度も死にかけたため、いまいち信用することができませんでした。
3日目の夜。ついに堪忍袋の緒が切れたケヴィンは、ジョーダンの制止する声を聞かず、共同生活を送る部屋から脱走。
ロンが立ち入りを禁じた養成所のオフィスに、ジョーダンのピッキング技術を使って忍び込もうとします。

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一方ロンは、養成所がある敷地外に停められたトラックに乗り込みました。
そこにいたのはクロード・ヴァン・デ・ヴェルデと、彼の撮影スタッフでした。実は養成所で行ったケヴィンの芝居は全て、隠し撮りされていたのです。
クロード・ヴァン・デ・ヴェルデは長年、シネマ・ヴェリテの手法(ドキュメント風の映画製作手法の一つ)で、限りなくリアルでハードなアクション映画を撮ることを夢見ていました。
その夢の実現に必要なのは、ケヴィンのような世間に忘れ去られることを恐れた、不完全かつ不安定で崖っぷちに立たされている俳優でした。
クロード・ヴァン・デ・ヴェルデがケヴィンとその才能に出会えたことに感謝する一方、隠しカメラの1つに映る2人の怪しい動きに目を止めたロンは、慌てて養成所に戻ります。
オフィスに忍び込んだケヴィンたちは、ロンが「人には見せられない何か」を隠しているに違いないと思い、オフィス内を捜索。
彼のデスク下にあった金庫に入っていた箱を持ち出し、ロンに見つからないように急いで部屋に戻ります。
ケヴィンたちがオフィスに忍び込んだことを知っているロンは、2人の部屋に突撃。寝たフリを決め込んだ彼らに、「もし俺の許可なくこの部屋を抜け出たら、この養成所に来たことを心底後悔させてやる」と脅します。
ロンの突撃にも脅迫にも動じず、ケヴィンたちは寝たフリを貫き通しました。
4日目の朝、ケヴィンはオフィスから持ち出した箱を開けました。中に入っていたのは、「RBG」というネックレスでした。
ケヴィンは、ここに来た時にロンが2人の俳優から「麻薬ディーラーのロドリゴを殺した」と詰められていたのを思い出し、このネックレスはそのロドリゴのものだと推測しました。
そこへロンからの召集がかかり、ケヴィンは慌てて箱をジョーダンのベッドのそばに、ネックレスをズボンのポケットに隠して、彼女と一緒にスタジオに向かいます。

Amazonプライム『ダイ・ハート』
スタジオで待っていたロンは、自身のお気に入りの教え子である俳優のジョシュ・ハートネットを2人に紹介しました。
ジョシュは「この養成所に来る前は痩せっぽっちの無名俳優だったけど、ロンのトレーニングを受けたおかげで自信がついて、卒業後は立て続けにアクション大作に出られた」と語り、2人を激励しました。
そんなジョシュに、ケヴィンは「ロンに命を狙われている。奴はロドリゴっていう麻薬の売人グループの1人を殺した」と必死に訴えます。
最初はケヴィンの話を信じなかったジョシュでしたが、必死の形相で訴える彼を見て、本当なのかと恩師を疑いました。
ロンはそんな2人の間に割って入り、自身が名付けたジョシュの子供は元気かと尋ねました。
ジョシュが「名付け親のおかげですくすくと育っているよ、ロンおじさんに会いたがってる」と言い、携帯に保存された子供の写真を見せると、ロンは急に泣き出します。
なぜ泣くのか尋ねるジョシュに、ロンは「特注のネックレスが見当たらないんだ」と答えました。
なんとケヴィンが殺しの証拠品だと思い込んだネックレスの「RBG」とは、ロンが敬愛するアメリカ連邦裁判所の判事ルース・ベイダー・キンズバーグのイニシャルだったのです。
その後、ジョシュを加えた次のレッスンが行われました。銃を使ったスタントです。
ロンが考えた設定は、「悪徳警官ハートネットを、ハート捜査官とキング捜査官が追いかけ銃撃戦を繰り広げる」というものでした。
ロンはケヴィンたちに銃を渡し、「お前らに渡した銃には弾が装填されている。扱いにはくれぐれも注意するように」と忠告します。
ですが、ロンのロドリゴ殺しの疑惑が晴れたとはいえ、ケヴィンは未だに彼が自分の命を狙っていると疑い続けているため、荷物をまとめて養成所から出て行こうとするのです。
しかし、肝心のケヴィンの愛車は駐車場にはなく、谷底に落ちていました。
ケヴィンは少し歩いた先で不気味なトレーラーを見つけ、そのすぐそばで車を整備していた大柄な男ウェイロンに声を掛け、2分だけ電話を借りてダニーに助けを求めました。
するとダニーから、アニメ映画『パウンド・パピー4』の短気で頭が良いイタズラ好きなゴールデンドゥードルのデイジー役として出演しないかと直接オファーが来たことを知らされます。
「このオファーを受けて精一杯役を演じれば、コメディ界の巨匠の目に留まり、コメディ界に返り咲くことができるかもしれない」とダニーは言いました。
それを聞いて、ケヴィンは泣きながら自分を責めました。どうしてこうなってしまったんだ、自分の何が悪かったというんだ、と………。
ダニーは「ないものねだりはよせ、君にアクションスターは向いていなかったんだ」と現実を突きつけつつ、この仕事を受けるよう促します。
ダニーがそれに答えようとした時、ウェイロンから助けを求める声が聞こえてきました。
車体の下にいたウェイロンは、ジャッキが壊れて下敷きになってしまったのです。ケヴィンは自分を奮い立たせ、1人で車を持ち上げて彼を救います。
ウェイロンは命を救ってくれたお礼にと、ケヴィンにバイクを差し出しました。ケヴィンはバイクに跨り、養成所へ戻りました。
するとスタジオ内からジョーダンの悲鳴が聞こえ、ケヴィンは木材を持って乗り込みます。
それでジョーダンを撃ったロンたちを懲らしめようとしますが、ジョシュたちに「キングの言うとおり、ケヴィンは本当に僕らが実弾を使うと思ってたんだな」と笑われてしまうのです。
「ロンはイカレ野郎だ!」と怒るケヴィンに対し、空砲の銃を使って彼をからかうロンとジョシュ。しかしそのうちの1発は実弾でした。
これでケヴィンの怒りはさらにヒートアップ。ですが謝罪を求められたロンは、「お前が盗んだ俺のネックレスを返してくれたら謝ってやる」と言い、火に油を注ぎます。
見かねたジョシュが仲裁に入ったおかげで、ケヴィンたちの怒りはひとまず鎮火され、彼は激励の言葉を残して愛車で帰っていきました。
その直後、ロンは素直に実弾の件を黙っていたことを謝りました。ケヴィンも、人殺し呼ばわりしたことを謝りました。
これで一件落着かと思いきや、養成所から出ようとするジョシュの車の前に、突如謎の車が出現。その後部座席から出てきた1人の男が、ロケットランチャーを使ってジョシュの車を爆破します。
ジョシュの爆死なんて台本になかったと酷く動揺するロンとジョーダン。ケヴィンがどういうわけか説明してくれと頼みます。
ジョーダンは「ジョシュの爆死以外は、全て台本に書かれていたことなの」と打ち明けました。ジョーダンはこの撮影のために雇われた女優でした。
ジョーダン曰く、クロード・ヴァン・デ・ヴェルデが本当のケヴィンを撮りたくて、スタジオ内にカメラを沢山隠し、ここでの様子を全て撮影していたといいます。
対してロンは、「麻薬の売人グループから麻薬を買って、ヤバい連中に売り渡したんだ」、「これに怒った麻薬王の甥のロドリゴと俺は喧嘩になって、はずみで奴を殺してしまった。ネックレスもロドリゴのもの」と涙ながらに告白しました。
ジョーダンよりもテンパっているロンに対し、ケヴィンはここで彼から学んだことを、そっくりそのまま彼に教えて励まします。
「俺がここに来た時、あんたは“ここにアクションヒーローはいない。いるのは自分の心の中だ”って言ってたよな」、「あんたの心の中にもアクションヒーローはいる」。
「本物のアクションヒーローはタフで自信家で、些細なことでは動じない奴だ」、そして失敗してしまった時も、自ら責任を果たす」。
「奴らのところへ行って、正直にありのままのことを話すんだ。“ロドリゴを殺してしまったのは事故だった”とな」、「そしてこのネックレスを奴らに返せば、きっと丸く収まる」。
「あんたはただ、自分がいて欲しいと望むアクションヒーローになればいい」と………。

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しかしロンが真実を話し、必死に謝っても、甥を殺された麻薬王ディエゴの怒りは収まりません。
ディエゴはネックレスを差し出してきたロンを銃撃し、目撃者を始末するよう2人の手下に命じます。
ケヴィンたちはひとまず自分たちの部屋に籠城。ケヴィンは死んだふりをして敵の襲撃から逃れようとしました。
しかしジョーダンが戦うことを選んだため、ケヴィンの死んだふり作戦は失敗。格闘の末、ジョーダンを殺そうとした手下のオルティスを、ケヴィンが瓶で頭を勝ち割って撃退しました。
さらに、ケヴィンのダミー人形を使った囮作戦に引っかかったもう1人の手下を、ジョーダンが背後から締め上げて撃退しました。
何とか養成所から脱出できたケヴィンたちでしたが、ケヴィンは森の中にある崖を飛び越えるのに躊躇してしまいます。
その間にディエゴに追いつかれてしまい、崖の向こうでケヴィンを待っていたジョーダンが撃たれてしまいました。
窮地に立たされたケヴィンですが、木の上に苦手なリスがいることに気づき、麻薬王に飛びかかるよう仕向けます。そのおかげでディエゴに隙が生まれました。
ケヴィンはディエゴに何度打ちのめされようと、諦めずに果敢に戦います。本当に死にかけた時、ジョーダンの言葉や彼女とのレッスンでの出来事がケヴィンの脳裏によぎりました。
ケヴィンはイチかバチかの賭けに出て、ジョーダンが使っていた格闘術を使ってディエゴを撃退。ディエゴはそのまま崖の下へ転落しました。
そしてケヴィンは、自分を振るい立たせ、崖を飛び越えてジョーダンに駆け寄りました。
その直後、クロード・ヴァン・デ・ヴェルデが「ブラボー!これにて撮影完了だ」と拍手をしながら、ケヴィンの前に現れました。すると続々と隠れていた撮影スタッフも姿を現します。
殺されたと思っていたロンも、ジョーダンも、ディエゴたちもみんな生きていました。この一連の出来事も全て芝居で、クロード・ヴァン・デ・ヴェルデの映画撮影だったのです。
6週間後。ケヴィンの迫真の演技によって完成した映画をスクリーンに流し、クロード・ヴァン・デ・ヴェルデは映画制作会社に感想を求めました。
スタジオヘッドは「凄く奇怪で暴力的で、こんなおかしな映画は見たことがない」と酷評しつつ、「だがそれでいて、本物(リアル)だ。教えられてできる演技じゃない」、「この映画は最高だよ、心を奪われた」と絶賛しました。
彼にこのアクション映画の主役を演じた感想を求められたケヴィンは、「俺はこの映画の撮影で2つ学んだ。1つはこの映画の撮り方はとても危険だってこと」、「もう1つ学んだことは、共演者いてこその主役なんだということ」だと答え、共演者のロンとジョーダンとハグをしました。
後日。「リア&マイキーのエンタメ情報」でクロード・ヴァン・デ・ヴェルデの新作映画が紹介されましたが、特別ゲストとして招かれたのは主役のケヴィンではなく、リスでした。
映画『ダイ・ハート』の感想と評価

Amazonプライム『ダイ・ハート』
今までアクション映画に出ても主役の面白おかしい相棒役を演じることばかりだったケヴィンは、すっかりアクションスターというよりコメディ俳優というイメージがついてしまいました。
ケヴィンはそのことに不満を抱いていました。だってケヴィンの夢はアクションスターになることだったのですから。
それを笑う人たちにぶつくさと文句を言い、身の丈に合った役を演じるしか俳優として生き残れないという崖っぷちに立たされてしまったケヴィン。
ケヴィンのこのもやもやとした気持ちに、彼と同じようにアクションスターを志している者、自分が希望する役とはかけ離れた役をやらされている俳優は特に心にグッとくるものがあって、彼の言い分に共感できることもあるのではないでしょうか。
また物語の後半で、ジョーダンたちの口から、今までロンのレッスンを受けていたケヴィンの姿は全て隠し撮りされており、ケヴィン以外の皆が台本通りに動いた役者であることが明かされます。
これだけでも十分驚かされますが、その後にあった麻薬王たちとの戦いも芝居かつ撮影の一コマであったことが一番衝撃でした。
まとめ

Amazonプライム『ダイ・ハート』
本人役で登場するケヴィン・ハートが、アクション超大作を4本も手掛けたアクション映画界の巨匠ヴァン・デ・ヴェルデの次回作の主役の座を勝ち取るべく、アクションスターになるための訓練を受ける姿を描いた、アメリカのサスペンスアクションコメディ作品でした。
本作の見どころはもちろん、主人公のケヴィン・ハートがジョーダンとロンの言葉から大事なものを学び、気合を入れてアクションスターになろうと奮闘していく姿と、ケヴィン以外の登場人物が全員、これはヴァン・デ・ヴェルデの次回作の撮影のための演技だってことを知っていたという衝撃の事実です。
これがレッスンではなく、映画撮影の一コマだとは知らないケヴィン・ハートの迫真の演技、そしてこれが台本にある芝居だと思わせないように芝居をするロンやジョーダン役を演じる、ジョン・トラヴォルタ、ナタリー・エマニュエルの役者としての技に観ている誰もが魅了されます。
ジョシュ・ハートネットも本人役で登場し、アクションスターを目指すケヴィンに激励の言葉を贈って格好良く立ち去っていくため、ジョシュ・ハートネットが大好きなファンもアクションスターを志す人にとっても、嬉しいサプライズです。
ケヴィン・ハートやジョシュ・ハートネットが本人役で登場する、アクションスターを目指す崖っぷち俳優の心の葛藤と、彼が主役の映画撮影を描いた、心を奪われるサスペンスアクションコメディ映画が観たい人にとてもオススメな作品となっています。
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