孤高の暗殺者が過去の悪夢と再び対峙するアクション・アドベンチャー
ケイト・ショートランドが監督を務めた、2021年製作のアメリカのアクション・アドベンチャー映画、『ブラック・ウィドウ』。
ロシアの極秘スパイ養成機関「レッドルーム」の壊滅と、そこの女スパイたちを支配する諸悪の根源たる男を抹殺するため、3年間幸せに暮らした偽りの家族と協力し立ち向かう最強の暗殺者の姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
「アベンジャーズ」シリーズをで活躍する孤高の暗殺者、ブラック・ウィドウがなぜアベンジャーズになったのかが明かされるアクション・アドベンチャー映画、『ブラック・ウィドウ』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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映画『ブラック・ウィドウ』の作品情報
(C)Marvel Studios 2021
【公開】
2021年(アメリカ映画)
【脚本】
エリック・ピアソン
【監督】
ケイト・ショートランド
【キャスト】
スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、デヴィッド・ハーバー、レイチェル・ワイズ、O・T・ファグベンル、ウィリアム・ハート、レイ・ウィンストン
【作品概要】
『ベルリン・シンドローム』(2016)のケイト・ショートランドが監督を務めた、アメリカのアクション・アドベンチャー作品です。
「アベンジャーズ」シリーズをはじめとした、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の各作品で活躍するキャラクター、孤高の暗殺者ブラック・ウィドウを単独で主役にした作品でもあります。
「アベンジャーズ」シリーズのスカーレット・ヨハンソンが主演を務め、『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(2020)のフローレンス・ピューが共演しています。
映画『ブラック・ウィドウ』のあらすじとネタバレ
(C)Marvel Studios 2021
1995年、アメリカ・オハイオ州。10歳のナターシャ・ロマノフは、父のアレクセイ、母のメリーナ、幼い妹のエレーナと共に幸福な生活を送っていました。
しかしある日、家族で夕食を食べている時、アレクセイは突然、「大冒険に出るぞ」と言い出します。穏やかな両親の、いつもとは違う神妙な顔で身支度を済ませる姿に、ナターシャたち姉妹は戸惑っていました。
ナターシャたちは必要最低限の荷物を持ち、車に乗って人気の少ない森へ入り、そこに隠していたジェット機に乗り込みます。しかし、そんなナターシャたちを、自宅付近で張り込んでいた国際平和維持組織「S.H.I.E.L.D.」は銃撃戦を繰り広げながら、追走してきました。
それはナターシャたち家族が実は偽りの家族で、両親の正体は米国から情報を盗み出すため、3年間潜伏していたスパイだったからです。
「S.H.I.E.L.D.」の攻撃および追跡をかわし、国外に脱出したナターシャたちを待っていたのは、ロシアの極秘スパイ養成機関「レッドルーム」のドレイコフ将軍でした。
実はナターシャは、一度ドレイコフによる、冷酷無比の暗殺者「ウィドウ」になるための過酷な訓練プログラムを受けたことがあり、レッドルームに戻ることを拒みます。
しかし、アレクセイたちの手によって、ナターシャと何も知らないエレーナは、ドレイコフと共に「レッドルーム」へ強制的に連行されてしまうのです。
別れ間際、アレクセイは「S.H.I.E.L.D.」からの攻撃で負傷したメリーナの姿と、両親と引き離されることに困惑し怯える姉妹に、こう告げました。
「俺の世界で一番強い娘たち。2人で助け合って生きていくんだ」と。しかし、レッドルームへの道中、ナターシャはエレーナと無理矢理引き離されてしまいました。
そこから時は流れ、21年後の現代。最強の女スパイ「ブラック・ウィドウ」と呼ばれるナターシャは、自身が所属するスーパーヒーローチーム「アベンジャーズ」を国連の統治下に置く「ソコヴィア協定」に違反し、追われる身となっていました。
アメリカの国防長官、ロス長官の執拗な追跡を振り切ったナターシャは、ノルウェーへと逃れます。
一方モロッコでは、レッドルームから放たれたウィドウたちが、同じ仲間の女性オクサナが持ち出した赤い薬品の回収任務に当たっていました。その中には、ウィドウとして成長したエレーナの姿もありました。
エレーナはオクサナを追い詰め、赤い薬品を回収しようとしますが、その前に彼女に赤いガスを顔に浴びせられてしまいます。するとエレーナは、レッドルームに入る前の元の性格に戻り、オクサナをナイフで刺してしまった自分を嫌悪しました。
そんなエレーナに、オクサナは赤い薬品を託し、「(ウィドウの)皆を救って」と告げます。オクサナの最期を看取ったエレーナは、自らの左足に埋め込まれた発信機をナイフで摘出し、赤い薬品を持ってその場を立ち去っていきました。
その頃ナターシャは、逃亡中の自分を手助けしてくれる調達屋リック・メイソンから、隠れ家に隠してあった私物を受け取ります。
そんなナターシャを、レッドルームから放たれた謎の暗殺者、タスクマスターが急襲。観察するだけで相手の身体の動きも完璧にコピーできる能力、「フォトグラフィック・リフレックス(写真的反射能力)」を持つタスクマスターに、苦戦を強いられるナターシャ。
タスクマスターが持つ、アベンジャーズの一員であるキャプテン・アメリカの盾を複製した、イニシャル「T」をあしらった赤いマークが描かれた盾を奪ったナターシャは、その盾ごと橋の上から落とされてしまうのです。
タスクマスターから逃れたナターシャは、何故自分が狙われたのか、その答えを知るべく、ブラペストにある隠れ家へ向かいます。
(C)Marvel Studios 2021
そこで待っていたのは、エレーナでした。ナターシャが「S.H.I.E.L.D.」にエージェントとして所属する前にドレイコフを殺し、消滅させたはずのレッドルーム。しかし実はドレイコフは生きており、彼の指揮下でレッドルームは密かに活動を続けていたのです。
そして今もなお、レッドルームでは10代から20代の若い女性たちを集め、ナターシャたち姉妹同様、冷酷無比な暗殺者「ウィドウ」に育成するための過酷な訓練が続けられていました。
エレーナは、オクサナに浴びせられた赤いガス、「(ドレイコフによる)洗脳を解く薬品」のおかげで本来の自分を取り戻すことに成功。レッドルームを壊滅させ、ウィドウたちを助けるために、エレーナはナターシャに助けを求めることにしたのです。
エレーナがナターシャにメイソン経由で渡したのは、オクサナから託された洗脳を解く薬品でした。
その洗脳を解く薬品は、レッドルームにとって秘密にしていたものであったため、それを知ったナターシャたちを排除するべく、ドレイコフはレッドルームからウィドウ2人とタスクマスターを放ったのです。
レッドルームの壊滅を決めたナターシャたちの元へ、まずウィドウの2人が急襲。途中からタスクマスターが、装甲車に乗って逃げる姉妹を追いかけます。
ナターシャに匹敵する戦闘スキルを身に着けたウィドウの2人と、アベンジャーズの一員でナターシャと親交が深い人物、ホークアイの弓を複製したものを持つタスクマスター。
3人の強敵を相手に、ナターシャたち姉妹は、ブタペストの市街地で激しい追撃戦を繰り広げ、協力して危機を脱します。レッドルームの壊滅を決意したものの、ドレイコフが支配するレッドルーム本部の場所は極秘であり、外部の者はもちろん、ナターシャたちもその所在を知りません。
そこでナターシャたちは、レッドルーム本部の所在を調べるため、ドレイコフの元でスパイとして働いていた、通称「レッド・ガーディアン」と呼ばれるアレクセイの元へ向かいました。
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映画『ブラック・ウィドウ』の感想と評価
(C)Marvel Studios 2021
ナターシャと偽りの家族の絆
実は、米国の情報を盗み出すスパイであることを隠すために、3年間家族として過ごすことにしたナターシャたち偽りの家族。
家族を演じ、ナターシャとエレーナをレッドルームに強制的に入らせてしまったことに、少なからず罪悪感を抱くアレクセイとメリーナ。
そんな2人に対し、ナターシャは怒り強く非難しますが、この家族の中で唯一真実を知らず、本物の家族だと信じていたエレーナは酷くショックを受けます。
そのエレーナの悲しみに暮れる姿、ナターシャたちに罪悪感を抱くアレクセイが歩み寄ろうと奮闘する姿、偽りの家族であったことに怒り悲しむナターシャの姿。
3人の悲しみと葛藤が、痛いほど画面越しに伝わってきて、観ているこちらが胸が痛くなるほど悲しいです。
そんなシリアス要素多めの物語の前半とは対照的に、物語の後半では、ナターシャたちが協力して、レッドルームを壊滅すべく動き出すアクション場面が多く描かれています。
アレクセイが超人兵士としての能力を発揮し、タスクマスターと戦うところ。ドレイコフに先手を打たれてもなお、自らの目的を果たそうとするナターシャとメリーナのそれぞれの戦い。
どれも凄腕のスパイや超人兵士ならではの、迫力満点の激しい戦いが描かれているので、スパイアクションが好きな人にとって大興奮すること間違いなしでしょう。
しかもギクシャクしていたナターシャたちが、このレッドルーム壊滅のための戦いの中で、本当の家族として絆を取り戻していくところは、とても嬉しく感動します。
強敵タスクマスターの能力と正体
(C)Marvel Studios 2021
ナターシャの前に現れた、レッドルームの危険な暗殺者「タスクマスター」。
観察するだけでどんな相手の身体の動きも完璧にコピーでき、キャプテン・アメリカやホークアイのような達人たちの戦闘スタイル、彼らの武器を扱うスキルもコピーできる「フォトグラフィック・リフレックス」という能力を持っています。
「アベンジャーズ」シリーズの中で、様々な強敵が登場しますが、本作で登場したタスクマスターは、アベンジャーズたちにとって最も厄介なでヴィランしょう。
実際、最強の暗殺者であるナターシャでさえ、自身の動きや格闘技を瞬時に完璧にコピーされてしまい、苦戦を強いられてしまいます。
まるで鏡に写った自分と戦うような、ナターシャとタスクマスターの戦いは、本作で一番ハラハラドキドキし、ワクワクするアクション場面です。
物語の終盤で、ドレイコフの口から明かされたタスクマスターの正体は、ナターシャがドレイコフを殺す際に、爆発に巻き込んでしまった彼の娘アントニアです。
仮面の下に隠されたアントニアの痛ましい姿、彼女が強敵タスクマスターであったことは、ナターシャが愕然とするほど、とても衝撃的な場面となっています。
まとめ
(C)Marvel Studios 2021
「アベンジャーズ」シリーズなどで活躍する孤高の暗殺者、ブラック・ウィドウことナターシャが、偽りの家族と協力して、自身の過去の悪夢と再び対峙するアメリカのアクション・アドベンチャー作品でした。
エンドロール後には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の後の世界に生きる、エレーナの姿が描かれています。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)にて、ソウル・ストーンを手に入れるために自らの命を捧げたナターシャ。エレーナは飼い犬を連れて、彼女が眠る故郷、オハイオ州の墓地を訪れ、墓参りしながらナターシャの死を悼みます。
そんなエレーナの元に、ヴァレンティ―ナという女性が現れ、ある人の暗殺を依頼してきます。その標的は、「ホークアイ」と呼ばれるアベンジャーズの一員、クリント・バートンでした。
本作を鑑賞する際は、新たな物語の幕開けとなるであろうこのエンドロール後の映像も、ぜひ見逃さないでください。
最初から最後まで見逃せない、孤高の暗殺者の戦いと新たな物語が描かれた、ハラハラドキドキするアクション・アドベンチャー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。